「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

お彼岸と戦地慰霊碑

2006-09-19 05:50:18 | Weblog
カリジャティ戦友会の一行が今慰霊碑参拝のため現地を訪れている。カリ
ジャティといってもほとんどの日本人は知らないと思うが、昭和17年3
月、蘭印軍が全面降伏した地だ。第16軍今村司令長官の前にチャルダ・
蘭印総督が降伏文書に調印した、いってみれば乃木大将とステッセルの水
師営に匹敵する地である。このカリジャティに戦死者の慰霊碑があるが、
これはインドネシア空軍が、戦死した日本軍兵士の慰霊のために基地内に
建てたものである。航空隊戦友会はここ10年來、毎年インドネシア空軍
に謝意を表し、慰霊に訪れている。

平成12年、僕はジャカルタの博物館の庭に放置状態になっている日本軍
戦死者の慰霊碑を発見した。ジャワ上陸作戦のさい戦死した第2師団兵士
50人の慰霊碑だったが、どこの部隊か、どこで戦死したのかもわからぬ
状態で裏返しになっていた。そこで僕は戦友会関係者を中心に募金を募り
博物館に再建してもらった。今では在留邦人が春秋のお彼岸に参拝して頂
いている。

インドネシアだけではない。戦地だった地には犠牲者の慰霊碑が数多くある。
国で建てたもの、民間で建てたもの、しかし戦後60年を経て、関係者の
高齢化で訪れる者も少なくなり、中には破壊されたものも多い。在外公館
がある地では、こうして彼岸の法要も行われているが、南冥のジャングル
では、近い将来その場所さえ特定できなくなる。霊は靖国に戻っているから
と一部の人はいうが、やりきれない気持ちがする。