「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

       バラ色で描くのが難しいインドネシア

2009-07-19 09:12:45 | Weblog
インドネシアのユドヨノ大統領の再選に関連して日本のある新聞が社説を掲げ「G20の
一員への期待」について書いていた。1960年代からのインドネシア・ウオッチャーの
僕はもとよりこれに反対ではなく、同じように期待している。が、この社説の現状分析
があまりにバラ色しすぎるのではないかと思った。

社説氏には不運しすぎた。僅か10日も経たないのに、首都ジャカルタで自爆テロ事件
が発生し、8人も犠牲になっている。インドネシアでは9・11同時多発テロ事件後イスラ
ム過激派によるテロが多発していたが、2005年10月のバリ島事件を最後に途絶えてい
た。これはユドヨノ大統領の強硬なテロ封じ込みの成果だといわれていたが、これをあざ
け笑うような今度の事件である。

1966年から67年にかけて僕は当時、スカルノ政権からスハルト政権への移行期のインド
ネシアを現地で取材したが、今考えると、期待をこめたこともあるが、あまりににもこの国
の将来をバラ色に描きすぎていた。

1997年のアジアを襲った金融危機の直前、当時のインドネシアの経済通といわれていた
人たちは、インドネシアが今にも経済大国へと離陸するというシナリオをバラ色で書いてい
た。

2億2千万人という人口を持つ大国である。それに広がりだけでいえば、ヨーロッパよりも
大きな国である。大きな種族だけでも数十あり、考え方も多様である。多様性の中の統一
が国の考え方である。この国の将来の予測は難しいし、バラ色で描くのはそれ以上に難
しい。