「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

追憶 武漢三鎮 攻略戦の頃

2020-01-26 05:09:50 | 2012・1・1
「武漢」の漢字が連日新聞を賑わせテレビから耳に入ってくる。中国内陸部のあまり日本人には馴染みが薄い都市だが、ここを発生源とする新型コロナウイルスによる肺炎が中国を中心に猛威をふるい、折から春節の休暇に入ったは中国では海外への団体旅行を中止するなど”臨戦"態勢だ。わが国でも3人の患者が確認されている。

僕ら昭和1ケタ世代は「武漢」と聞くと「武漢三鎮」を思い出す。昭和12年7月に始まった日支事変は戦火が拡大、当時の新聞の表現をかりれば、重慶に逃げた蒋介石政権に”鉄槌”を下す重大戦局を迎えていた。それが武漢三鎮制圧戦だった。昭和13年6月から始まった制圧戦は10月、武漢の三鎮(都市)を構成する武昌、漢口、漢陽を完全占領した。当時小学校2年だった僕は祝賀提灯行列に参加したのを覚えている。

作家,火野葦兵の作品「麦と兵隊」は武漢に先立つ徐州作戦について書いたものだが、武漢作戦も文字通り”人馬が進む戦いだった。従軍した兵士も大変だったが、戦火に巻き込まれた庶民は流感どころではなかったであろう。今、その武漢には常駐日本人が710人おり、UNIQLO、の店舗が13軒あるという。80余年の歳月の流れを実感する。