「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

バレンタインデー  「チョコレートと兵隊」

2007-02-09 06:45:29 | Weblog
バレンタインデーは僕ら年寄りには無縁だ。老妻からもまづチョコ
レートは期待できない。また貰っても有難くない。チョコレートのよ
うな高カロリーの食品はいっぺんに血糖値を上げ血圧を高くする。
だから届かなくても寂しくはない。世の中は良く出来たものだ。

僕らの世代はバレンタインデーにことさら想いでもない。この習慣
は昭和35年頃から始まったそうだが、その頃には、すでに結婚し
子供も二人いた。それに勤めていた職場には幸い女性は一人も
いなかった。

戦前「チョコレートと兵隊」という映画があった。昭和13年11月の
東宝作品。当時、火野葦平の名作「麦と兵隊」にあやかって「○○
と兵隊」と名のついた作品が流行したが、これもその一つ。あまり
ヒットしなかったようだが、まだ子供だったのに何故か記憶にある。
映画の筋は中国大陸の戦地にいた兵隊の元に子供から慰問袋が
届いた。その中に板チョコが入っていた。兵隊は板チョコの包紙の
プロモーション用の点数を集めて家族に送り届けた。子供は点数を
製菓会社に郵送し板チョコをゲットしたーという他愛のないもの。

多分、製菓会社がこの話を”軍国美談”にして映画化したものであろ
う。日中事変の初期にはチョコレートも自由に買えた。が、やがて配給
制になり、ついには店頭から消えた。”勝つまでは欲しがりません”と
銃後の子供は我慢した。僕がチョコレートと再会したのは敗戦後の昭
和21年進駐軍から貰ったハーシーの板チョコだった。