「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

      "海行かば水漬く屍” 46年ぶりの遺骨収集

2009-07-03 05:05:34 | Weblog
厚労省が先月の末、インドネシア・マカッサル港(スラウエシュ島)沖で行った遺骨
収集作業に参加した知人から、10体の遺骨を海中から収集できたとのメールを頂
戴した。この遺骨は昭和20年3月、マカッサルからジャワ島のスラバヤに向け移動
中、敵の爆撃機の攻撃を受け、沈没した第11号掃海艇に乗船していた第7飛行師
団の兵士のものである。

第7飛行師団の当時の記録によると、この掃海艇には300名が乗船していたが、救
助されたのは、僅か81名で、残りの方は海中に没し犠牲となった。
         ♯「海行かば」(万葉集巻18 大伴家持 作曲 信時潔)
           海行かば水漬く(みずく)屍(かばね)
           山行かば草生す(くさむす)屍
           大君の辺(へ)にこそ死なめ 顧りみはせじ
この歌は戦争末期、僕ら銃後の小国民も英霊の遺骨出迎えのときなどに歌った悲しい
メロデイである。

第11掃海艇の遺骨収集はインドネシア海軍の協力を得て24人のダイバーが水深30m
の海底へ潜り行われたが、64年の歳月を経て、船は15-20%しか原型を留めておらず
1mをこす泥で覆われていたという。まさに水漬く屍と化していたが、収集作業には80歳
を越えた遺族も連日参加されたそうだ。戦争を体験した一人として改めて戦争のむなしさ
を考えさせられた。