「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

         昭和30年代 "三種の神器”の時代

2009-07-11 05:23:11 | Weblog
梅雨空の下、電気洗濯機が故障し老妻を困らせていたが、昨日やっと新しいのが
届いた。昔はタライに汚れ物をいれ洗濯板でゴシゴシ洗ってていたものだが、今の
世は、洗濯機なしでは不便で、一日たりとも人間らしい生活はできない。僅か半世
紀で変ったものだ。

昭和30年に結婚した僕ら夫婦は、いわゆる電化製品の"三種の神器"時代に新婚
生活を送った。老妻は両親と一緒に生活していた僕の家へ嫁いできたわけだが、
当時わが家には"三種の神器”は一つもなかった。新しい洗濯機をまわす老妻と僕
は当時の生活を振り返った。"三種の神器”どころではない。わが家にはまだ都市
ガスもなく、母親は台所の外のカマドでご飯を炊いていた。東京区部なのに下水道
も整備されていなかった時代だ。

半世紀以上も前のことだ。二人の記憶も薄れてきたが、昭和34年、今上天皇のご成
婚の年にテレビを買ったのは鮮明に覚えていた。白黒テレビである。電気洗濯機は31
年に長女が生まれているので、その頃買ったのだが覚えていない。ただ洗濯物を
絞るためのハンドルがついていたのを覚えている。"三種”のうち最後に買ったのは電
気冷蔵庫で、6万円もした。もちろん長期月賦であった。当時僕の月給は2万円たらず
であったから大変な買い物であった。

”もう戦後ではない”というのは昭和31年の経済白書であり、31年ー33年は神武景気
といわれているが、国民の生活はとてもとても今のように豊かではなかった。ただ将来
への希望や期待に明るい展望があった時代ではあった。