「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

        大學は出たけれど”の時代

2010-01-16 06:26:35 | Weblog
大學就職内定率が過去最低で73.1%だという、これは”就職氷河期”といわれた
2000年10月(調査)の73.5%より0.4%低い。高卒の内定率に至っては68・1%
(昨年11月)と前年同月に比べて9・9%も落ち込んでいる。景気が悪いのが、最
大の原因だが、政治の停滞がこれに輪をかけている。

古い話で恐縮だが、昭和28年(1953年)も大変な就職難の年だった。戦後の学制
改革で、旧制と新制の大学生が一緒に卒業、経済もまだ高度成長軌道に乗ってい
ない時代だった。それこそ昭和初期の”大學は出たけれど”の時と同じであった。
幸い、僕は就職口があったけれども、友人の中には、就職できず学生時代の進駐軍
のバーテンダーのアルバイトをそのまま続けている者もいた。

先日の新聞に大学生の就職人気ランキングが載っていた。男女総合ランキングでは
一位が全日空(ANA)、二位伊藤忠、三位三井物産、四位資生堂、五位オリエンタル
ーランドという順位だった。今の学生たちの就職志向が判るが、会社の名前は変わっ
ても、大手志向なのは変わりがない。

昭和28年当時はどうだったかー。文系では新聞社や映画会社、出版社などに人気が
あり、商船会社も難関だった。テレビも航空会社もまだなかった。理系では製鉄、炭鉱
などへの就職希望者が多かった。石炭から石油へのエネルギー”革命”以前の時代で
ある。

日本航空は、この年資本金20億円(うち10億円は政府出費)で発足、以来毎年大学生
の就職ランキングの上位を占めていたが、今年は52位である。時代の変遷である。”寄
らば大樹の下”という諺があったが、今はどうなのだろう。難しい時代だ。