大相撲令和2年1月場所は千秋楽の最後の一番で優勝が決まるという波乱の場所で、よりによって幕尻り西17枚目の徳勝龍が14勝1敗で賜杯を手にした。平幕幕尻での幕内優勝は平成12年3月場所の貴闘力以来20年目だという。
徳勝龍は力士としては若くない33歳である。過去の幕内成績(24場所)を見ても157勝201敗(昨場所まで)で過去の最高位は幕内4枚目、幕尻と十両との間を往来していた力士だ。言葉は悪いが、もう力士としては”トウがたって”しまったと思っていたのだが。優勝を決めた最後の一番で大関、貴景勝を破った瞬間土俵の上で男泣きしていた。その喜びはよくわかる。
大相撲には記録がつきものだが、平幕力士の優勝力士というと明治42年に両国国技館ができて以来111年間に高見山から朝之山まで、僅か30人しかいない。そのうち幕尻優勝は貴闘力についで二人目だ。奈良県出身の力士というと大正11年の鶴ケ濱以来98年ぶりだという。
双葉山の69連勝時代からの大相撲ファンの僕にとって気になるのは最近、平幕優勝力士がめだつことだ。大相撲の魅力の一つは,強豪無敵、横綱の強さだ。その横綱が毎場所のように負けては、休場を繰り返しているのではつまらない。横綱の土俵入りも興行のひっつのパーフォーマンスだ。その土俵入りがないのは羊頭狗肉だ。平幕優勝が面白いとは喜んでいられない。