「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

”一身上の都合”は一回だけで結構

2006-12-23 07:14:54 | Weblog
政府財政調査会会長の辞任をめぐる安倍首相の記者会見での発言は
まさにお笑いだった。本間正明会長(大阪大学院教授)の辞任理由に
ついて首相は”一身上の都合”という言葉を13回もつかって記者の質
問をかわした。”官舎はすべて売却すべし”という報告書を政府に提出
した当の調査会会長が、その官舎に愛人と一緒に生活していたとあれ
ば問題だ。国民の大半はそれを知っている。なのにそれを質問する記
者も記者なら、それに”おうむ”のように答えた首相も首相だ。


”一身上の都合”は勤め人が個人的な理由で退職届けを会社に出す時
などに使う常套語だ。具体的な理由を記入しないのは、暗に聞かないで
くれ、という事情がある。国民だって”武士のなさけ”を知っている。
安倍首相の”一身上の都合”の連発は聞いていても聞き苦しい。お父さん
お祖父さん時代の政治家ならともかくだがー。

僕も一回だけ"一身上の都合"を使って会社を辞めた。退社の理由が複
合的で一つに絞れなかったから、この曖昧な言葉のお世話になった。
安倍首相は13回もこの言葉を使って本間会長を弁護した。しかし国民
は財政調査会が政府の諮問機関で、その会長の任命権が首相にあるこ
とぐらいしっている。首相が懸命に弁護すればするほど首相の責任を問い
たくなる。

他人のプライベートな問題はなかなか解りにくい。一見、真面目な顔を
した経済学者が常習の痴漢だったりする。その点、首相に同情しない
でもない。責められるのは本間会長だ。自分がどのような立場にあるの
か”いい年をした”学者が解らなかったのだろうか。お粗末である。