「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

きれる老人、きられる老人

2006-09-13 05:41:24 | Weblog
”きれる老人”の特集をまた民放(テレビ朝日系)がやっていた。内容は河川敷で違法にゴルフ練習をやっていた”老人”を若いレポーターが執拗に追っかけまわしインタービューする。”老人”は十分、違法なことを知っているから現場から立ち去ろうとしているのに,さらに食い下がる。これでは"老人”ならずとも”きれる”のは当たり前。どうもこの番組は最初にタイトルをきめ、それに相応しいような画面を探してつくったようにみえた。

一昨年、NHKが尾道の高齢者刑務所を紹介、受刑者が10年前の三倍になっていると問題提起した。当時で受刑者の平均年齢は74歳、薬をのみながら作業する姿はたしかに現代の病める一面をえぐっていた。どうもそれ以来、老人犯罪の増加は最近のお年よりが”きれ”やすくなったのが原因と短絡的に考えるようになった。今年の6月にも他の民放でも同じような”きれる老人”を特集していた。

しかしNHKの番組は受刑者の80%以上は再犯者で、出所しても高齢で職もなく、家族からも見捨てられている人たちであることを指摘、わが国の社会福祉制度がこれらの老人にまで及ばない現実を明らかにしている。
統計によれば、月3万円の国民年金だけで生活している老人が560万もいるという。河川敷で違法にゴルフをやる元気な"老人”もいるかもしれないが、大方は僅かな年金にまで課税され逼塞状態の”きられた”老人たちである。