「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

高倉健の美学 菅原文太の哲学 同世代人の死

2014-12-03 06:00:36 | Weblog
高倉健についで菅原文太が相次いで亡くなった。二人とも昭和1ケタ世代であり、高倉健に至っては僕と生年月日がまったく同じである。死因は高倉健が前立腺がんに起因する悪性リンパ腫、菅原文太が転移性肝がんによる肝不全である。つまり、がんが二人の名優の命を奪った。僕は大腸がんで入院中に高倉の訃報を聞き、退院直後に菅原の死を知った。僕は過去に4回、膀胱がんの摘出手術をしているだけに、同時代人として、なんとも複雑な気持ちだ。

昨夜のNHKラジオの深夜便の「私の友人仲間たち」というコーナーの中で、ダウン・タウン・ヴギウギバンドの宇崎竜童が、生前交流のあった高倉健と菅原文太を顧みて、晩年の高倉健の生き様は「美学」、菅原は「哲学」だと評していた。恥ずかしながら、僕は同じ世代でありながら、二人の演じた映画は見ていないし、もちろん交流はないから二人については知らない。

しかし、二人の逝去後、マスコミが伝える話を読むと、晩年の二人の生き様は高倉が「美学」、菅原が「哲学」という評は理解できる。高倉は自分のがんについては公にせず、密葬後10日もたってからマスコミに発表している。おそらく、生前、遺族に対してそう手配していたに違いない。一方、菅原は自分の病を自覚し、亡くなる直前まで”仁義ある”がんとの闘病について講演会まで開いている。さきの東京都知事選で、脱原発を訴えた元細川護煕総理を支持したのも菅原の「哲学」であろう。

二人とも戦中は"銃後の小国民”世代、戦後は国のの復興のため自分を忘れて働いてきた。僕らの世代の”キーワード”は「一生懸命」であったような気がする。昭和の時代も遠くなりつつある。