Kinema DENBEY since January 1. 2007

☆=☆☆☆☆☆
◎=☆☆☆☆
◇=☆☆☆
△=☆☆
▽=☆

アレックス・ライダー

2012年12月05日 21時44分11秒 | 洋画2006年

 ◇アレックス・ライダー(2006年 ドイツ、イギリス、アメリカ 94分)

 原題 Alex Rider : Operation Stormbreaker movie poster

 監督 ジェフリー・サックス

 出演 ユアン・マクレガー、アリシア・シルヴァーストーン、ミッキー・ローク

 

 ◇ユアン・マクレガー、早々に退場

 おもいきったオーディションしてアレックス・ペティファーを主役にして、さらにキャスト費をかけて大物を脇にならべ、アレックス・ペティファーをスターダムに押し上げようとしたのはわかるんだけど、その必要がどこにあったんだろうって、おもわず首をかしげる。

 伯父の仇に救われたばかりか取り逃がしてしまうとかって、中学生版OO7の続編を作ろうとしたのかどうかわからないんだけど、苦心ばかりが見え隠れしちゃうのは悲しい。ことに悪巧みもいまひとつぼやけてしまったような感じだし、やっぱりあれだね、観客に迎合したような姿勢がなんともね。

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落下の王国

2010年06月11日 20時10分06秒 | 洋画2006年

 ☆落下の王国(The Fall)

 

 監督のターセム・シンは映像のすごさよく知ってて、その作り方もしっかり心得てる。処女作の『ザ・セル』もそうだし、この作品もそうだ。

 看護婦と姫の役を演じたジャスティン・ワデルの綺麗さといったらないんだけど、怪我で入院したスタントマンが自殺しようと劇薬を持ってこさせるため、少女に即興の作り話をする内に自分の話にのめり込み、その果てに精神的に復活してゆくっていう作るなんだけど、作り話が見事な叙事詩になる構成と石岡瑛子の衣装もまた凄い。

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ブラック・ダリア

2010年06月10日 11時23分05秒 | 洋画2006年

 ◎ブラック・ダリア(The Black Dahlia)

 

 動機の解明と説明が不足してるような気もするけど、そこはそれ、ブライアン・デ・パルマだから。

 時代に拘った絵作りに拘り過ぎな気もするけど、そこれはそれ、やっぱりデ・パルマだから、クレーン撮影のさすがな見事さに脱帽してるしかない。

 とはいえ、3人の主役の背徳と感情、ポルノ女優と同じ顔をした両刀使いの金持ちの娘とその両親の異常な性格と愛憎、これはもうすこし出そうという努力はしてほしかったかなあ。ただまあ、この作品はジェイムズ・エルロイのロサンゼルス4部作の第1部で『L.A.コンフィデンシャル』が第3部ってことだから、また合わせて見直さないとあかんね。そうおもいつつ、何年も経った。

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ボルベール 帰郷

2010年02月10日 21時02分32秒 | 洋画2006年

 ◎ボルベール 帰郷(2006年 スペイン 120分)

 原題/Volver

 監督・脚本/ペドロ・アルモドバル 音楽/アルベルト・イグレスアス

 出演/ペネロペ・クルス カルメン・マウラ ロラ・ドゥエニャス ヨアナ・コボ

 

 ◎主題は母の愛として

 舞台はラ・マンチャ。娘が刺殺してしまった夫の死骸を片づける母、火事で行方を眩ますことができたのに娘が心配で戻る母、姪の見を案じる叔母。

 家族が縦糸だけど、現実にはありえない「生きていた母」の話がやけにリアルに描かれてるわ。

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デジャヴ

2009年02月12日 22時48分41秒 | 洋画2006年

 ◇デジャヴ(2006年 アメリカ 127分)

 原題/Déjà Vu

 監督/トニー・スコット 音楽/ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ

 出演/デンゼル・ワシントン ヴァル・キルマー ポーラ・パットン

 

 ◇親友ミヌティは二度死ぬ

 どうも、この世の中、デジャヴという事象についてよくわからない人間どもが多すぎる。

 デジャブってのは既視感ってことで「あっ、これ、前にも観たし体験したことある」っていうのがデジャヴで、疲れたときの脳が勘違いして体感している時の流れを歪めちゃうことを「既に視た感じ」ってことでデジャヴっていうんだけど、どうもそうじゃないんだよね。

 1987年だったかに『デジャヴュ』っていうフランス映画があって、これはとっても雰囲気があってぼくは好きな映画なんだけど、それでもやっぱり本来の既視感とは解釈が違うんだよな~って感じはあったのに、この作品に至ってはまるでちがうじゃんっていいたくなるような解釈だった。

 まあ、それはさておき、この作品だ。

 デジャヴではなくタイムマシンの亜流で他に筋立てはなかったんだろうか。せっかくの近未来的な設定がまるで生きてないんだよね。いや、それよりなにより、シャツやガーゼの血や留守電など最初から奇妙に時が乱れて介入している所があって、理屈が通じないんじゃないかなと。

 さすがにトニー・スコットだけあって飽きさせないし、画面はかっこええんだけどね~。

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アーサーとミニモイの不思議な国

2008年03月13日 11時28分33秒 | 洋画2006年

 ◇アーサーとミニモイの不思議な国(2006年 フランス 104分)

 仏題/Arthur et les Minimoys

 英題/Arthur and the Invisibles

 監督/リュック・ベッソン 音楽/エリック・セラ

 出演/ミア・ファロー マドンナ デヴィッド・ボウイ ロバート・デ・ニーロ

 

 ◇声の出演は豪華

 ベッソンらしからぬ一般的世界だったような気が。

 それと、マドンナとデニーロとボウイはおまけの嬉しさがあるものの、アフリカとアメリカとどう繋がるか説明不足な気もしたりする。

「小宇宙を撮るなら山岸涼子の妖精王の方が好きよ」

 ってな事をいっても仕方ないんだけど、少しばかりありきたりな印象を受けたのは、ぼくだけだろうか?

 どういうわけか、ベッソンは世界的に人気だ。だから、ゲストも多岐にわたるんだろうけど、ね。

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墨攻

2008年03月10日 13時30分35秒 | 洋画2006年

 ☆墨攻(2006年 中国、日本、香港、韓国 133分)

 監督・脚本/ジェイコブ・チャン 音楽/川井憲次

 出演/アンディ・ラウ ファン・ビンビン アン・ソンギ ウー・マ ウー・チーロン

 

 ☆原作は森秀樹 酒見賢一 久保田千太郎

 邦画、ではないとおもうんだけど、括りはどうなるんだろう?

 どちらにしても、日本人が演じ且つ撮らなくて良かったとおもうわ。アンディ・ラウ、ええわ~。年食うにつれ、どんどん良くなってくるような気がする。ま、アンディもさることながら、絵作りが見事だった。

 モブシーンもロケセットも良く、邦画だけ置いてきぼりにされそうな気がして、そっちが不安だ。

 ただ、主役の設定がちょっとな~。高潔すぎるんじゃないかっておもうんだけど。それと、佳境のお涙頂戴にもっていくための伏線がちょっとな~。

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ファウンテン 永遠につづく愛

2007年07月22日 13時38分37秒 | 洋画2006年

 ◇ファウンテン 永遠につづく愛(The Fountain)

 

 やけに壮大な話だなあ。

 この宇宙を旅する球体の哲学的瞑想空間はなんだ?樹は妻か?マヤの女王と共鳴したんか?

 ようわからん。予算はかけとるような絵だが抽象的すぎるのと様式に囚われすぎてつまらんくなっとるな。観てるだけで疲れちゃうわ。

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ドリームガールズ

2007年03月24日 12時47分04秒 | 洋画2006年

 ◎ドリームガールズ(2006年 アメリカ 131分)

 原題/Dreamgirls

 監督・脚本/ビル・コンドン 音楽/ヘンリー・クリーガー

 出演/ビヨンセ・ノウルズ ジェニファー・ハドソン アニカ・ノニ・ローズ エディ・マーフィー

 

 ◎1960年代、デトロイト。

 ぼくは、どうも舞台が苦手だ。生ものはダメっていうより、大仰さについていけないからだ。だから、どれだけ『ドリームガールズ』の舞台がおもしろいといわれても、なんだか、行く気になれず、いまだに本場の凄さを味わっていない。そんなぼくだから、かなりいいかげんな見方になっちゃう。

 でもまあ、舞台では観られないものも、映画にはある。ビヨンセの登場シーンのかわいらしさったらないけど、それもそのひとつだ。ま、それはさておき、舞台ミュージカルが原作ってことを感じさせないくらい巧みな展開だった。エディ・マーフィーがとてもよく、よくやったぞ的な部分もあるし、いかにもハリウッド的な泣かせも上手に織り込んでる。

 で、ちょっとだけ、整理しときたい。

 映画に登場するドリーメッツのモデルは、黒人女性グループのシュープリームスだ。ダイアナ・ロス、フローレンス・バラード、メアリー・ウィルソンの三名で、それぞれを、ビヨンセ・ノウルズ、ジェニファー・ハドソン、アニカ・ノニ・ローズが演じてる。

 注目は、フローレンス・バラードを演じたジェニファー・ハドソンだ。抜群の声量で、実際、フローレンスはダイアナ・ロスを凌いだらしい。まあ、そういう役回りだったから、ビヨンセも声量をおさえたって話だ。ただ、そのフローレンスは、グループを脱退後、ソロで活動したんだけど、アルコール中毒がたたって、いったん復帰したものの、32歳で没したらしい。

 そんな彼女たちの伝記を著したのがメアリー・ウィルソンで、この伝記『Dreamgirl: My Life As a Supreme』が舞台になって、今回の映画になったそうだ。

 なんだか、三者三様な人生だよね。

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ブラック・ダリア

2007年03月20日 15時33分04秒 | 洋画2006年

 ◎ブラック・ダリア(2006年 アメリカ 121分)

 監督/ブライアン・デ・パルマ 音楽/マーク・アイシャム

 出演/スカーレット・ヨハンソン ヒラリー・スワンク ジョシュ・ハートネット アーロン・エッカート

 

 ◎ジェームズ・エルロイ『ブラック・ダリア』

 1947年1月15日、ブラック・ダリア事件。

 ハリウッドを震撼させたこの事件の被害者は、エリザベス・ショートという女優で、ブラック・ダリアってのは、彼女のあだ名だ。いつも黒い服ばかり着ているからで、これはアラン・ラッドの主演映画『The Blue Dahlia』をもじったものだ。

 この事件がなんで有名になってるのかっていえば、死体が凄まじく損傷されていただけじゃなくて、自称犯人がつぎつぎに現れ、500人にも達したばかりか、現代になってもいまだに未解決なままだからだ。

 まあ、かなりスキャンダラスな真実があるんだろうし、そんなことが予測される分、ブライアン・デ・パルマが起用されたんだろうけど、デ・パルマ贔屓のぼくとしては公開当時からとっても嬉しかった。

 ところが、どことなく物足りなさを感じちゃうんだ。

 いや、たしかに、大クレーンを使ったビルの屋上から道路にかけてのワンショットとか、もう観ていてわくわくするんだけど、なんとなく物足りない。

 生前と死後のダリアに翻弄される男女の、凝縮した時と屈折した愛憎を描こうとしてるのはわかるし、それを経て慈愛に辿りつく展開も理解できる。

 でも、ダリアが、なんで狂おしいくらい愛され憎まれるかってことが、ふかく描かれてないんだよね。

 それが、残念。

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父親たちの星条旗

2007年03月05日 02時05分31秒 | 洋画2006年

 ☆父親たちの星条旗(2006年 アメリカ 136分)

 原題/Flags of our Fathers

 監督・音楽/クリント・イーストウッド

 出演/ライアン・フィリップ ジェシー・ブラッドフォード アダム・ビーチ ジェイミー・ベル

 

 ☆ジェイムズ・ブラッドリー ロン・パワーズ『硫黄島の星条旗』

 Raising the Flag on Iwojima。

 硫黄島の戦いは、米軍の呼称ではOperation Detachment。

 このデタッチメント作戦にAP通信から派遣された従軍カメラマンが、ジョー・ローゼンタール。大戦を通じて最も有名な写真の1枚となった『硫黄島の星条旗』を撮った人物だ。

 摺鉢山の攻防は熾烈をきわめ、山頂の奪取も何度か繰り返されたらしい。星条旗については最初に立てられたのは小旗で、この旗は2度目に立てられたものだ。

 時刻にして、1945年2月23日、正午。

 で、この星条旗を立てた青年たちの戦闘とその後を描いたのがこの映画だ。

 米国に翻弄された青年たちの半生といってもいい。観客はそれぞれで、好みもあるだろうし、いろんな意見もあるだろう。2作前後して公開された『硫黄島からの手紙』の方が評判がいいときもあるけど、ぼくは、どちらかといえば、こちらの方が好みだ。

 赤の発色を極端に抑えて粒子も粗くし、抑制の利いた画面で、当時の雰囲気を真摯に伝えようとするイーストウッドの演出にも好感が持てる。なにより、イーストウッドが制作者側に立ち、みずから出演しなかったのが好い。イーストウッドはどうしたところで「英雄」で、かれが出演してしまっては、映画そのものが別な次元の映画になりかねないから。

 そういうイーストウッドの心意気に応えるべく、過剰な演技を排除し当時の人になり切ろうとした役者達もまた好い。

 ほんと、皆、好ましい。

 あ、ちなみに、ジョー・ローゼンタールが亡くなったのは2006年8月20日。

 この映画の公開は、その死の2か月後、10月21日だ。

 なんだか、運命的じゃない?

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グエムル -漢江の怪物-

2007年02月11日 12時20分12秒 | 洋画2006年

 ◇グエムル -漢江の怪物-(2006年 韓国 120分)

 原題/괴물

 英題/The Host

 監督・原案/ポン・ジュノ 音楽/イ・ビョンウ

 出演/ソン・ガンホ ピョン・ヒボン パク・ヘイル ペ・ドゥナ コ・アソン イム・ピルソン

 

 ◇괴물の意味

 怪物ってことらしい。

 読み方が、グエムルなんだと。

 ま、そういう単語もさることながら、民族的な感性の差を痛感したわ。ここで笑いをとるか~とか、こういう音楽の使い方をするか~とか、こんな終焉に持ってくか~みたいな所が、かなり感じられた。とはいえ、CGも音も凄いし、形容しがたいグエムルな(怪物的な)迫力はあったかな。

 洋弓の場面は、美しいしね。

 ただ、資料を読んでて「へ~」っておもったのは、製作者側がかなり反米を意識して作ったってことだ。米下院議会でも取り上げられるほどだったっていうから、アメリカ人にとってはかなり痛い感じがしたんだろうか?

 まあ、実際のところ、在韓米軍がホルムアルデヒドを漢江に流出させた事件が暗喩されてるとか、戦時の作戦指揮権についても暗喩しているらしい。英題からしてそんなことが匂うような感じもするし。

 ってことは、グエムルの正体は、敵国の象徴で、

「その敵国ってのは、いったいどこになんの?」

 とかって、ほんのすこし考えそうになったんだけど、やめました。

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