「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

困る 「煙害輸出国」インドネシア

2006-09-05 06:10:52 | Weblog
9年前の今ごろ(1997年8月ー12月)僕はメダンの短大で日本語を教えていた。
オランダ時代、メダンは世界で一、二の綺麗な町といわれていた。白亜の建物
に緑が映える、その美しさの片鱗は、僕がいた時にもあったが、9月に入って
急にゴースト・タウン化した。山火事の煙で太陽が隠れ、煙害で市民はマスク
をして外出するようになった。結果として、僕のボランティア活動もストップ。
1年の予定が4か月で帰国せざるをえなくなった。

近着の「じゃかるた新聞」によると、またぞろインドネシアは「煙害輸出国」
として近隣諸国からつるし上げされている。スマトラ、カリマンタンの森林
火災で、マレーシア、シンガポール、タイ、ブルネイ各国に煙害が拡大し、航
空便の欠航、観光客の減少、住民の健康などの被害が出始めているという。
先月のASEAN通商大臣会議でインドネシアは野放しの山火事対策を厳しく糾弾
された。

インドネシア環境省の統計によると、スマトラの山火事の31%は、油やしの
プランテーション地から、カリマンタンの37%は木材伐採管理地からだという。
よく言われているような焼畑農民の不注意の失火からではないようだ。とくに
油やしは近年、世界的に需要が高まり、植林面積が増えている。果実は石鹸、
果肉は食用油、種子からはバイオ・ディーゼル油もとれる。このため自然林が
伐採、焼却され、油やし農園が増えている。

このところインドネシアは地震、津波、過激派テロと”厄病”にとりつかれて
いるみたいだ。同情するが「煙害」の輸出だけは困る。ユドノヨ政権のきちん
とした対応を期待する。わが国も対岸の火災視してはならない。