元旦の夜から2日にかけてみる夢を初夢という。「一富士二鷹三茄子」の順でよい夢だというが、卆寿にしていまだかってみたことはない。ただ加齢と共に、あの賑やかでめでたかった戦前の正月風景が夢のように想い出されてくる。
♯ 「1月1日」 (千家尊福作詞 小学唱歌)
年のはじめのためしとて 終わりなき世のめでたさを
松竹たてて門(かど)ごとに 祝う今日こそめでたかれ
この歌をきくと、僕は松竹の飾りとともに日の丸の旗がが青空の朝日に輝き、紋付き袴に着飾ったお屠蘇気分の年始客の姿が浮かんでくるが、同時に家族、隣近所の子供が集まって賑やかに遊んだ情景を想い出されてくる。
遊び事の筆頭は百人一首、いろはカルタ、双六、福笑い、トランプ、家族合わせなどのゲーム。子供には百人一首は少し難しかったが”坊主めくり”という遊びもあった。トランプ遊びには、「七(しち)並べ」「ババ抜き」「ダウと」「神経衰弱」などなどあったが、どの遊びも今のように一人で遊ぶようなゲームはなかった。
戦争の足音が聞こえ始めてきたが、昭和10年代の始めは、まだまだ良い時代であった。最近、すっかり物覚えが悪くなった僕だが、この子供時代のお正月はは忘れられない。