介護施設の巡回バスで、旧都立大学跡地の桜修館中高校高庭横を通ったら、ススキのお化けといわれるパンパス.グラスが背高く伸びていた。3年前には杖をつきつつでも写真を撮りに来られたのだが、月日の移り変わりを感ずる。写真2017年9月14日撮影。
昨夜は旧暦8月の中秋の名月だった。残念ながら東京では雲間に隠れていたが、老人は老人なりの秋のものの哀れを感じた。秋のお月見というと、僕らの世代は、戦前昭和だった子供の頃を想い出す。庭に面した広い縁側、ススキを飾り、三宝にお団子を供して童謡”ウサギウサギ”を歌った情景だ。# うさぎうさぎ(小学校唱歌)「うさぎうさぎなにみてはねる 十五夜お月さん見てはねる」
十五夜お月さんにはもう一つ童謡がある。# 十五夜お月さん(野口雨情作詞、本居長世作曲)「十五夜お月さんん御機嫌さん 婆さんはお暇とりに 妹は田舎に貰われてゆく 母さんにもう一度会いたいな」1920年(大正9年)発表の歌だが、詩をよく読んでみると、時代を反映してか、もの悲しい歌だ。
子供のころ、月面の模様をみて、ウサギが餅つきしているように見え、ロマンを感じたものだ。竹取物語にも夢がった。今の子供たちはどうだろうか。1969年アポロ11号が月面着陸してからすでに半世紀、月の上でウサギが跳ねたり、餅つきしたりしているとは誰も思わないだろう。
▽ 月みればちじに物こそ悲しけれわが身一つの秋にはあらねど(大江千里)作者が歌を詠んだ心境はわからないが、僕は最近の自分の子供を虐待するおかしな狂った時代が思い浮かぶ。月にロマンを感じる時代が懐かしい。