「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

銃後の生活の遺品

2006-09-22 06:04:57 | Weblog
この一週間ばかり屋根裏に立てこもって父の遺品整理に奮闘した。家を
造ったとき、下手に屋根裏に物置を設けたのがアダだった。物資のない
時代に育った老妻が”もったいなさ”からなんでもかんでもダンボールに
詰めたままにしていたから大変だ。狭い物置の中であっちへ行ったり
こっちへ行ったりで汗をかいたせいか体重が2㌔も落ちた。


遺品の中には若山牧水が父との別離のために書いてくれた和歌もあった。
そのほかわが家の百年の歴史を語る品々が数十のダンボールに無造作に詰
められていたが、一箱からは戦争中の銃後の”遺品”がごそっと出てきた。
よくぞこんなものをと思うガラクタばかりだが、今となっては当時の歴史
の”証拠品”である。

衣料切符、国防婦人会タスキ、家庭用蔬菜購入手帳、雑炊食券、国民酒場、
東部軍管区情報カード、家庭用石鹸購入券(資生堂広告付き)塩購入券、
味噌購入券、戦争死亡傷害保険証券、訓練用五頓エレクトロン爆弾などなど。
わが家に置いても散逸するのはたしかだ。ちかく専門の博物館と相談して
寄贈したいと思っている。

戦争は戦場ばかりではない。銃後も戦争であった。衣類が欠乏、ズボンの尻に
”猿のオケツ”の布をあてて育った少年たちもすでに70代。竹やりを構え
バケツ・リレーで防火演習した女性は80代。銃後も遠くなりにけりーだ。
この時代を次の時代に伝承するのも僕らの義務かもしれない。