私が初めてスーツを着たのは、就職活動の時だった。
今でも覚えているが、それは当時アラン・ドロンのCMでお馴染のダーバンのスーツだった。
しかしそれはあくまで就活のためのよそ行き着で、日常着ではなかった。
当然、着慣れないのでしっくりこないし、肩も凝る。
傍から見ると、スーツに着られているような、似合っていない感アリアリだったに違いない。
入社してからは毎日スーツだ。
3ヵ月もすると馴染んで、いっぱしのサラリーマンスタイルが完成した。
以来、会社が完全フリーウェア制になるまで、30余年の長きにわたり一日の大半をスーツ姿で過ごした計算になる。
フリーウェアになってからも、大事な商談や出張、会社の式典、たまには気分転換のためにスーツを着用した。
ちなみに、当初は毎日着るものだからということで、安物を愛用していたが、バブルの頃はまわりのブランド志向にも影響されて、ブルックス・ブラザーズのメチャ高いスーツを着るようになった。
高額なだけに、生地や仕立てもいいので、安物よりはるかに長持ちした。
トラッドなスタイルなので、流行にも左右されない。
アメリカの大統領も愛用するというフレコミも、まんざら嘘ではないようだった。
役職定年の55歳以降は、経済的理由もあり、ワンランク下のJ.プレスに落ち着いた。
そして定年退職後はスーツを着ることなど皆無になった。
もしかすると、もう死ぬまでスーツを着ることなどないかもしれない。
断っておくが、この記事はスーツに対するセンチメンタリズムなどではない。
今や、ネット通販で気に入った服がメチャ安い価格で買えるので、サラリーマン時代には着ることのなかったスタイリッシュな服を、いろいろ着られるようになった。
サラリーマン時代のフリーウェアとは意味合いが異なる、いわばスーツからの真の解放だ。
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