「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

冬至 一陽来復を願って柚子湯風呂

2014-12-22 05:42:17 | Weblog
今日12月22日は冬至である。一年で昼間の時間が一番短い。同時に一陽来復、運が向上する日とされている。わが家は今年一年、夫婦が共に入院するなどあまり良い年ではなかった。そこで、言い伝えに従って風邪をひかないよう、カボチャをを食べ、柚子(ゆず)湯に入り,ひたすら一陽来復を願うことにした。

来年、結婚60年、ダイヤモンド婚を迎える夫婦だから日常会話にはことかかない。柚子湯の話からわが家に”お風呂”がいつ入ったかの話になった。昭和30年4月に結婚したが、新婚当時わが家には風呂場がなかった。東京23区内だが、当時まだわが家のあたりは、下水道は完備しておらず、いわんや都市ガスもなかった。老妻の話では翌31年に産まれた長女を連れて近所の銭湯に出かけていたという。

戦争末期から戦後間もなくの時代、都民生活の悩みの一つは入浴であった、燃料不足から公衆浴場が毎日開業しておらず、週何回かの開業日にはそれこそ”芋を洗うような”混雑ぶりであった。亡父と一緒に電車に乗り、多摩川を渡って川崎市の銭湯に出かけたこともあった。こんな時代だから、柚子風呂を楽しむなど生活の余裕はなかった。

狭いながらもわが家には今、ユニットバスの浴槽がある。足もろくそく伸ばせないが、スーパーから買ってきた柚子を二つ浴槽に浮かべ芳香を楽しんだ。老骨の身には厳冬の寒さが身にしみる。一陽来復、春の到来、運気の向上をただただ願うだけである。