「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

貧困国の臓器売買と売血

2007-02-17 06:55:42 | Weblog
先日NHKテレビで生活苦から腎臓を売ったフィリピンの男性の
やせ細った姿を紹介していた。一体25万円で売って生活費に当
てたが、2年間で使い果たしてしまったという。公式にはフィリピン
でも臓器売買は禁止されているが、ここ数年ヤミでの移植が増え、
2005年には前年比40%増の630件もあった。ついにフィリピン
政府はさきごろ”あなたの臓器を売らないで!”という声明を出し
た。

敗戦直後の1950年代、わが国は貧しく1人当たりの実質国民所
得はフィリピンより低く、800米㌦を割っていた。その頃、日本の貧
困層では売血が横行していた。僕のまわりでも血を売って生活費し
ていた学友がいた。朝鮮戦争で保存血液の需要が多かった頃であ
る。しかし、輸血による肝炎が頻発し、売血は1969年やっと禁止に
なった。

フィリピンだけでなくインド、中南米の貧困国でも臓器販売は半ば公
に行われていると聞く。わが国でも昨年9月宇和島の病院で知合い
の女性に現金30万円と乗用車との引き換えに肝臓を譲り受け手術
したケースがあった。人体を物体として売買することが当たり前化し
始めてきた。恐ろしいことだ。

臓器の移植で1人の人間の生命が助かるのは十分承知している。ま
たその移植待ちの患者が沢山おられる事も承知している。しかし、貧
富の拡大で、貧しい命が移植によって失われることがあれば、倫理的
に大きな問題である。チェック体制の強化が望ましい。