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☆=☆☆☆☆☆
◎=☆☆☆☆
◇=☆☆☆
△=☆☆
▽=☆

ドント・ブリーズ

2021年12月14日 00時25分20秒 | 洋画2016年
 ◇ドント・ブリーズ

 廃墟だけでロケーションしたとかっていう、なんとも低予算なスリラー映画なんだけど、まあ、継父の横暴に我慢できない女子ジェーン・レヴィが幼い妹と共にカルフォルニアへ逃げ出す資金稼ぎに、イラク戦争で失明している軍人スティーヴン・ラングの家へ窃盗に入ろうっていう設定は「わかるんだけど幕引きが難しいだろう」っておもってたら、おもわぬ展開が待ってた。

 そうなんだ、失明した軍人に娘がいて、その子をひき逃げで失ったっていうだけじゃなく、そのひき逃げ犯の女の子フランシスカ・トローチックを監禁して、自分の精子を人工授精させてまた娘をもうけようとかいうとんでもないことをしでかしてたんだよっていう、ものすごい展開だ。

 これは、なかなかだわ。
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メカニック ワールドミッション

2021年12月03日 11時32分32秒 | 洋画2016年

 ◇メカニック ワールドミッション

 

 予想を超えておもしろかった。ジェイソン・ステイサム、すげ。

 とおもってたら、なんとまあ、これってステイサム版『メカニック』の続編だったんだね。まったく頭の端にすら浮かんでこなかった。まいったな。でも、話の筋立てが繋がってるとはおもえないし、結局のところ、ジェイソンが元殺し屋っていう、なんだかどれをとってもおなじようなステイサム世界の一作としかおもってなかった。

 とくに前作はドナルド・サザーランドがメインの脇役だったのに対して、今回はトミー・リー・ジョーンズに加えてミシェル・ヨーとジェシカ・アルバで、あきらかにグレードアップしてるし、脳内で繋がらなかったのは無理もないわね。結局、こういう「殺しの腕前は一級品なのに、そういう暮らしが嫌で引退しちゃってる主人公が殺しをさせられ、それを逆手に取って悪い奴らに挑みかかるための理由」ってやつを考えなくちゃいけないわけで、その引き金にいちばんいいのは恋愛感情を持ちそうな相手に殺されかけるんだけど、彼女は実は悪くはなかったっていう設定で、ジェシカ・アルバには似合ってたな。

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ロスト・バケーション

2021年10月04日 13時13分42秒 | 洋画2016年
◎ロスト・バケーション



鮫に襲われる美女の映画とくれば真っ先に『ジョーズ』が浮かぶのは当たり前のことだし、大抵は『ジョーズ』を超えられない。たしかにそのとおりなんだけど、この作品はちょいとちがう。

ジャウム・コレット=セラの演出はきわめてリアルで、浅瀬に突き出した小岩が満潮時に沈んでしまうという設定と、老朽化した浅瀬を示す赤色灯のブイを小道具にして、巧みに筋を立てている。

ブレイク・ライブリーは美しいけどセクシーじゃない。それがまたリアルさを増すし、医学生と設定と鮫の顎にやられた傷の手当てに無理がなくなってる。

なにより、フラビオ・ラビアーノの絵が美しい。色彩はかなり調整されてる観はあるけど、でもうまく撮れてる。

拾い物だな、これは。
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アサシン クリード

2021年07月07日 02時31分03秒 | 洋画2016年

 ◇アサシン クリード

 

 これだけ贔屓の役者が揃ってると贔屓の引き倒しをしたくなるけど、う~む、難しい。マイケル・ファスベンダーの過去で母親が父親に殺される印象的な全ての始まりになる場面だけはわかるんだけど、どんな殺人をしでかして逮捕されて裁判にかけられたのかがたったひとつの台詞回しだけで片付けられるってのはありなんだろうか?っていうよりそういう中身だってことだよね。

 たしかに逆光を効果的に用いた活劇場面は見事なもので、これだけ迫力を出せるようになったのかと。テンプル騎士団とアサシン教会のスペインでの戦いと、暴力矯正施設の巨大アーム治療室とがダブルイメージになって描かれてゆくところとか、いやまじ凄い。

 けど、空虚なんだよな~。

 マリオン・コティヤールはまあ担当医だし演技にもちからは入るだろうけど、似合わない役柄で顔見せに撤しただけのようなシャーロット・ランプリングやジェレミー・アイアンズやブレンダン・グリーソンとかを観てると、なるほど、お金掛かったろうなあとしかおもえない。

 拾い物はスペイン時代のファスベンダーの妻を演じたマリアンヌ・ラベットで、綺麗だし、身のこなしもいいしね。

 ほんと、もうすこし脚本がまともなら良かったのになあ。

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ボン・ボヤージュ 家族旅行は大暴走

2020年04月08日 00時29分37秒 | 洋画2016年

 ◎ボン・ボヤージュ 家族旅行は大暴走(2016年 フランス 92分)

 原題/À fond 英題/Full Speed

 監督/ニコラ・ブナム 音楽/ミカエル・トルディマン

 出演/ジョゼ・ガルシア アンドレ・デュソリエ カロリーヌ・ヴィニョ

 

 ◎予告編のMEDUSAの宣伝が好い

 制御不能になった新車Medusaの物語。

 とんだとばっちりを受けてドアを壊された黄色いBMWがぶちきれて、DUNJOON社の赤いミニバンMedusaをおいかけていくんだけど、途中、高速の検問を突破するときちゃんと料金を払っているのはツボった。車内に迷い込んでたスズメバチが負い出され、おいかけてる黄色い車に飛び込んでいくCGも秀逸だったし、ひとつひとつあげていくときりがない。

 てなことから、これは拾い物だったかもしれない。

 問題はどうやってこのブレーキまでぶっ壊れた車を止めるかだけど、黄色いBMWがジプシーの集落に突っ込んでからまじな展開になる。白バイを破壊された警官が、中国製の格安ボトックスを打たれたことで顔面の腫れた患者の車を接収してさらに追いかけるんだけど、その車に子供たちを収容し、さらにヘリで救出しようとする展開は実にスリリングだった。

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マグニフィセント・セブン

2019年12月04日 12時08分34秒 | 洋画2016年

 ◇マグニフィセント・セブン(2016年 アメリカ 133分)

 原題/The Magnificent Seven

 監督/アントワーン・フークア

 音楽/ジェームズ・ホーナー サイモン・フラングレン エルマー・バーンスタイン

 出演/デンゼル・ワシントン イーサン・ホーク ヘイリー・ベネット イ・ビョンホン

 

 ◇ジェームズ・ホーナーの遺作

 ただまあ、また『七人の侍』の翻案かと、ちょっとばかり溜め息をつきたくもなる。軽い内容だしね。エンドタイトルの音楽は出だしが『荒野の七人』だった。まあ、原作がそうなるんだから、それでいいのかもしれないけど、どうやらジェームズ・ホーナーはこのスコアの出来上がりを内緒にしたまま飛行機事故で早世したらしい。なんか、悲しいね。

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オレの獲物はビンラディン

2019年12月01日 23時28分51秒 | 洋画2016年

 ☆オレの獲物はビンラディン(2016年 アメリカ 93分)

 原題/Army of One

 監督/ラリー・チャールズ 音楽/デヴィッド・ニューマン

 出演/ニコラス・ケイジ ウェンディ・マクレンドン=コーヴィ ラッセル・ブランド

 

 ☆便利屋ゲイリー・フォークナーのほぼ実話らしい

 この人間はまじにオサマ・ビンラディンを捕まえようと、人工透析にもかかわらずコロラド州からパキスタンに乗り込んでいったらしい。まあ、ヨット、ハングライダー、日本刀と、いろいろと大仰に演出されてはいるものの、かなりいかれた感じなのはほんとうだったのかもしれない。

 けど、そんなことはどうでもよくって、いやあ、ニコラス・ケイジの傑作なんじゃないかっておもうわ。

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聲の形

2018年09月30日 00時36分25秒 | 洋画2016年

 ☆映画 聲の形(2016年 日本 127分)

 監督/山田尚子 音楽/牛尾憲輔

 出演/入野自由 早見沙織 松岡茉優 悠木碧 金子有希 石川由依 潘めぐみ 小野賢章 豊永利行

 

 ☆君に生きるのを手伝ってほしい

 なるほど。

「自分がしたことは自分に跳ね返る。自分は罪を背負い、罰を受ける必要のある人間である」

 たしかにそのとおりで、この主人公の若者の独白は実に胸に迫る。それがどのような物事であれ、つまりこの映画にかぎらず、ぼくたちの生活や人生の中のどのような瞬間の出来事であれ、こうした想いは常に抱えて生きている。そういうことからいえば、この作品は地に足のついた物語といってよく、このところの情けない邦画とは明らかに一線を画している。

 とはいえ、この映画を褒めるのはもう嫌っていうほど大勢の人たちが褒めているし、それ以上の語句を費やせる自信もないからやめておくけど、後半、いよいよ佳境に迫ってくるあたりは、ほんと、胸のつぶれるような想いを抱えて観た気がする。でも、あれだね、大垣の良さのひとつに「水」があるんだけど、水と音っていうのは繋がりが深いね。

 おもいだされるのは『シェイプ・オブ・ウォーター』で、ヒロインのサリー・ホーキンスが聾唖だったってことだ。水の中には音がないから、そうした不自由さは水の中では差がなくなる。水の中へ飛び込む主人公たち、水の中から外界を眺めるカメラ、そうした行動や構図が「音」を余計におもいださせてくれる。上手な演出だな。山田尚子、凄いな。

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パパが戦場に行った日

2018年09月10日 22時14分52秒 | 洋画2016年

 ◇パパが戦場に行った日(2016年 オランダ 90分)

 原題/The Day My Father Became a Bush

 監督/ニコル・ヴァン・キルスドンク

 

 ◇国境を越えてゆく少女の物語

 パパはどうやらオランダに酷似した国のお菓子屋さんで、ママとは離婚している。で、似オランダで内戦が勃発してパパが南部の戦線に出征したためにおばあちゃんのところへ厄介になりに行くんだけど、おばあちゃんとしてはママと暮らした方が戦禍に遭わなくていんじゃないかっておもい、そのママのいるフランスに酷似した国まで移動させてくれようとするんだけど、なかなかはそうはいかない。国を越えるのに難民がそうするように業者に頼むもののお金をふんだくられるだけで、結局、少女はひとりで国境を越えていかなくちゃならなくなるっていう物語だ。

 で、これは難民映画祭で観たんだけど、まあたしかに難民ではあるわね。ただ、この物語、どうなんだろうね。オランダでは少年向けのSFとして書かれた原作でもあったんだろうか?

 前にドイツのグードルン・パウゼヴァングの書いた『みえない雲』っていう小説があって映画化もされたんだけど、なんかそれをおもいだした。こっちの方がもっと素朴な感じだったけどね。ていうより、難民としての苦しさは、逃避行もさることながら、ママのいる国での受け入れの問題に重点が置かれてるような感じだったかな。

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しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス

2018年08月06日 15時02分19秒 | 洋画2016年

 ☆しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス(2016年 カナダ、アイルランド 116分)

 原題/Maudie

 監督/アシュリング・ウォルシュ 音楽/マイケル・ティミンズ

 出演/サリー・ホーキンス イーサン・ホーク カリ・マチェット ガブリエル・ローズ

 

 ☆カナダ、ノバスコシア州ディグビー

 世間を知らないってのはどうしようもないっておもうんだけど、やっぱり僕はこの画家を知らなかった。でも絵を見ると、なんだかどこかで見たことあるかもしれないなっておもった。たぶん観たことはないんだろうけど、そうおもわせるところが、このモード・ルイスっていうカナダではいちばん名の知られた画家なんだろう。彼女は1903年から1970年まで生きたようだから、ぼくが絵を見る機会はまずなかったろう。でも、いつかどこかで観たほんわかした絵っていう最大の魅力は未だに色褪せることがない。そんな絵を描いたモードの生活はとても貧しかったようで、それは映画がほとんどそのとおり描いてる。

 サリー・ホーキンスは両親がもともと絵本作家で、自身もまたイラストレーターをめざした時期もあるようで、そういうことからいえば、この作品は他人事じゃなかったろう。というより、彼女のほかに演じられる女優はいなかったんじゃないかとさえおもえる。それくらいのはまり役で、若年性リューマチに堪えながらも絵を描きつづける小柄なモードを瓜二つっていうくらい、よく演じてた。こういうところ、欧米の役者は凄いね。役に成り切るっていうのは、基礎から演技を学んでこないと難しいのかしらね。日本の映画界ではまずもって無理だな。

 イーサン・ホークもまた今回はたいしたもので、演技はうまいんだけどいまひとつ外連味に欠けるところのある彼なんだけど、今回は理屈っぽさをかなぐり捨てて、貧乏な漁師をベタながらも丁寧に演じてた。好感は持てた。というより、役作りのために太ったのかしら。でも、一番最後に出てくる本人はかなり痩せた背の高い魚売りだったけどね。

 ただ、なんというのか、地味な映画だし、絵が売れたとおもったらその成長していく過程はかなり省かれてて、あれれっていう内にもう有名になってた。もうちょっとメリハリがあってもいいんじゃないかっておもうんだけど、こういう淡々とした映画が、カナダやアイルランドの作品ぽいっていえばたしかにそうかもしれないんだけどさ。ニクソンが副大統領だった頃に絵を買った挿話があってもよかったんじゃないかって気もするんだけどな。

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ローズの秘密の頁

2018年08月05日 02時03分16秒 | 洋画2016年

 ☆ローズの秘密の頁(2016年 アイルランド 108分)

 原題/The Secret Scripture

 監督/ジム・シェリダン 音楽/ブライアン・バーン

 出演/ヴァネッサ・レッドグレイヴ ルーニー・マーラ テオ・ジェームズ ジャック・レイナー

 

 ☆アイルランド西部、聖マラキ精神病院

 もともと色情狂だという烙印を捺されていた女性が収容されていた精神病院を脱走して赤ちゃんを産み落とすんだけど、産んだその場で殺したにちがいないという容疑が掛けられ、さらに、赤ちゃんが何処にもいないという事実があったりしたら、その容疑はほぼ確定してしまうだろうし、罪にも問われるだろう。

 さらには、その子殺しが、あまりにも凄惨な事件でありながらも、自分の罪を認めるどころか殺してなどいないと言い張ってしまえば、これはもう精神異常をきたしていると判断され、精神病院に収容されてしまっても、アイルランドが中立を選択していたのにイギリス空軍に志願しちゃった野郎の子かもしれないとかってされただけで迫害されそうになるという不幸な時代をおもえば、仕方のないことだったかもしれない。

 ま、これが、ローズなる女性が40年間も強制的に入院させられていた理由なんだけど、映画はその入院の前後をヴァネッサ・レッドグレイヴとルーニー・マーラの視点で描いている。

 40年経つとあんなに華奢で小柄がルーニー・マーラが、巨大なバネッサ・レッドグレーブになっちゃうのかっていう指摘はさておき、ローズの再診を依頼されてやってくるエリック・バナが最初からどうにも臭く、もしかしたらこいつ息子かっていう疑いのまなざしで観るようになり、結局それが真実とかってことになると、なんのどんでん返しもない筋立てになっちゃって、これがいまひとつ面白味に欠ける理由なんだろうなっておもったりする。

 だったら、これはいちばん最初から自分が派遣されることに疑問を抱いたエリック・バナの目線で物語を構築していけばいいわけで、まあ多少そういう面もあるけど、もうすこし主体の置き方を考えた方が好かったんじゃないかっておもうわ。そうしたら、もっと良かったっておもうんだけどなあ。

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ドリーム

2018年06月30日 01時01分14秒 | 洋画2016年

 ☆ドリーム(2016年 アメリカ 127分)

 原題/Hidden Figures

 監督/セオドア・メルフィ

 音楽/ハンス・ジマー ファレル・ウィリアムス ベンジャミン・ウォルフィッシュ

 出演/ケビン・コスナー キルスティン・ダンスト ジム・パーソンズ ジム・パーソンズ

 

 ☆1961年、バージニア州ハンプトン

 マーキュリー計画に携わった3人の女性、キャサリン・ジョンソン、ドロシー・ヴォーン、メアリー・ジャクソンについて知ることができたのは、なんといっても有意義なことで、彼女たちの業績についてその年代が多少のずれがあろうとなかろうと、史実と異なってるから云々なんていう話はするだけ野暮だ。

 それにしてもこの邦題はなんとかならないものかしらね。せっかく『知られざる女性たち』あるいは『影になっていた女性たち』ていうようなタイトルがあるのに、信じられないことにはマーキュリー計画を推進していったラングレー研究所の物語であるにもかかわらず、当初の邦題には『アポロ計画』の文字まで躍っていたとかで、ちょっと頭を抱えたくなる。

 ま、それはさておき、3人の女性職員の話に戻るけど、演じたのは、タラジ・P・ヘンソン、オクタヴィア・スペンサー、ジャネール・モネイなんだけど、なんでハリウッドの女優さんたちは頭脳明晰で人間としての誇りを高く持とうとする女性の志をしっかりと表現できるんだろうね。ほんと、たいしたものだな。

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はじまりのボーイミーツガール

2018年04月29日 23時29分38秒 | 洋画2016年

 ◇はじまりのボーイミーツガール(2016年 フランス 89分)

 原題/Le coeur en braille

 監督/ミシェル・ブジュナー 音楽/フィリップ・ジャッコ

 出演/アリックス・ヴァイヨ ジャン=スタン・デュ・パック パスカル・エルベ シャルル・ベルリング

 

 ◇現実でも天才少女なのね

 アリックス・ヴァイヨって子なんだけど、えらくチェロを弾くのが上手な子役だな~とかって観てたら、なんのことはない、ほんまもんやった。フランスではかなり有名な天才ヴァイオリニストで、パリ国立高等音楽・舞踊学校に通ってるんだとか。

 なんだよ、そういうことかっておもったんだけど、もともと『小さな恋のメロディ』に狂っていたぼくにしてみれば、どうしたところで観なくちゃいけないような映画だった。ただまあ、先天的とはいえ、失明の危機にさらされていき、ラストカットは音楽学校の入試で舞台演奏している彼女の目線ってのがどうも、なんだかね。

 物語からいくと、病気と恋と音楽学校の受験生が並行して語られるのはわかるんだけど、両親との和解はあるもののどうも中途半端な印象があるかな。そこがハリウッドとの違いなんだろうけど、ジャン=スタン・デュ・パックの父親を演じたパスカル・エルベが救いだったかも。にしても、アリックス・ヴァイヨは目の綺麗な子だな~ておもったし、トップのカットからしてその狙いはわかる。

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パターソン

2018年03月31日 11時57分49秒 | 洋画2016年

 ☆パターソン(2016年 アメリカ、ドイツ、フランス 118分)

 原題/Paterson

 監督・脚本/ジム・ジャームッシュ

 音楽/Squrl(ジム・ジャームッシュ カーター・ローガン シェーン・ストーンバック)

 出演/アダム・ドライバー ゴルシフテ・ファラハニ 永瀬正敏 カーラ・ヘイワード

 

 ☆ウィリアム・カーロス・ウィリアムズへのオマージュ

 ニュー・ジャージー州パターソンに住むバス運転手のパターソンは、寛容な男だ。

 怒らない。

 奥さんが朝起きなくてもご飯を作ってくれなくてもたまに作ったのがとんでもない料理で水で流し込まないと食べられなくても怒らない。バスが電気系統の故障で動かなくなっても落ち着いたものだ。しかしとろいのではなく、散歩の帰りに立ち寄る酒場で一杯の麦酒を呑んでいるとき、女にふられた男がいきなり銃をかまえるんだけど、焦らず素早く飛びつき取り押さえ、銃を取り上げる。ま、おもちゃなんだけどね。

 でも、怒らない。

 最後に登場する『あっ、は~っ』と叫ぶ永瀬正敏は神様なんだろうか。仕事の合間にいつもつけてきた詩のノートを飼い犬に粉みじんにされた後、偶然に出会うんだけれども、唐突にまっさらなノートを手渡される。また作ればいいんだよといっているようだ。

 実に寛容なのだ。

 ま、犬に対して『おまえなんか嫌いだ』とはいうんだけど、感情をほとばしらせるのはこのときだけだ。寛容なのだ。町中に現れる双子の意味がわからないけど、優しい生き方とはこういうものなのだな、それは神様もちゃんと見ていてくれるのだな、とおもわずおもってしまう映画。あとになればなるほど、またおもいだしてしまう不思議な魅力の映画だった。

 ともあれ、寛容というのはどういうものかを教えてくれる。

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女神の見えざる手

2018年03月01日 00時09分12秒 | 洋画2016年

 ◎女神の見えざる手(2016年 アメリカ、フランス 132分)

 原題/Miss Sloane

 監督/ジョン・マッデン

 出演/マーク・ストロング アリソン・ピル マイケル・スタールバーグ サム・ウォーターストン

 

 ◎激震はゴキブリ

 たしかにジェシカ・チャステインのひとり舞台ではあったものの、きわめてよく練られた脚本で、時系列がバラバラに設定されてて、インドネシアのパーム油の関税について関係している議員の外遊接待をしたことで過剰接待にとられ、ジョン・リスゴーを議長にした公聴会に召喚されるところから始まったかとおもえば、それよりもずいぶん前らしき銃の規制強化法案の反対派のキャンペーンを断わって代理店をやめるところへと飛び、さらにさまざまに時が飛ぶ。最初はちょっとばかし戸惑ったけれども、どんどんと全体像が明らかになってくるにつれ、なるほど、この構成じゃないとダメだわねとおもうようになった。

 とはいえ、ジェシカ・チャステインの設定は、生まれ育ちはあんまりよろしくなかったのかもね、学生時代も辛かったんじゃないかなっておもわせるだけで、あとはしゃにむにがむしゃらに恐ろしいくらいに仕事に精を出しているキャリア・ウーマンを演じてて、しかも男娼を買い、結局は情にほだされちゃったりもするっていう、なんとも一般的な女性は眉を顰めそうな人物像になってる。これが好いのか悪いのかはわからないけど、最後のどんでん返しまで、見せてくれる。たしかに歯切れのいい編集と台詞回しで追いかけていくだけでも大変だったものの、いや、最後の裁判の推移には鳥肌が立ったわ。

 あ、ググ・バサ=ローの純粋な綺麗さが清涼剤みたいだったね。

 

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