脱原発は選挙の争点になるか、否か、という議論の誤りについては、この間の記事をご覧ください。そこで、今回の都知事選挙で脱原発を、その重要な争点にするかどうか、その際の視点を検証してみました。原発は経済の基礎的要素であることは誰もが認めるところでしょう。その原発を動かしているのは、朝日の言葉を使えば、原発メーカーでしょう。日本有数の企業です。経団連の有力企業です。いわゆる大企業です。
この大企業が、どれだけ政権の支援を受けて内部留保を溜め込んできたか、そのウラで、どれだけの非正規労働者が搾り取られ、ワーキングプアに落とされてきたか、です。低賃金・長時間・過密労働と無権利状態に貶められてきたか、日本国中の圧倒的多数の労働者が、憲法の労働基本権を具体化するためにつくられた労働基準法やそれを守るための装置である労働争議などについて明記された労働組合法などがないがしろにされている中に入れられ、常態化のなかで、ブラック労働人間に陥ってしまったのではないでしょうか。
「政府が旗振り役になり、東芝や三菱重工業、日立製作所といった日本の原発メーカーと、原発の運営者である東電などがタッグを組んで初めて獲得した案件だった」という記事の中に視えるような構造を、まず確認したうえで、原発利益共同体=原発ムラ=原発メーカーが、如何にして原発マネーを一人占めしているか、その構造を、以下の朝日の記事は示しています。しかし、その朝日は、これらの原発メーカーに、フクシマの責任を問いかけたことがあったでしょうか。都知事選挙の争点である「脱原発」ということは、これらの原発メーカーの企業方針の転換を迫っていくということを意味しているのです。このことを国民に報せているでしょうか。
原発以外の政策を実現していくためには、これらの大企業からどのような税金を徴収するか、このことも大きな争点のはずです。東京都が、これらの大企業をどのように優遇しているか、そのことで、教育や福祉の予算、高齢化対策予算などがどれだけ削減されているか、首都東京の防災や老朽化したインフラの整備の資金は、どこから徴収するか、などなど、原発メーカー=大企業の内部留保との関係を捉えていかなければならないはずです。
朝日 ベトナム、原発着工を延期へ 日本の受注分に影響も 2014年1月18日17時55分
首脳会談前に握手を交わすベトナムのズン首相(左)と安倍首相。会談でベトナムの原発建設への日本の協力が確認された=2013年12月15日、首相官邸、仙波理撮影
ベトナム初の原子力発電所の建設計画で、ロシアが受注した第一原発(2基)の着工時期が延期される見通しとなった。当初予定の今年から2020年にずれ込む可能性もある。東京電力福島第一原発の事故をきっかけに、安全の見直しを求める声が強まり対応を迫られていた。日本が受注した第二原発(2基)建設の日程にも影響しそうだ。
■ズン首相「安全を最優先」
グエン・タン・ズン首相が15日に国営石油会社ペトロベトナムとの会合に出席した際、今年中に予定していた第一原発の着工が2020年ごろまで延期される可能性があるとし、代替の発電用燃料を十分確保するよう指示した。首相が原発着工時期の延期に言及するのは初めて。ベトナム紙トイチェが報じた。
ベトナムでは福島原発の事故後、国内では知識層を中心に安全面の見直しを求める声が高まった。人材育成や法整備が遅れていることから、グエン・クアン科学技術相もメディアの取材に「多くの意見がある」と認め、着工の先送りを示唆していた。ズン首相は会合で「原発建設は安全が最優先で、基準を満たさなければ実行しない」と語った。
また、ベトナムエネルギー協会のチャン・ベト・ガイ会長は地元メディアに「まだ技術面での計画がまとまっておらず、借入資金など財政計画のめどがたっていない」と明かした。
第一原発は南部ニントアン省のフォックジンに計画。ロシアが受注し、今年中に着工、20年に1号機、21年に2号機を稼働させる予定だった。
一方、日本が受注した第二原発は同じ省のビンハイに予定されている。総事業費は1兆円規模で、20年ごろの稼働を目指していたが、ベトナム政府は第一原発を優先して進めており、第二原発は炉型の選定も済んでいない。
ベトナムヘの原発輸出は、民主党の菅直人首相時代の10年10月、政府が旗振り役になり、東芝や三菱重工業、日立製作所といった日本の原発メーカーと、原発の運営者である東電などがタッグを組んで初めて獲得した案件だった。
今回のズン首相の発言について、日本の参加企業の関係者は「福島の事故で原発への不安が高まり、まだ炉の形も決まっておらず、運転開始は遅れると思っていた」と冷静に受け止める。
輸出、成長戦略の柱
ただ、ほかの国にも建設比慎重な姿勢が広がれば、成長戦略の柱に原発輸出を掲げる日本政府にとっては打撃になりかねない。政府は「福島第一原発事故の経験と教訓を世界と共有することで、世界の原子力安全の向上に貢献する」として、建設需要が高まる中東や東欧、アジアヘの輸出に力を入れているからだ。
昨秋には、交渉中たったトルコに安倍音三首相自らが乗り込み、原発受注の「大枠合意」を取りつけた。ベトナムについても、安倍首相が昨年末、来日したズン首相と会談し、原発建設への協力を改めて確認したばかりだった。
推進役の経済産業省幹部は「いまのところ、ロシアの原発建設に対する動きだと思うが、今後どういう影響があるか注視したい」と話す。(佐々木学=ハノイ、鈴木友里子)(引用ここまで)
ベトナムの原発、着工2020年に延期 首相が言及 2014年1月17日16時16分http://www.asahi.com/articles/ASG1J6TKJG1JUHBI022.html
ベトナムの原子力発電所建設計画で、第1原発の着工時期が当初予定の今年から2020年にずれ込む見通しとなった。ベトナム紙トイチェが16日、グエン・タン・ズン首相のエネルギー関連の会合での発言として報じた。第1原発2基はロシア、その後に建設予定の第2原発2基は日本がそれぞれ受注する予定となっており、日本受注分も大幅に遅れる可能性が出てきた。ズン首相は15日、国営石油会社ペトロベトナムとの会合に出席。南部ニントアン省に建設予定の原発着工が20年まで延期される見通しだとし、代替エネルギーとして火力発電用燃料を十分確保するよう指示した。ベトナムは東南アジア初の原発建設を決めているが、福島第一原発の事故後、安全面の見直しなどを迫られ、人材育成や法整備、財政措置などを含め、計画の遅れが指摘されていた。首相が着工延期について具体的に言及したのは初めて。(ハノイ=佐々木学)(引用ここまで)
「三菱、東芝、日立製作所の原発メーカー3社は海外への輸出が生命線」ということで、「安倍政権は原発産業の復権をめざし、原発輸出を見直すどころか首相自ら売り込む」としていますが、その「大義名分」は「事故の経験と教訓を世界と共有し、原子力安全に貢献する」ということです。これはテレビでも繰り返し報道されています。これが原発メーカーの放つ原発マネーイデオロギーです。しかし、朝日は「それは事故の不安を海外に広げ、メーカーが巨額リスクを背負い込むことと背中合わせでもある」と、企業が負担するかのように書いています。しかし、その負担は、国民に跳ね返ってくるのです。このことを朝日は意図的にスリカエています。
もう一つは、原発マネーを扱う原発メーカーと国際協力銀行、経済産業省・資源エネルギー庁、その官僚(望月晴文元経産事務次官=ブレーン役の民主党内閣の官房参与・貿易経済協力局審議官の今井尚哉氏=安倍首相の政務担当の秘書官)、国際協力銀行の前田匡史執行役員=ブレーン役の民主党内閣の官房参与など、民主党政権であろうが、自民党政権であろうが、果たしている人物は一緒だということです。
以下の記事をご覧ください。
アベノミクスが目指すべき中小企業対策は 望月晴文東京 ... - 現代ビジネス 2013年9月11日
安倍政権発足で来る“死の政商”国際協力銀行執行役員の落日(1/2 ... 2012年12月26日
原発撤退は無責任---内閣官房参与の前田匡史氏: 柳瀬川のほとり 2011年8月17日
安倍政権の原発輸出 原子力外交で復活するムラ - ダイヤモンド・オンライン 2013年5月9日
橋下市長 2月に資源エネ庁次長·今井尚哉と水面下で面会 エネルギー ... 2012年5月4日
今井尚哉資源エネルギー庁次長の関西広域連合に対する策動について ...2012年6月13日
【大飯原発再稼働·嘉田などを脅した黒幕】今井尚哉次長·安倍秘書官に ...2012年12月29日
それでは朝日の記事を全文掲載しておきます。原発メーカーという言葉の奥深いところに何があるか、見極めていく必要があるように思います。同時に都知事選挙における「脱原発」の政策の奥深いところに、以上の人間集団と組織とのたたかいがあることを、国民は知るべきです。こうした構造が、都民の、国民の生活と、どこでどのようにつながっているか、ハッキリさせていく必要があると思います。
(原発迷走:3)リスク抱えて輸出攻勢 原子力メーカー 2013年12月2日05時00分http://www.asahi.com/articles/TKY201312010253.html?ref=reca
機器納入、訴訟に直面
トルコを訪れた安倍晋三首相は満面の笑みを浮かべ、エルドアン首相と握手を交わした。10月29日、トルコの原子力エネルギーに協力する共同宣言に署名した時のことだ。その日、三菱重工業の宮永俊一社長も現地にいた。首相の「トップセールス」によって、三菱が加わる国際コンソーシアム(共同事業体)も、黒海沿岸のシノップに原発4基をつくることでトルコ政府と「大枠合意」したのだ。
三菱にとって初めての原発輸出になる。しかも、提携している仏原発メーカー、アレバと共同開発した新型原子炉「アトメアー」の初受注である。宮永氏はトルコを訪れるたび激変ぶりに目をみはる。道路は大渋滞、街は建力需要は高まる。「とても火力ではまかなえない。原子力に頼ることになる」
東京電力が福島第一原発事故を起こし、国内では原発の新増設は見込めそうにない。いまや三菱、東芝、日立製作所の原発メーカー3社は海外への輸出が生命線になっている。
シノップ原発は2兆円のビッグプロジェクトだ。ところが、宮永氏の口ぶりは喜びより慎重さが際だつ。「国内の電力会社相手のビジネスとは全然違う。あらゆるリスクを洗い出し、一つひとつ解決していく」 実は、大枠合意は口頭での合意にすぎない。設計や建設を含めた本契約は、2年かけて自然条件や経済性の調査を済ませてからだ。シノップでは原発受注だ電事業にも参画しなければならない。大仲輝昌執行役員は「調査して予定地に活断層があれば難しい」と言い、再考の余地も残す。「財務基盤をもっと強化しないといけない」。宮永氏は、海外でもうける前にまず自前の資金を蓄えなければならないという。一見あべこべに見える対応をとるのは、原発輸出のリスクを感じているからだ。三菱は2009~10年、米国の南カリフォルニアーエジソン(SCE)社のサンオノフレ原発(カリフォルニア州)に4基の蒸気発生器を納入した。昨年1月、その1基の配管から放射性物質を含む冷却水が漏れ、米原子力規制委員会が運転禁止を命じた。SCEはやむなく廃炉を決めるとともに、今年10月、三菱に対して廃炉費用を含む40億㌦(約4100億円)の損害賠償を支払うよう、国際仲裁裁判所に申し立てた。三菱の12年度の経常利益の3倍近い。三菱は、契約上の責任は発生器の代金相当の1億3700万ドル(約140億円)として争う構えだが、結果次第では経営を揺さぶる金額である。
産業復権 政権も旗振り
日本が原発輸出に大きくかじを切つたのは、09年だ。この年の暮れ、アラブ首長国連邦(UAE)の原発受注競争で、日立を中心とした日本連合は、韓国電力と斗山重工業などの韓国勢に敗退した。東欧や新興国では原発需要が高まり、30年までに原発が計90~370基増えると見込まれている。UAEはその先駆けだった。09年、日立は子会社に転じていた重電部門出身の川村隆氏が会長兼社長として戻り、東芝も原子力部門出身の佐々木則夫氏が社長に昇格していた。総合電機メーカーは家電や電子部品で海外勢に押され、原発で対抗しようと考えたその直後の「UAEショック」。「エレクトロニクスでのサムスン、コンテンツの韓流ブーム。韓国の攻勢が原発でも続くのではないかと恐れた」。当時、経済産業省・資源エネルギー庁の原子力政策課長だった三又裕生氏は振り返る。それは「原子力立国計画」を進めようとしていた経産省の危機感でもあった。この年に政権交代した民主党には経済成長策がなかった。国際協力銀行の前田匡史執行役員は当時、親しい仙谷由人氏(元官房長官)に原発輸出を説いた。
「高い技術を持つ原発メーカーがあるのに世界に出ていけてない。メンテナンスやサービスと組み合わせたパッケージとしてのインフラ輸出が必要だ」
民主党の菅政権は10年、新成長戦略に「パッケージ型インフラ輸出」を盛り込む。さらに原発輸出を唱える望月晴文元経産事務次官や前田氏をブレーン役の内閣官房参与に起用した。経産省では、貿易経済協力局審議官の今井尚哉氏が旗振り役になった。いま、安倍首相の政務担当の秘書官をつとめる。メーカーと二人三脚で売り込む電力会社には東電が期待され、東電は新経営計画「2020ビジョン」で海外進出を打ち出した。経産省、原発メーカー、東電による原発輸出の「09年体制」ができあがった。
未経験の原発運営背負う
09年体制は福島第一原発事故で終わる。東電が輸出どころではなくなったからだ。東芝・東電連合はトルコや米国のサウス・テキサス・プロジェクトの原発受注をめざしていたが、東電は撤退した。ベトナムヘの原発輸出のために経産省が音頭をとって設立した国際原子力開発も、中核の東電が動けなくなった。国際協力銀行の前田氏は「当初とは大きく変わった」と言う。「安全性の確保や技術者の育成とセットで出ていくつもりだったのに、東電がいなくなり、機器の輸出だけになった」。もはやパッケージ型インフラ輸出は成り立たない。発電事業に自ら参画しないと海外での原発受注が難しくなりつつある。トルコでの三菱と同様、日立が英原子力発電会社のホライズン・ニュークリア・パワーを買収したのもその表れだ。日立はホライズンに4~6基の原発を納入し、運転が始まれば株式を売却するシナリオを描く。とはいえ、しばらくは未体験の原発運営を抱え込む。原発輸出で先んじる仏アレバは、リスクでも先行する。新型原子炉「EPR(欧州加圧水型炉)」を開発し、フィンランドのオルキルオト原発3号機を請け負ったが、工事遅れや安全性を高めるための費用増で、フィンランド側から賠償請求を起こされた。結局アレバは09年、資金を工面するために送配電機器部門の売却に追い込まれた。安倍政権は原発産業の復権をめざし、原発輸出を見直すどころか首相自ら売り込む。大義名分は「事故の経験と教訓を世界と共有し、原子力安全に貢献する」。それは事故の不安を海外に広げ、メーカーが巨額リスクを背負い込むことと背中合わせでもある。(大鹿靖明)◇ご意見はKeizai@asahi.commまで(引用ここまで)
安倍政権は財界番頭/原発·インフラ売り込み/歴訪に112社200人ゾロゾロ2013年5月13日
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新興国の日本原発事情首相が自ら売り込みに意欲…その背景とは? (1 ... 2013年7月21日
韓国大統領、ベトナムに原発売り込み:日本経済新聞2013/9/10 0:32
売り込んだ原発の放射性廃棄物は日本が全部引き受ける??|げん ... 2013年7月16日
小泉純一郎元首相「原発ゼロ発言」のもつ影響力とは海外からは疑問の声2013年11月14日
最後に愛国者の邪論の記事のいくつかを紹介しておきます。「脱原発」の奥深いところに何があり、どうする必要があるか、ご検討ください。ご覧ください。
これが日米財界多国籍企業=軍事原発利益共同体の利益保護のための「特定」「秘密」「保護」法の正体だ! 2013年11月21日
NHKの似非·擬似·偽造民主主義的世論調査が自民党長期政権温存装置が自民党長期政権温存装置であることの証拠はこれだ! 2013年11月12日
安倍自公政権のアベノミクスと原発利益共同体を免罪し国民脅しに加担し本質を逸らす朝日社説に大渇! 2013年11月2日
誰が診てもコントロールできていないのに首相の大ウソつきを問題にしない安倍マスコミ応援団の正体! 2013年10月7日