「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

2月22日 敗戦の年の東京豪雪

2007-02-22 06:55:19 | Weblog
きのうも東京は春を思わせる陽気であった。早くも隣家の沈丁花のつぼみがほころび、かすかな芳香をただよわせ始めた。庭の寒梅は散り、遅咲きの南高梅、雲南梅それに乙女椿さえ満開にちかい。東京での最も遅い初雪記録はいぜん更新中でこのまま雪なしの冬は去り、春が到来するかもしれない。 雪で想い出すのは敗戦の年の東京の冬である。この年東京では2月に4回も降雪を記録している。なかでも22日は記録に残る豪雪で、明治9年気象台が記録をとり始めて以来二度目の大雪で 38.1㎝も降り積もった。 当時僕は中学2年で、勤労動員先の多摩川近くの工場で”人間魚雷”回天のエンジン部品を作っていたが、この大雪をはっきりと覚えている。昼休み僕らは同じ年頃の養成工(見習工員)と雪合戦をしていたが、相手の1人が誤って肥溜に落ちてしまった。戦時中、東京でも下水処理ができず、町のあちこちに肥溜が掘られていた。 雪の日にはB-29の”定期便”の襲来はなかった。調べてみると2月東京では空襲警報は4回しか発令されていない。しかし、僕らは連日のように雪かきをした記憶がある。多分この頃になると、電力も不足し、未熟の僕らは雪かきに使ったほうが効率的だったのかもしれない。3月4日にも雪が降った。そして天候が回復した10日、まるで満を持していたかのようにB-29の大群が襲来した。年々歳々、梅も沈丁花も咲いたのだろうが,想い出はない。