「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

インドネシア観光の問題点

2006-09-24 06:09:32 | Weblog
先週の週末、東京お台場のホテルでインドネシア観光文化省主催の
”観光の夕べ”とこれに先立つ関係者の集まりがあった。豪華なおカネ
のかかった催しに招かれながら苦言を呈するのは心苦しいが、あえて
40年のこの国のウォーチャーとして許してもらおう。

一昨年のスマトラ沖地震・津波以来数重なる天災それに爆弾テロな
どの影響でインドネシアの観光収入は前年比4・67%の落ち込みだ。
インドネシア観光の63・6%がバリ島という日本人観光客の減少も
大きい。しかし、これは天災による一時的な現象で、それほど大きな
問題ではない。僕が言いたいのは、せっかく世界有数の観光資源を
もちながらも"十年一日”の観光政策である。

"観光の夕べ"では伝統的なガメラン音楽、バリ舞踊が披露され招待
客には豪華なパンフレットが一杯入ったカバンまでプレゼントされた。
会場では首都ジャカルタ観光のビデオが大きなスクリーン一杯に映された。
林立する高層のビル、豪華なレストラン、立派に手入れされたグリーン、
エステ・サロンetc. しかし、これで日本人の観光客をジャカルタに呼
べるだろうかー。

ジャカルタには”じゃがたらお春”の昔からの歴史遺産がある。彼女は
17世紀、優雅な一生をこの町を終えた実在の人物である。直接彼女に
つながるものは残っていないが、当時の世界は再現できる。これだけで
も日本人観光客は呼べる。近隣のシンガポール、マレーシアは歴史遺産を
上手に利用して観光の目玉にしている。例えばセントーサ島のように。
市内には歴史構築物博物館(Museum Taman Prasasti)があり、蘭印時代
のエルベルフェルトの”さらし首”や日本軍の戦死者慰霊碑があるが、
なぜか観光文化省のパンフレットには紹介されていない。

この国は新しいものを造るのは好きだが、古いものを維持保存するのは
得意ではないようだ。日本の賠償引き当てで僅か40年前に建てられた
ホテルがすでに壊された。自然が豊かなので、歴史遺産は観光資源として
無用なのかもしれない。