「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

ごろ寝族の見た東京マラソンの幸せ

2007-02-19 07:00:41 | Weblog
東京マラソンをテレビで観戦した。雨中の東京を3万人のランナーが
駆け抜ける姿は壮大であり、驚きであった。現代の日本人の健康志
向をそのまま反映していた。現役時代、休日にはごろ寝だけだった僕
ら世代には考えられない風景、羨ましくもあり、反面"ご苦労さん”と
言いたい気持もあった。

ごろ寝族の僕はマラソンの勝負もさることながら、画面に映る東京の
町々の変化も面白かった。僕は半世紀前の東京の風景とダブらせて
観戦してみた。出発点の東京都庁前は、まだ「淀橋浄水場」で、浄水
用のプールがずらりと並んでいた。新宿、銀座、品川、浅草のコース
上には都電が走っていた。50年前、昭和30年の初め頃は都電の最
盛期で総延長距離は213㌔もあった、と記録にある。

東京生れ東京育ちの僕だが、豊洲、有明の臨海副都心はまったく異国
風景だった。いずれも戦後の埋立地区だが、半世紀前は東京湾の”蒼海”
であった。僕らの知っている埋立は”洲崎”までで、到着ゴール地点の東
京ビッグサイトなど無論なかった。

東京のこの変化と発展は、戦後の平和の時代のおかげである。その前の
半世紀(1957-1907年)には関東大震災(1923年)もあり東京大空襲(1945年)
もあった。思い思いの姿でマラソンを楽しむランナー、そしてこれを応援
する大群衆を見て、戦争経験のごろ寝族は今の幸せを羨ましく思った。