海自(海上自衛隊)のPC哨戒機2機が中東海域の日本船舶の安全確保のための情報収集を目的に昨日、アデン湾に面するアフリカ東部のジプジに出発した。哨戒機は近く出発する護衛艦「たかなみ」と共にオマーン湾、アデン湾、アラビア海北部の公海での海賊にも対処するようだ。
この海域の一つオーマン湾からペルシャ湾にかけてはUAE(アラブ首長国連邦)が成立する1971年までは、英国の保護領で「休戦オーマン」とも「休戦海岸」とも時には「海賊海岸」とも呼ばれていた。18世紀ごろから、この海域は海賊が跋扈し、英国は沿岸のドバイ、アブダビなどの土侯国との間に休戦協定を結んでいた。手元にある蔵書「ペルシャワン真珠と石油と海賊」(川崎寅雄著 昭和34年 石油評論社)によると、マルコ.ポーロの昔から沿岸の住民は”凶暴な不信な人々”と恐れられ、海賊キャプテン.キットでさえ近寄らなかったという。
21世紀の今の時代、物取り目的の海賊は姿を消したが、地域紛争があとを絶たず、公海でも襲撃を受ける。昨年6月、日本のタンカー2隻が襲われたのは記憶に新しい。原油など80%以上、中東に依存しているわが国にとっては死活の問題である。イランと米国との対立で、中東海域の波高しを思わせる。昔の「海賊アラブ」ではないが、関係各国との間で話し合いを持つとともに、偶発的、突発的な事件、事故をさけるため自衛も必要かもしれない。