「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

現代人のグルメ 秋刀魚(さんま)の炭火焼き

2017-09-13 05:11:50 | 2012・1・1
秋刀魚の季節である。文字どおり秋のサカナである。僕の住む目黒区でも区主催の「目黒SUNまつり」(通称)が、16日の日曜日、駅近くの田道公園を中心に開かれ、気仙沼から届くさんま5000匹が炭焼きにして配られる。落語の「目黒のさんま」のゆかりから、目黒には「さんままつり」が二つあり、本家?の目黒駅前商店街(品川区)主催のほうは、この10日に終わったばかりである。新聞によると、宮古市から届いたさんま7000匹が、炭火焼で供されたが、早朝から行列ができるほどの盛況であった。

落語噺「目黒のさんま」は、江戸時代、目黒に鷹狩にきた殿様が茶屋で食べたさんまの味が忘れられず、屋敷に帰って所望したが新鮮過ぎて不味かったという内容だったと思うが、「さんままつり」の炭火焼きも、現代版「目黒のさんま」だ。世はグルメ時代で美味しいものがあふれている。そんな中で食べるのがさんまの炭火焼きである。

僕は70年来の目黒の住人であり、産湯も目黒川沿いの病院であげているが「さんままつり」には出かけたことがない。あまりさんまへの郷愁がないのだ。落語噺にちょっと反するが、戦前昭和の時代、僕の住んでいた五反田駅周辺には大森海岸から朝とれたばかりの江戸前のさかなを売りに来ていた。今の季節ならハゼがいくらでも食べられた。都民が「さんま」「さんま」と言い出したのは、小津安二郎の映画「秋刀魚の味」「昭和37年)頃からではなかっただろうか。そういえば、この時代頃から、冷凍技術が発達して、都民も遠くの美味しい魚が食べられるようになった。

それにしても今年は不漁だそうで、東京では一匹200円もする。しかし、残念ながら80老では朝から並んで食べる元気はなくなってしまった。