Kinema DENBEY since January 1. 2007

☆=☆☆☆☆☆
◎=☆☆☆☆
◇=☆☆☆
△=☆☆
▽=☆

みえない雲

2014年05月13日 01時27分25秒 | 洋画2006年

 ◎みえない雲(DIE WOLKE 英題The Cloud 2006年 ドイツ)

 1986年にチェルノブイリで放射性物質漏洩事故があって、

 それをもとに1987年、ドイツでヤングアダルト向けの小説が出た。

 これがさらに漫画化され、映画の原作にもなるんだけど、

 ちょっと民度っていったら怒られるかもしれないが、

 さすがにドイツはちゃんとしてるとおもった。

 日本が舞台だったら、

 こういう小説は出せたところで読者は限られるだろうし、

 さらにいえば、テレビドラマ化なんてことはまずもって考えられない。

 映画になったとしても、観客はやはり限られちゃうだろう。

 で、日本では、小説も漫画も出版され、映画も公開された。

 反響はどうだったかといえば、まあ、そんなところだ。

 原子力発電所が放射性物質の漏洩事故を起こさないという絶対的な保証はない。

 漏洩した放射性物質を大量に含んだ雲が町や野を覆って雨を降らせ、

 これによって被曝した人々が大量に出、

 つぎつぎに悲惨な結果を迎えることだってありえる。

 ちなみに、

 主演したパウラ・カレンベルクは、

 チェルノブイリ事故のとき、胎児だったそうだ。

 美しく健康的な外見ながら、

 心臓に穴が開いた状態で生まれ、片方の肺はなかったらしい。

 でも、がんばって映画の主演を果たしてる。

 原作は、ドイツ児童文学賞を受賞し、

 映画は、ドイツ映画賞2007で最優秀青少年向け青春映画にノミネートされた。

 ドイツでは、

 制作者側も観客側もきわめて冷静で、

 原子力に対して賛成とも反対ともこの映画を核にして声高な議論はないはずだ。

 それでいい。

 映画は、

 原子力発電所の事故にたまさか巻き込まれてしまった人々の悲劇を、

 淡々と追いかけているだけなんだから。

 受賞についても、製作についても、感想についても、

 すべてをひっくるめて、さすが、ドイツだ。

 できれば、日本でもヒットしてほしかったんだけど、

 なんで、そうならなかったんだろね?

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マーシャルの奇跡

2013年12月17日 12時12分53秒 | 洋画2006年

 ◇マーシャルの奇跡(2006年 アメリカ 131分)

 原題 We Are Marshall

 staff 監督/マックG 製作/マックG ベイジル・イヴァニク

     原案/ジェイミー・リンデン コーリー・ヘルムズ

     脚本/ジェイミー・リンデン 撮影/シェーン・ハールバット

     美術/トム・マイヤー 衣装デザイン/ダニー・グリッカー

     音楽/クリストフ・ベック 挿入曲/ニール・ダイアモンド 『Cracklin' Rosie』

 cast マシュー・マコノヒー マシュー・フォックス イアン・マクシェーン ケイト・マーラ

 

 ◇Southern Airways Flight 932

 1977年4月4日、ジョージア州ニューホープで航空機の事故が起こった。

 アラバマ州ハンツビル発ジョージア州アトランタ行のサザン航空242便が、

 突然の暴風雨と巨大な雹によってエンジン停止の状態となり、

 ニューホープの高速道路への緊急着陸を余儀なくされ、

 タッチダウンはうまくいったものの、電柱や道路標識にひっかかり、

 大きくバウンドして付近のガソリンスタンドや店舗に衝突、炎上した。

 この事故による犠牲者は最初72名だったんだけど、まもなく増えた。

 その中に、マーシャル大学のアメフト部75名がいた。

 マーシャルは全米有数の強豪チームで、このときも遠征の帰り道だった。

 チームは解散の危機に見舞われたんだけど、

 この復活をかけて町中が応援する態勢をとり、

 他大学でコーチを務めてたジャック・レンゲルがやってきて、

 見事に再生を遂げるという、まさに奇跡のような実話がこれだ。

 もちろん、寄せ集めのチームだから、

 全米の強豪に返り咲くまでにはいたらないものの、

 チームのあるハンティントンの市民たちの、

 喪失からの再生という主題はちゃんと描かれてる。

 アメリカ人の大好きな主題といってよく、

 ぼくもこうした主題は好きだ。

 でも、

 日本の観客層はこういう映画は好みじゃないのかもしれず、

 もちろん、

 絵作りや配役などの興行面を考慮した問題があったかもしれないけど、

 劇場で公開されなかったことだ。

 こういうところが、この国は辛いんだよな~。

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アメイジング・グレイス

2013年11月19日 11時41分04秒 | 洋画2006年

 ◎アメイジング・グレイス(2006年 イギリス 118分)

 原題 Amazing Grace

 staff 監督/マイケル・アプテッド 脚本/スティーヴン・ナイト

     撮影/レミー・アデファラシン 衣装デザイン/ジェニー・ビーヴァン

     ヘアメイク/ジェニー・シャーコア 音楽/デイヴィッド・アーノルド

 cast ヨアン・グリフィズ ロモーラ・ガライ ベネディクト・カンバーバッチ アルバート・フィニー

 

 ◎1787年5月、ウィルバーフォース活動開始。

 先に讃美歌Amazing Graceについてふれておくと、

 曲はアイルランドかスコットランドあたりの民謡を掛け合わせたものらしい。

 詞はジョン・ニュートンという牧師が書いた。

 1772年のことだ。

 ニュートンは1725年に生まれた。

 父親が船乗りだったもので彼もまた船乗りになり、奴隷貿易に従事した。

 でも1748年に嵐にあって神に祈ったことから心根が変わり、

 1755年についに船を下りて牧師になった。

 それで、Amazing Graceが作られたわけだけど、

 曲の中身は、

「神の恵みが自分を恐怖と苦悶と誘惑と愚昧から救ってくれた」

 っていうものだけど、もちろん、それは奴隷貿易の愚かさをいってる。

 さて、そこでこの作品だ。

 主人公はイギリスの政治家のウィリアム・ウィルバーフォースだ。

 ウィルバーフォースは奴隷廃止論者だが、かれに助言したのがジョン・ニュートン。

 このふたりの関係は映画にも出てくる。

 映画では、

 ウィルバーフォースが、親友にして首相のウィリアム・ピットに励まされ、

 その親友の死の一年後つまり1807年に、

 奴隷貿易廃止法案を可決させるところが中心になってるんだけど、

 いやまあ、実際のところは実に大変だったらしい。

 だって、奴隷そのものを廃止しなければ、

 貿易だけを廃止にしてもどうにもならないわけで、

 ウィルバーフォースの奴隷廃止運動は、

 1787年から1833年7月26日まで続けられた。

 その日は奴隷制廃止法案がようやく庶民院を通過した日だったんだけど、

 かれの死は、それからわずか3日後だ。

 映画は、もちろん、その過程をすべて描いているわけじゃない。

 年表みたいな物語を作ることほど愚かしいものはないからだ。

 そういう点、欧米の伝記物は映画の語り口と見せ場をよく心得てる。

 この映画も例外じゃなくて、

 ウィルバーフォースの熱血ぶりはよく描かれてるし、

 そこに友情と恋愛をほどよく絡めているのも上手だ。

 なんていうんだろ、

 伝記物の教科書みたいな映画だったな~。

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フローズン・タイム

2013年11月14日 02時36分57秒 | 洋画2006年

 ◇フローズン・タイム(2006年 イギリス 102分)

 原題 Cash Back

 staff 監督・脚本/ショーン・エリス

     製作/ショーン・エリス レネ・バウセガー 撮影/アンガス・ハドソン

     美術/モーガン・ケネディ 衣装デザイン/ヴィッキー・ラッセル

     メイクアップ/ルイーザ・マレー 音楽/ガイ・ファーレイ

 cast ショーン・ビガースタッフ エミリア・フォックス ショーン・エヴァンス

 

 ◇時間よ止まれ

 誰もが憧れる能力は、なんといっても時間を止めてしまうことだ。

 ショーン・ビガースタッフの役どころは美大生だから、

 失恋の痛手があまりにも辛すぎて、

 突然、時間を止められるようになったとき、

 アルバイトしているスーパーの客の中から綺麗な女性を選び出し、

 彼女たちを脱がせてデッサンをしていくわけだけど、

 まあ、人はそれぞれだから、

 時間を止めたときになにをするかはその人の趣味によって違う。

 けど、そのあたりが、いかにも写真家の監督の趣味だよね。

 筋立てはありきたりな恋物語ではあるけれど、

 どうしてもその画面の美しさに目がいく。

 ことに映画の中でゆいいつCGを使用したっていう佳境の雪の場面は、

 そりゃもう、美しかった。

 この場面を観るためにえんえんと映画を観たようなもので、

 それよりも、たった4日間で撮影したっていうスーパーの場面を、

 いったいどうやって撮影したんだろうってことに興味がいく。

 CGを使ってないとしたら、

 スチールで「フローズンタイム」を作るように、

 髪の毛から衣装にいたるまで、

 時が止まったように作り込まなくちゃいけないわけで、

 その作業の大変さは、想像するだにため息が出る。

 演出に感心するっていうより、撮影現場の大変さに感心するわ~。

 ただ、この映画の無修正版がやけに注目されてるみたいだけど、

 どういうわけか、そっちの方には興味がいかなかったんだよね。

 自分ながら、ちょっと不思議だ。

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女帝 エンペラー

2013年09月25日 21時35分51秒 | 洋画2006年

 ◎女帝 エンペラー(2006年 中国、香港 131分)

 原題 夜宴

 英題 The Banquet

 staff 原作/ウィリアム・シェイクスピア『ハムレット』

     監督/馮小剛 製作総指揮/王中磊 袁和平 脚本/盛和 邱剛建

     武術指導/袁和平 撮影/張黎 美術・衣裳/葉錦添 音楽/譚盾

 cast 章子怡 葛優 呉彦祖 周迅 馬精武 黄暁明

 

 ◎五代十国時代

 古代中国で仮面が作られていたのは、

 長江の流域、すなわち蜀から楚へいたる大地だったらしい。

 ただ、それが五代十国時代まで続いていたかどうかは、ぼくは知らない。

 五代十国時代といえば、もう、唐が滅んだあとだから、

 西暦でいえば、950年前後の話だ。

 それにしてはやけに古代の、それも五胡十六国時代よりも前、

 ことによれば三国時代のような印象のある映像なんだけど、

 まあ、そのあたりはよしとしよう。

 そもそもシェイクスピアを中国にもってきてるわけだから、ね。

 けど、ここで登場する仮面劇のくだりは、実に見事だ。

 もしかしたら『ハムレット』をどの映画よりも上手に消化してるんじゃないか、

 とまで感じる内容と映像に仕上げられてるのには、驚いた。

 監督のフォン・シャオガンの美的センスは、凄いわ。

 チャン・ツィイーがどちらかといえば童顔なせいで、

 夫殺しの義弟に対する復讐劇という凄絶な役がらに似つかわしいかどうか、

 てなところはなきにしもあらずなんだけど、

 でも、かなり象徴的な空間に仕上げられてる宮廷内はダークな美しさがあるし、

 竹林とかの活劇場面もまた凝ったセットが作られてるし、

 いやまじ、かなわんな~と。

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バンディダス

2013年08月28日 02時01分34秒 | 洋画2006年

 △バンディダス(2006年 フランス、メキシコ、アメリカ 93分)

 原題 Bandidas

 staff 監督/ヨアキム・ローニング エスペン・サンドバーグ

     製作/リュック・ベッソン アリエル・ゼトゥン

     脚本/リュック・ベッソン ロバート・マーク・ケイメン

     撮影/ティエリー・アルボガスト 美術/ユーグ・ティッサンディエ

     特撮/ロレンチオ・コルデロ ロドルフ・シャブリエ ブリュノ・ショファール

     衣装/オリビエ・ベリオ 音楽/エリック・セラ

 cast ペネロペ・クルス サルマ・ハエック サム・シェパード スティーブ・ザーン

 

 △ヒーハー!はいいけど…

 原題の意味は、女盗賊らしい。

 しかも、かなりの大作に見える。

 でも、いつものことながら、

 ぼくは、リュック・ベッソンとはもしかしたら相性が好くないんだろうか?

 と、おもっちゃう。

 ペネロペ・クルスがご贔屓だから観なくちゃおさまらないんだけど、

 なんていうんだろう、

 ベッソンのおもっているツボと僕のツボはなにかが違うんだよね、きっと。

 西部劇の時代、

 メキシコの良家の子女がちゃらんぽらんな盗賊劇に巻き込まれるんだよ、

 しかも、ウェディングドレス、喪服、踊り子、カウガールとコスプレめじろ押しで、

 とかっていわれたら、あ、それ、おもしろいかも、とはおもうものの、

 完成した作品を観ると、なんか違うな~と感じちゃう。

 たしかにペネロペはどうしようもなく魅力的で、

 それはそれで満足はするんだけど、

 作品の持ってる軽さや笑いどころみたいなものなんだろうか、

 ともかく、ちょっと、ずれる。

 そうとしかいえないんだな、これが。

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守護神

2013年08月02日 16時43分26秒 | 洋画2006年

 ◇守護神(2006年 アメリカ 139分)

 原題 The Guardian

 staff 監督/アンドリュー・デイヴィス

     脚本/ロン・L・ブリンカーホフ 撮影/ステファン・ST.ジョン

     美術/メイハー・アーマッド 視覚効果監修/ウィリアム・メサ

     タイトル・デザイン/ガーソン・ユー 音楽/トレヴァー・ラビン

 cast ケビン・コスナー アシュトン・カッチャー ニール・マクドノー メリッサ・セイジミラー

 

 ◇ハリウッド版海猿?

 そんな指摘をいろんなところで聞いた。

 まさかハリウッドがそんなことするかよ、とおもいつつも、

 ちょっぴり、不安になった。

 で、観るのが「なんだかな~」とおもってたんだけど、

 まあ『海猿』は海上保安庁の潜水士だし、

 こちらはアメリカ沿岸警備隊の救命士ってことで、

 なるほど、たしかに、似て非なるものではある。

 この映画がアメリカで封切られたのは、2006年9月29日。

『海猿』が封切られたのは、2004年6月12日。

 この映画は2006年の初頭に役者たちがトレーニングを始めたらしいから、

 制作が決定されたのは、たぶん、2005年の夏頃だったんじゃないだろか?

 となると、作品を発想する上でなんらかのヒントになったのかどうか…。

 でも、わからない。

 内容はたしかに「海猿」は訓練生の話で、こちらは教育官の話ではあるけど、

 海上で遭難した人を助けるという点においてはよく似ているし、

 そんなことをいいだしたら、

 どちらも『愛と青春の旅立ち』や『ハートブレイク・リッジ』にも見えてくる。

 リメイクとかいう噂も聞いたけど、

 リメイクというのは設定が国や地域を除いて後はおんなじで、

 ことに、あらすじはほとんどそのままというのが条件だから、

 これは明らかにちがう。

 また、

 勝手に設定も筋立てもおんなじにしてしまう著作権の侵害にもあたらない。

 となると、これは「ほとんど別物」と考えるのが妥当なんだろね。

 ちなみに、

 英語で守護神というのは「a guardian god」となるんで、

 原題の「The Guardian」からだと「守護する者」とかって感じになるのかしら。

 とかく日本人は人間を神に見立てるのが好きなんで、

 どうしてもこういう邦題になるんだろうけど、

 神格化されることをベン・ランドールが望んでたかどうかはちょっとわからない。

 まあ、最後になって、最後の救命を終えて海に散ったあと、

「声が聞こえた」

 と生還者が呟くのは、守護神になったのどうか。

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サイレントヒル

2013年07月20日 00時22分37秒 | 洋画2006年

 ◇サイレントヒル(2006年 カナダ、フランス 126分)

 原題 Silent Hill

 staff 原作/「コナミ」『サイレントヒル』

     監督/クリストフ・ガンズ 脚本/ロジャー・エイヴァリー

     ストーリー原案/クリストフ・ガンズ ニコラ・ブークリエフ

     製作総指揮/ヴィクター・ハディダ 山岡晃 アンドリュー・メイソン

     撮影/ダン・ローステン 美術:エリノア・ローズ・ガルブレイス

     プロダクション・デザイン/キャロル・スピア

     衣裳/ウェンディ・パートリッジ 音楽/ジェフ・ダナ

     クリーチャーデザイン/パトリック・タトポロス パトリック・タトポロス

     特殊メイク監修/ポール・ジョーンズ

     特殊メイク/パトリック・タトプロス パトリック・バクスター ニール・モリル

     視覚効果製作/ホリー・ラドクリフ

 cast ラダ・ミッチェル ショーン・ビーン ローリー・ホールデン ジョデル・フェルランド

 

 ◇灰の降る町

 ぼくは、ゲームをしない。

 ていうより、したいんだけど、してる余裕がない。

 だから『バイオハザード』も映画を観るだけだし、この作品もそうだ。

 両作品の違いは、ヒロインが攻撃的かどうかってことで、

 この映画は明らかに巻き込まれ型で、ラダ・ミッチェルはひたすら逃げてる。

 もうすこし能動的になってもいいような気もするんだけどね。

 まあ、それはそれとして、

 灰がしきりに降り続いている町っていう発想は、良い。

 地下の鉱山が火事になってそれがいっこうに鎮火してないっていう、

 実際にアメリカにある町がモチーフになってるから余計に好奇心をくすぐられる。

 でも、

 教会に集ってる教団の人達は、いったいどうやって生きてるんだろう?

 町が閉鎖されてるんだから、食糧が供給されてくるわけでもないだろうし、

 こんな人間の棲めないような町に棲み続けてるってのがそもそも不思議だ。

 また、クリーチャーたちもなんでこの町に発生してるのかってのも、謎だ。

 悪魔の子を宿すにはそれなりの理由があるはずで、

 そういうのをすべてすっ飛ばして、

 ひたすら、次元のちがう世界に養女を探しに行く夫婦に徹してる。

 映像は悪くないんだけど、

 最後まで納得しにくい設定はちょっと無理があるような気もしないではない。

 ただ、この映画については、

 以前、まだ浅草に名画座があったとき、何度かポスターを見かけた。

 普通、通りすがりの映画館のポスターなんて忘れちゃうんだけど、

 やけに印象に残ってて、いつか観たいな~とおもってた。

 そういう映画もあるんだよね。

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クィーン

2013年07月19日 12時02分39秒 | 洋画2006年

 ◎クィーン(2006年 イギリス、フランス、イタリア 104分)

 原題 The Queen

 staff 監督/スティーブン・フリアーズ 脚本/ピーター・モーガン

     撮影/アフォンソ・ビート 美術/アラン・マクドナルド

     衣裳デザイン/コンソラータ・ボイル 音楽/アレクサンドル・デスプラ

 cast ヘレン・ミレン マイケル・シーン アレックス・ジェニングス ジェームズ・クロムウェル

 

 ◎1997年8月31日、ダイアナ事故死

 この事故の報道と、その後のいろんな憶測や報道については、

 いまだにけっこう鮮やかに覚えてるのは、

 それだけ、過剰っていってもいいくらいに報道されたからだろう。

 いちばん記憶に残ってるのは、

 たしかダイアナの葬儀のとき、エリザベス女王が葬儀に出席してる間、

 半旗が掲げられたことだ。

 バッキンガム宮殿に半旗が掲げられる習慣はないはずで、

 これはおそらく大英帝国の歴史の中でもなかったんじゃないかしら。

 ぼくは、この一連の報道にちょっと辟易してるところがあって、

 極東の英国とはなんの関係もない一介の凡夫にしてそうなんだから、

 英国王室としても好い加減にしてくれってな感じだったろう。

 そのときの日々を映画化したものだ。

 いやまあ、よくも映画にしたよねって話ではあるけれど、

 国民の信頼を得、

 絆を深めてゆくことを第一義としなければならない立場の女性ってのは、

 世界中さがしてもなかなかいるもんじゃなく、

 中でもイギリスの王というのは、英連邦すべての王であるわけで、

 現在でも、

 エリザベス女王に直接的ないし間接的に統治されてる国は、

 地球上いたるところにあって、

 そのために、

 いろんなストレスを犠牲にしなくちゃいけないって展開になってる。

 この映画が英国王室や英国議会のプロパガンダかどうかって話もあるけど、

 まあ、それについてはともかくとして、

 ヘレン・ミレンはものすごく嵌まってた。

 好演してるし、なにより女王よりちょっと痩せてるだけで、まじ、そっくりだった。

 実際のエリザベス女王もこういう人なんだろな~、

 と、おもえた。

 それに、製作者側もよく調べてて、

 女王がひとりでクルマをかっ飛ばしていく件りは、

 戦時中、英国女子国防軍に入隊して、

 弾薬の補給や管理から軍用トラックの運転までこなしたのがよくわかり、

 いやあ、かっこよかった。

 ま、いろいろな意見はあるにせよ、

 人間、いろんな立場があって、その立場が公なものであればあるほど、

 自分の意見や好悪は押し隠していかなくちゃいけないけれど、

 どんな人間だって、午後の紅茶は愉しむし、笑顔で語り合えるし、

 家庭にあってはその立場の者として、

 子どもや孫やときには嫁に対しても愛情を注ぐんだよってな話でした。

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ドレスデン、運命の日

2013年06月21日 15時26分02秒 | 洋画2006年

 ◇ドレスデン、運命の日(2006年 ドイツ 106分)

 原題 Dresden

 staff 監督/ローランド・ズゾ・リヒター 脚本/シュテファン・コルディッツ

     撮影/ホリー・フィンク アートディレクター/ニルス・アイヒベルグ

     美術/トーマス・シュタンマー 衣裳デザイン/ルシア・ファウスト

     特殊効果/カール・ハインツ・ボフニッヒ デーニス・ベーンケ

 cast フェリシタス・ヴォル ジョン・ライト ベンヤミン・サドラー マリー・ボイマー

 

 ◇1945年2月13日22時14分、ドレスデン大空襲

 ふとおもったのは、

 連合国は、ドレスデンに対して、慰霊碑を立てるような行動をしてるんだろうかってこと。

 そしたら、あった。

 2005年10月30日に再生されたフラウエン教会(聖母教会)が、それだ。

 この教会は丸2日にわたってドレスデンが爆撃され続けた際、

 炎上崩壊し、東ドイツに組み込まれてしまったため、

 空襲の記念として瓦礫だけはなんとか撤去されずにいたものの、

 共産主義社会においては教会なんてものは無意味だとされて、

 1990年の東西ドイツ統一まで、瓦礫の山だった。

 それが、11年かかって再建されたんだけど、

 そのとき、イギリスから塔の上の十字架が「和解の印」として贈られた。

 もともとあった十字架は、戦禍を被ったままの状態で、教会内に展示されてる。

 こうしたあたり、ヨーロッパ社会はそれなりにまとまってるなと感じるけど、

 アジアはどうなんだろね?

 ま、それはそれとして、

 絨毯爆撃ほど非人道的なことはなく、

 ドレスデンと同じような悲劇に見舞われた都市はそこらじゅうにある。

 世界で、いったい何万人の民間人が、死んだんだろう?

 ま、そんなことをおもいつつ、映画だ。

 アメリカ軍のパイロットが撃墜されても生きてて、

 たまさか忍び込んだ病院の看護婦に介抱され、

 看護婦には婚約者がいるにもかかわらず恋に落ちるって設定はよくあるけど、

 この映画の場合、

 この看護婦の父親が病院の経営者でモルヒネの横流しで多額の金を横領してて、

 この金と家族を抱えてスイスに亡命しようとしてるってのが味噌だ。

 まあ、それらのことが全部暴露されつつ、ふたりで逃避行に入ったその日が、

 2月13日っていう設定は、まあ、それよりほかに考えられないけどね。

 ただ、よく撮ってるわ~。

 ドイツではテレビ映画として放映されて、劇場公開はされなかったみたいだけどね。

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素敵な人生のはじめ方

2013年06月07日 20時43分06秒 | 洋画2006年

 ◇素敵な人生のはじめ方(2006年 アメリカ 82分)

 原題 10 Items or Less

 staff 監督・脚本/ブラッド・シルバーリング 製作総指揮/モーガン・フリーマン

     撮影/フェドン・パパマイケル 美術/デニス・ピッツィーニ

     衣装デザイン/アイシス・マッセンデン 音楽/アントニオ・ピント

 cast モーガン・フリーマン パス・ベガ ボビー・カナヴェイル ダニー・デヴィート

 

 ◇10品か、それ以下

 なるほど、合理的だとおもう。

 というのは、アメリカのスーパーのレジのことだ。

 日本語で書けば、

「ご購入されるお品が10品かそれよりも少ないお客様はこちらのレジで受け賜ります」

 となるところを、アメリカのスーパーではなんともつっけんどんに、こう掲げる。

「10 Items or Less」

 合理的というのはこの仕組みで、

 たしかに、スーパーで並んでるとき、

 品数の少ない籠を下げている人を見ると、その後ろに並びたくなる。

 レジ打ちの側にしても、そうだろう。

 購入品目の少ない客はひと所で次々に処理した方が、速い。

 日本のスーパーではまったくといっていいほど見られない光景だ。

 で、こういう札が掲げられているスーパーというのは、

 田舎か、都市部の中でも下層階級の棲んでいる地域で、

 要するに、あんまり品の好いところじゃない。

 そんなところにやってくる客もたかが知れているし、働いている人間も同様だ。

 ということを、このレジの札は象徴している。

 わかりやすくて、いい原題だ。

 で、そんなスーパーにやってくるのが、モーガン・フリーマン演ずる映画俳優。

 4年間も役がつかず、もうインディペンデントの映画しか出演の機会がない。

 哀れな役どころだ。

 フリーマンが声をかけたレジ係パス・ベガも哀れなものだ。

 店長の夫は、彼女と同じレジ係に手をつけ、妊娠までさせ、彼女を捨てた。

 だから、パス・ベガとしては新たな人生をはじめるしかなく、

 建設会社の面接を受けようとしている。

 似た者同士ってことになるんだけど、

 フリーマンはそんな彼女にあれこれと世話を焼き、

 人生に絶望し、斜に構え、投げやりに面接を受けようとする彼女を励まし、

 なんとか、彼女に微笑みを取り戻させ、もう一度、人生に賭けてみようと、

 そんなふうな決意をちょっとだけするようになるってだけの、

 小ぢんまりとした話だ。

 けれど、これがアメリカの今かとおもわせるのは、英語が通じないことだ。

 ヒスパニック系や中国系や、ともかくいろんな系統の人種が坩堝になってるから、

 英語が英語でなくなってる。

 そんな地域で生きていくのは大変だし、そうした人達はそんな地域にしか棲めない。

 アメリカの現実、アメリカの事情。

 それを、ほんの半日の、

 ひとりのじーちゃんとおねーちゃんを追い掛けただけの話で、見せてくれる。

 モーガン・フリーマンは、たぶん、こういう映画を撮りたかったんだろう。

 地味だけど、どこかに輝くところがあって、決して誇張しない内容の作品を。

 でも、観客はそういうフリーマンを期待しちゃいない。

 ロバート・レッドフォードも、ブラッド・ピットも、みんな、そうだ。

 等身大の人間を演じてみたい、等身大の世界を描いてみたい。

 同じように想い、同じように考え、同じように悩んで、

 同じような映画を作ってる。

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孫文 100年先を見た男

2013年06月04日 23時25分35秒 | 洋画2006年

 ◇孫文 100年先を見た男(2006年 中国 127分)

 原題 ROAD TO DAWN

 staff 監督/デレク・チウ 脚本/メイ・ズー

     撮影/チェン・チーイン 美術/テレンス・フォック

     音楽/パン・クオシン スー・ジュンジェ

 cast ウィンストン・チャオ アンジェリカ・リー ウー・ユエ チャオ・チョン チャオ・チョン

 

 ◇1910年7月19日、孫中山ペナン到着。

 中山というのは孫文の字なんだけど、

 そもそもこの字をつけたのは日本へ亡命していたときのことで、

 日比谷公園の近くに住んでいたとき、近くに中山さんっていう人の屋敷があり、

 その表札をひと目見るや気に入り、字にしたんだと。

 で、亡命してるときの変名が中山樵だってんだから、よほど気に入ったんだろう。

 現在の中国の人達も、まさか孫中山の字が日本人の苗字だとは知らないよね。

 で、この孫文、36歳、亡命してるときに最初の結婚をしてる。

 それも相手は日本人で、大月薫っていうらしい。

 この人のお孫さんだったか、この映画が封切られたときに講演会をされた。

 孫文という革命家は中国でも台湾でも尊敬されてる大きな存在だけど、

 日本でもたぶん好意をもって語られる人物なんじゃないだろか。

「辛亥革命の手本は明治維新である」

 というようなことをいったりして、

 少なくない日本人たちと手を携え、

 革命の本拠地を日本に置いた事実も関係してるだろう。

 だから、孫文の映画は日本でも作れるはずで、

 もちろん、語り部は大月薫ってことになるよね。

 ところが、どういうわけか、中国とかではよく孫文の映画は製作されるけど、

 日本に亡命してたときの話はほとんどないし、薫の話は皆無だ。

 なんだかな~とおもうのは余計なお世話なんだろうか?

 で、この映画だ。

 舞台は、マレー半島の島ペナン。

 1999年だったか、友達と出かけたことがある。

 タイのバンコクから夜行列車に乗って国境を越え、朝、ペナンに入った。

 たしかバーツの残りがまるでなくて、

 朝ご飯を食べる分すらなかったんだけど、

 夜に仲良くなった女性車掌さんが、ぼくらの困窮ぶりを憐れんだのか、

「朝ご飯をサービスしてあげるわ」

 とかいってくれたんだろう、朝食を出してくれた。

 かくして、まるで亡命者のようにしてペナンに着いたんだけど、

 孫文が9度も起義(蜂起)に失敗して、日本にもいられなくなり、

 ペナン島へ亡命してきたときは、英雄が凱旋したような感じだったんだろうから、

 ぼくらとは、まったく逆だ。

 比べるのも愚かだが、それはともかく、ペナンは美しい島だった。

 マレーシアは当時イギリス領だったから、

 ヴィクトリア様式の建物がいまよりも多く立ちならんでいたことだろう。

 マレー人よりも華僑の方が多かったかもしれないし、

 実際、ペナンを取り仕切っているのは華僑の成功者だったろう。

 だから、孫文は辛亥革命の資金を集めるべくペナンまでやってきたんだろう。

 映画では、この資金集めの旅に暗殺が絡んでくる。

 まあ、それは味付けで、

 ぼくとしては、孫文のペナンの日々をなんとなく知れたからそれでいい。

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PEACE BED アメリカ vs ジョン・レノン

2013年04月18日 00時32分25秒 | 洋画2006年

 ◇PEACE BED アメリカ vs ジョン・レノン(2006年 アメリカ 99分)

 原題 The U.S. vs. John Lennon

 staff 監督・脚本/デヴィッド・リーフ ジョン・シャインフェルド 監修/オノ・ヨーコ

     撮影/ジェームズ・マザーズ 音楽/ジョン・レノン 編集/ピーター・S・2世

 cast オノ・ヨーコ ジョン・ウィーナー ロン・コーヴィック アンジェラ・デイヴィス タリク・アリ

 

 ◇WAR IS OVER IF YOU WANT IT

 ぼくは、いまだにビートルズの全曲を聴き終わっていない、とおもう。

 それだけ、音楽が身近な存在じゃないからだ。

 中学3年のときだったか、生まれて初めてビートルズを聴いた。

 その頃のぼくは、映画にようやく目覚め始めた頃で、

『小さな恋のメロディ』があったから、ビージーズを、

『卒業』があったから、サイモン&ガーファンクルを聴いていたくらいで、

『イエロー・サブマリン』を観たところで、ビートルズには向かなかったろう。

 それくらい、ぼくは音楽に疎かった。

 もちろん、威張れた話じゃないけど、いまも疎い。

 その疎さをごまかすようにして、

 高校の頃は、誰も買わないような映画のサントラばかり買ってた。

 だから、ほかの音楽、ことに洋楽はなかなか手が出なかった。

 なぜって?

 英語がちんぷんかんぷんだったからだ。

 ぼくはおもうんだけど、

 世の中の人達は、洋楽を聴いたり歌ったりしてるのは、

 みんな、歌の意味をちゃんと聴きとれてるからなんだろうか?

 曲調ていうか旋律が、あるいは雰囲気が好いから、

 好きだわ、これ~とかいって聴いてるんだろうか?

 もしも、世の中の人達がみんなぼくくらいな英語の読解力しかなくて、

 単純に「あ、この曲、かっこいいじゃん」とかいって、

 歌詞の意味とかまるでわかんないまま聴いてるんだったら、

 たぶん、外国の歌手は「なんだよ、わかんねーのかよ」って残念がるだろう。

 当時のジョン・レノンなら、特にそうだ。

 かれは、平和を心の底から愛していた。

 と同時に、戦争や暴力を心の底から毛嫌いしていた。

 それが、かれに歌を作らせる原動力となり、メッセージもまた歌に込められた。

 もちろん、ジョン・レノンだけじゃない。

 当時、ことにアメリカの、少なくない歌手が戦争を反対し、歌にした。

 英語のわからないぼくは、そのメッセージがよくわからなかった。

 訳詞くらい読めばいいのに、それすらめんどくさがるような、あほたれだったけど、

 日本でもジョン・レノンのメッセージを受け止め、

 かつ、自分なりに歌に託して、若者に支持された歌手が登場するようになった。

 思想が歌を作らせ、歌によって思想の語られる時代の到来だ。

 ジョン・レノンは、その先頭で旗をふる役割に立たされてしまった。

 若者たちはそんなかれを支持し、かれの行動はさらに突き抜けた。

 1969年、オノ・ヨーコと結婚したとき、新婚旅行先のアムステルダムで、

「戦争をする代わりにベッドで過ごそう、髪を伸ばそう、平和になるまで」

 といってベッドの上で日々を送ることを宣言し、マスコミも殺到した。

 ここでいう戦争は、泥沼と化したベトナム戦争で、大統領はニクソン。

 レノンとヨーコの静かにして過激な行為は、ニクソンの目の上のたんこぶになった。

 新婚旅行が終わり、

 ニューヨークでふたたび「peace bed」の暮らしをはじめたかれらに待っていたのは、

 かれらを戦争反対の御輿に据えようとする運動家と、

 かれらを戦争反対の象徴と捉えて排除したいとおもいはじめた米国家そのものだった。

 監視、盗聴、永住権の申請拒否、国外退去の勧告…。

 よくもまあ、超大国をあいてどって、たったふたりで戦う気になったもんだけど、

「ぼくは戦争は嫌なんだ、人を殺したくないんだ、歌を歌っていたいだけなんだ」

 という若者に対して、こうも本気になって国家が挑みかかるという事実にも驚く。

 時代ってやつかもしれない。

 あまりに安易なまとめ方だから恥ずかしいんだけど、それ以外にいいようがない。

 ベトナム戦争が泥沼化していったのも時代なら、

 戦争反対を唱えて、歌に託していった若者の象徴に、

 かれらが押し上げられたのもまた時代だろう。

 純粋といえば純粋、知的といえば知的、過激といえば過激、

 そして、まちがいなく誰もが真剣、

 真剣に人生を語り、歌を語り、国を語り、戦争を語り、地球を語り、

 戦争するくらいならベッドの上で愛し合っていようと真剣に主張した。

 そういう時代だ。

 この映画は、そうした時代をぼくらに語り、

 そしてポスターにあるように、

『もし変えようと思うなら

 ほんとうに変えようと思うなら

 世界は変えられる』

 という主題を伝えようとしていること以外にないんだよね。

 ただ、1980年12月8日、かれは凶弾に倒れた。

 とうに過ぎ去ってしまったはずの時代の亡霊が、かれを殺したのか、

 それとも、単純に、愛されすぎてしまったために殺されたのか、

 どっちなのか、ぼくにはわからない。

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ロッキー・ザ・ファイナル

2013年02月23日 00時16分29秒 | 洋画2006年

 ☆ロッキー・ザ・ファイナル(2006年 アメリカ 103分)

 原題 Rocky Balboa

 監督・脚本 シルべスター・スタローン

 出演 マイロ・ヴィンティミリア、バート・ヤング、トニー・バートン、ジェラルディン・ヒューズ

 

 ☆やはり泣いてしまう

 エイドリアンを亡き人にする事で新たな女性、ていうか第一作に登場した不良少女が更生したという役どころなんだけど、ともかくそのジェラルディン・ヒューズとの再会という都合の良さがこぼれるものの、父子の確執が描かれ感傷的な展開といつもどおりの佳境に至る盛り上がりがより鮮明になるんだけど、現役チャンプの出演がやや微妙な気も。

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007 カジノ・ロワイヤル

2012年12月17日 16時13分49秒 | 洋画2006年

 ◎007 カジノ・ロワイヤル(2006年 イギリス、アメリカ 144分)

 原題 007 Casino Royale

 監督 マーティン・キャンベル

 出演 ダニエル・クレイグ、エヴァ・グリーン、ジャンカルロ・ジャンニーニ、カテリーナ・ムリーノ

 

 ◎リブート&金髪ボンド

 つまりはなにもかもやりなおそうってことなんだね。うん、成功だ。どうもボンドのイメージは黒髪黒目の伊達男なので違和感があり、ダニエル・クレイグその人は生粋のイギリス人らしいんだけど、なんだか北欧あるいはロシア系を主人公にしたハードアクション大作を見ているような気分だったのは否めない。

 でも、コネリー以外を認めない筈なのに愉しんでしまった自分がいるのもまた事実だ。

 いや実際のところ、1967年のデビッド・ニーブンの『カジノ・ロワイヤル』はあんまり好きじゃなかったし、なんだかボンド物というよりはパロディくさい代物だったし、そういうことからいえば、きわめてリアルかつハードなボンドを復活してくれたのは嬉しい。ガンバレル・シークエンスもこれまでと違って凝ってたしね。

 

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