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「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

     「飛梅」 主(あるじ)なしとて春を忘れな

2010-01-26 07:11:30 | Weblog
今年の東京は梅の開花が例年より遅れていたが、やはり季節の歩みだ。家の裏の高台
の家の白梅(写真)は、盛りを過ぎ散り始めてきた。まだ子どもが幼かった頃から花を咲
かせていたから、40年の古木である。散った花びらが車に轢かれて憐れである。

年々歳々、梅の咲く季節になると想い出すのは、菅原道真作といわれる、あの歌である。
   ◇東風(こち)吹かばにおいおこせよ梅花主(あるじ)なしとて春を忘れな
60数年前、旧制中学の頃、国語の時間で学んだ気があるがはっきりしない。901年右大
臣だった菅原道真が藤原一族の陰謀にあい九州の大宰府に左遷され都を去る時の歌と
されている。

しかし、調べてみると、この歌が歌集に紹介されているのは、道真が死去した903年から
100年年も経った寛弘2年(1005年)の拾遺歌集である。そして、その後平安時代後期
の大鏡にも紹介され、さらには鎌倉時代の源平盛衰記にも登場している。いってみれば、
一種の説話的な歌であった。

この歌にちなんで「飛梅」説話もある。道真(天神様)が梅がこよなく愛で、都を去るのが忍
びなかったため、梅がそれを察して一夜にして都から大宰府に飛び花を咲かせたという話だ。

家の裏の白梅の持主はもう二代目である。このあたりは戦前の住宅地であるため、敷地が
広く大概は遺産相続のさい、分割化され立木も伐られている。幸いこの白梅は残ったが、ま
た、家が売りに出される話が出てきている、来年は果たして梅見がみられるかどうか。