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☆=☆☆☆☆☆
◎=☆☆☆☆
◇=☆☆☆
△=☆☆
▽=☆

赤ずきん

2020年05月13日 00時26分19秒 | 洋画2011年

 ◇赤ずきん(2011年 アメリカ、カナダ 100分)

 原題/Red Riding Hood

 監督/キャサリン・ハードウィック 音楽/ブライアン・レイツェル

 出演/アマンダ・サイフリッド ゲイリー・オールドマン ヴァージニア・マドセン

 

 ◇村人に紛れて生きる人狼

 アイドル映画なのね。

 けど、森や村をまるっと作り込んだセットは大きいし、まあ、大作なアイドル映画だと。

 となると、エイリー・オールドマンよく出たな~。それと案外、ちっこいのね。なんだかこの人、狂気をはらんだ悪役ばかりやらされるもんだから、家族おもいの彼としてはいたたまれず、それで家族で観られる映画にも出演するようになったらしいんだけど、でも、この役、家族に見せたかったんだろうか?

 ま、そんなことはどうでもよくて、なるほど、おばあちゃんが人狼だとおもわせるあざとさはちょっととおもったけど、どうするのかとおもっていれば、影の薄かった父親を持ってくるあたりはなんだかな~と。さらにはおばあちゃんの汁とかちょっとグロテスクすぎないかともおもえたりする。

 いや、それより、アマンダとの濡れ場で股を割って身体をいれていくのは、あんまりアイドル映画とはおもえなくないか?

 さらにいえば、ヒロインがいくら人狼に噛まれたからといって、恋人を殺して湖に棄てるとかいうのはありなのか、まじで。たしかに意表を突く展開を連続させたいという感覚はわからないでもないけど、つらいところだ。

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ドライヴ

2020年04月21日 01時35分45秒 | 洋画2011年

 ◎ドライヴ(2011年 アメリカ 100分)

 原題/Drive

 監督/ニコラス・ウィンディング・レフン 音楽/クリフ・マルティネス

 出演/ライアン・ゴズリング キャリー・マリガン クリスティーナ・ヘンドリックス

 

 ◎原作はジェイムズ・サリス

 かっこいい。

 むだなカーチェイスをするわけでもなく、冷静にハンドルをとるライアン・ゴスリングが、とにもかくにもかっこいい。

 あとは淡々としたものだが、なにか起こりそうな不気味な緊張か続く。ケリー・マリガンの夫が刑務所を出所しても、ケリーは落ち着いたもので、胆が座ってるわ。

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ドリームハウス

2019年12月13日 00時00分07秒 | 洋画2011年

 ◇ドリームハウス(2011年 アメリカ 92分)

 原題/Dream House

 監督/ジム・シェリダン 音楽/ジョン・デブニー

 出演/ダニエル・クレイグ レイチェル・ワイズ ナオミ・ワッツ サラ・ガドン

 

 ◇一人称の演出

 どういうことかといえば、妻のレイチェル・ワイズと子供たちが殺害されたことで錯乱し、精神病院に入れられていたダニエル・クレイグの幻想が映画の前半の物語になっているからで、それは、そもそも一家惨殺事件のあった事故物件とか売るときに断らないか?てゆうか犯人が捕まってないのに売るか?という疑問が浮かんできた頃からわかってくる。

 そういうことからいえば先の見通せる筋立てなんだけど、女優ふたりが贔屓なもんだから観るしかない。けど、この撮影の後、ダニエル・クレイグとレイチェル・ワイズは結婚したらしいから、ものすごくがっかりだわ。

 いや、がっかりといえば、そもそも妻と子供を惨殺された理由が、真犯人が元妻のナオミ・ワッツを殺そうとして彼女の家に侵入したつもりだったところがまちがえてダニエル・クレイグの家に押し入ったためっていうんだから、いくらなんでもそれはないだろうっていう動機で、これをがっかりといわずになんていえばいいのだ。

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裏切りのサーカス

2019年12月02日 23時46分40秒 | 洋画2011年

 ◇裏切りのサーカス(2011年 イギリス、フランス、ドイツ 128分)

 原題/Tinker Tailor Soldier Spy

 監督/トーマス・アルフレッドソン 音楽/アルベルト・イグレシアス

 出演/ゲイリー・オールドマン コリン・ファース ジョン・ハート マーク・ストロング

 

 ◇ジョン・ル・カレ『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』

 途中まで原作を読んでない人間にはよくわからない。つまり、ほとんどおもしろくない。でも、トム・ハーディのロシアの女スパイとのエピソードあたりからおもしろくなってくる。というより、このあたりから、ぼくのように理解不足なために再見してる人間にも理解できるようになってくる。難しいんだ、こいつ。

 でも、ベネディクト・カンバーバッチが図書館から書類を盗み出すあたりは、前に観たときの方がわくわくした。カンバーバッチは控え目な雰囲気でいるんだけど、ハーディーをなぐりつけるあたりの見せ場はさすがに心得てる。

 ま、そういうことからいえば、役者はみんなうまい。

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メカニック

2019年09月23日 23時48分40秒 | 洋画2011年

 ◇メカニック(2011年 アメリカ 93分)

 原題/The Mechanic

 監督/サイモン・ウェスト 音楽/マーク・アイシャム

 出演/ジェイソン・ステイサム ドナルド・サザーランド ミニ・アンデン ベン・フォスター

 

 ◇ブロンソン版のリメイク

 自分の師匠を殺して、その息子を不憫におもって弟子にして、その事実を知られてしまうという筋立てはほとんど同じで、要するに殺し屋が自分を育ててくれた恩人を殺すように依頼されたもののそれが嵌められたという展開になってくるんだけど、ドナルド・サザーランドの起用が良かったっていうのはさておき、シリーズ化を予定している以上、ブロンソン版と同じようにはできないわね。

 でもなあ、ベン・フォスターとジャン・マイケル・ヴィンセントと比べちゃうとどうしても身が入らない。

 ただ、ストイックな役柄はジェイソン・ステイサムも似合ってるね。アクションが派手になるのは当然のことなんだけど、なんというのか、味という面においてはどうかな。

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ブッチキャシディ最後のガンマン

2019年09月22日 22時55分53秒 | 洋画2011年

 ◎ブッチ・キャシディ 最後のガンマン(2011年 スペイン、フランス 102分)

 原題/Blackthorn

 監督/マテオ・ヒル 音楽/ルシオ・ゴドイ

 出演/サム・シェパード  エドゥワルド・ノリエガ スティーヴン・レイ

 

 ◎1927年、南米、ボリビア

 ブッチ・キャシディは、こういうんだ。男には2種類しかない、家を出るときと帰るときだ。

 てなことをいうんだけど、これは要するに、門出と最期ってことで、どんな人生を送るのかその志を得たときと、そのおもうがままの人生を終えようとするときってことで、どちらもかっこよくないとつまんないぜっていってるわけだね。

 別に、わざわざブッチにしなくてもいいのにとおもっていれば、なるほど、ところどころに『明日に向って撃て!』の続きが描かれてるわけね。そうなると、興味はサンダンス・キッドはどうなったんだろうってことになるわけで、なるほど追われ追われてやがて重傷を負い、最期は親友ブッチの涙の銃撃で送られるわけかと納得できる展開になってる。それなら、わかるかな。

 でも、いちばん印象に残るのはやっぱりウユニ塩湖の銃撃戦で、真っ白な世界の中での殺し合いは凄かった。

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アルバート氏の人生

2017年08月30日 00時14分13秒 | 洋画2011年

 ◎アルバート氏の人生(2011年 イギリス、アイルランド、アメリカ、フランス 113分)

 原題 Albert Nobbs

 監督 ロドリゴ・ガルシア

 製作・主演・共同脚色・主題歌の作詞 グレン・クローズ

 

 ◎19世紀、ダブリン

 グレン・クローズはおもったよりも小柄なんだな。

 男装しているときの方が違和感がなくて、女装したときのぎこちなさったらないが、いや、このあたりは共演のジャネット・マクティアもおなじ印象をうけたから演出が上手なんだろね。

 ただ、後に息子を生んでアルバートと名づけるミア・ワシコウスカになんでそこまでグレン・クローズが惚れちゃうのかが納得いかない。かわいそうだと同情しているからというだけでもないのか~とおもったりときから妙に納得しにくい。それがなければかなり良い出来かな。グレン・クローズが原作に惚れ込んで映画化に奔走したのもわかる気がするわ。

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新少林寺 SHAOLIN

2017年08月06日 20時59分53秒 | 洋画2011年

 ◇新少林寺 SHAOLIN(2011年 香港、中国 131分)

 原題 新少林寺 SHAOLIN

 監督 ベニー・チャン

 出演 アンディ・ラウ、ジャッキー・チェン、ファン・ビンビン、ユエ・ハイ

 

 ◇河南省鄭州市登封

 映画ではちょっと年代が早まってるんだけど、実際には1928年、嵩山少林寺は大火に見舞われた。

 中国大陸に割拠していた軍閥の争いによるもので、それに巻き込まれた少林寺は主要な建物はおろか銅板経典、石碑、木版、儀仗などなど、もうとにかく大変な被害をこうむった。その歴史的な悲劇がこの作品のモチーフになってるんじゃないかっておもうんだけど、これまでに何度も少林寺は映画化されてきたのにその事実については映像化されてこなかったんだね。

 なんでなんだろう?ってちょっとふしぎな気がしたわ。

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マリリン 7日間の恋

2017年08月04日 23時43分44秒 | 洋画2011年

 ◎マリリン 7日間の恋(2011年 イギリス、アメリカ 99分)

 原題 My Week with Marilyn

 監督 サイモン・カーティス

 出演 ケネス・ブラナー、エディ・レッドメイン、ジュディ・デンチ、エマ・ワトソン

 

 ◎ミシェル・ウィリアムズのための映画

 としかいえないようなひとり舞台だったとおもうのは僕だけなんだろうか?

 いやたしかにマリリン・モンローに似ている女優は彼女のほかにもあまたいるだろうけれど、気持ちまでモンローになってるんじゃないかっておもえるくらい凄かった。

 それだけじゃなくて、ほかの役者たちも粒ぞろいだし、なんといってもベン・スミサードのカメラが好い。地味ながらきっちりとして1957年当時の美しさが際立って撮られてる。さらによかったのが挿入曲の『枯れ葉』だ。効果的に使われてて、いや、ひさしぶりに聴いたな~。

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ナタリー

2017年07月19日 19時35分36秒 | 洋画2011年

 ◇ナタリー(2011年 フランス 108分)

 原題 La delicatesse

 監督 ダビド・フェンキノス、ステファン・フェンキノス

 出演 メラニー・ベルニエ、ジョセフィーヌ・デ・ミオー、オドレイ・フルーロ、フランソワ・ダミアン

 

 ◇平凡で唐突な恋愛を淡々と

 オドレイ・トトゥという女優はふしぎな雰囲気をもった女性で、同僚のクロエを演じたメラニー・ベルニエの方が綺麗なんじゃないかって気もするけどそういう観点とはややちがった魅力があるんだろうね。で、そのふしぎなオドレイがなんとも平凡ながら不思議な恋をする話で、容姿からも能力からもなんの魅力も感じられないスウェーデン人のフランソワ・ダミアンにいきなり濃厚なキスをして、しかもそれをまったく覚えていなくて、そこから徐々に恋が始まるという展開だ。これはおそらくオドレイにしか演じられない。ほかの女優がやると厭らしくなっちゃうっておもうんだよね。原作を書いてひょんなことからメガホンをとることになったダヴィド・フェンキノスの女優選定はまちがってないわ。

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The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛

2016年05月26日 18時42分21秒 | 洋画2011年

 ◇The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛(2011年 フランス、イギリス 135分)

 原題 The Lady

 監督 リュック・ベッソン

 

 ◇1945年ビルマに生まれる

 アウンサンスーチーのことだけど、彼女の語り口調を聞いてると一貫して「ビルマ」といってるような気がするんだけど、それってぼくが世界情勢に疎いからなんだろか?

 ま、それはさておき、大学を出てちょっとした頃だったか、アウンサンスーチーの自伝めいた本を買って読んだ。たしか『アウンサンスーチー 囚われの孔雀』とかって題名だったような気がするけど、くわしいことは憶えてない。ほんと、ぼくはそういうところ、常識と教養に欠ける。恥ずかしいね。

 で、おもったんだけど、もしもこういう自伝があるんなら、やっぱりベッソンが映画化するときはそれを原作にしてほしかったっていう気がしないでもない。まあ、スーチーの生き方を主題にするんじゃなくて、ビルマとイギリスの間の家族の絆みたいなものが主題に見えちゃったりもするからあんまり原作めいたものはいらなかったのかしらね。

 ぼくはどっちかというと、スーチーよりも彼女の父親のアウンサンに興味があって、前にちょっと調べたりもした。だって、ビルマを見るときに避けて通れないのがアウンサンとその時代だもんね。

 ただな~、ちょっとだけ、ミシェール・ヨーはあんまり似てないかな。

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フランス、幸せのメソッド

2015年10月30日 01時46分58秒 | 洋画2011年

 ◇フランス、幸せのメソッド(2011年 フランス 109分)

 原題 Ma part du gâteau

 監督・脚本 セドリック・クラピッシュ

 

 ◇ダンケルクからパリへ

 出稼ぎをしなければ生きていけないくらいに工場が不景気となっているダンケルクのシングルマザーと、ロンドン勤務を終えたばかりの独身金融トレーダーの物語と聴けば、なるほどそういう男女が出会うわけねと誰でも考える。しかも、その男ジル・ルルーシュのマンションで、出稼ぎ女カリン・ヴィアールが家政婦として働くんだと聞けばなおさら、つまりは格差社会の中で雇われる側と雇う側とが互いの意見を罵るようにいいながらも恋に落ちる話なのねと推察するんじゃないかしら?

 ところが、そうじゃないんだよな。

 いや、たしかにふたりはデキちゃうんだけど、ことはそんなに単純じゃない。なぜって、カリン・ヴィアールたちの務めていた工場を閉鎖して工員らを解雇させたのは、ほかならぬジル・ルルーシュで、くわえてこのジル・ルルーシュが「家政婦と寝た」とか吹聴しちゃうんだからどうしようもない支配者階級のくそったれってことが暴露されちゃう。つまり、カリン・ヴィアール、そんな工場労働者の敵と寝ちゃったじゃんかわたしってば的な立場になっちゃうわけで、このあたり、なんとも皮肉な顛末になっていくんだけど、いやありそうでなさそうな展開ながら、なんだかリアルな顛末で、ぼくとしては充分におもしろかったわけです。

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ツリー・オブ・ライフ

2015年10月28日 11時20分55秒 | 洋画2011年

 ◇ツリー・オブ・ライフ(2011年 アメリカ 138分)

 原題 The Tree of Life

 監督・脚本 テレンス・マリック

 

 ◇息子の心象風景

 テレンス・マリックの映画は常に詩的であるのはいうまでもないことで、いまさら難しいんだよな~とかいって首をかしげたところでどうにもならない。その小難しさをどうやって受け止めるのかという立ち位置しかないんだから。で、この映画もそうで、しかも詩的な表現はさらに磨きが掛かって地球の歴史にまで内的世界がおよんでいくと、もはやその詩歌はテレンス・マリックのごく個人的な口笛みたいなものになっちゃう。

 そう、つまり、ショーン・ペンはテレンス・マリックそのもので、ブラッド・ピットとジェシカ・チャステインとの間に生まれ、育てられ、反発し、しかしながらどうしようもなく父親から受け継いでしまった血(遺伝子)の存在を認めざるを得ないような日々に苛まれているっていう展開なんだよね。

 ただ、これって、なにもテレンス・マリックにかぎったことじゃなくて、どこの国のどんな父親と息子にも訪れる懊悩で、親子であるかぎりどれだけ反発していようが畏怖していようがその信条や人生はなんとなく似てきちゃう。とはいえ、そういうものなんだなと軽く受け止められる場合はいいんだけど、テレンス・マリックのようにちょっと桁違いに映像詩にこだわる人間にとっては、そういう無意識下の意識というか、人類を含めて生きとし生きるものすべてに伝えられる遺伝子の意識にまで飛躍させて思考しないと気が済まなくなっちゃうのかもしれないね。

 けど、見せられる方としてはなかなか根性いるわな~。

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ものすごくうるさくて、ありえないほど近い

2015年10月22日 13時06分02秒 | 洋画2011年

 ◎ものすごくうるさくて、ありえないほど近い(2011年 アメリカ 129分)

 原題 Extremely Loud & Incredibly Close

 監督 スティーブン・ダルドリー

 

 ◎少年の視界と大人の世界との差

 幼い頃、まわりにはふしぎなことが溢れてて、それはほとんど魔法かSFの領域に近く、普段の生活とはまるで異なったきらきら輝く世界だったような気がする。つまりは少年の心がそうさせた想像の世界で、しかし、その想像の世界は現実の生活と密接にリンクしているものだから、どこまでが想像の領域だか現実の世界だかよくわからなくなったりもする。そのずいぶんと大仰なのが、この映画でアスペルガー症候群を患っているかもしれない電話恐怖症の少年トーマス・ホーンなのだろう。つまり、かれはどこのどの世界にもいる少年のちょっとばかりエキセントリックな少年だったとおもってもほぼまちがいない。

 ぼくもそうだったけど、少年の見る世界はあまり広くなく、それは大人からすればきわめて小さく狭い現実世界でしかない。だから初めてのおつかいで、少年はずいぶんな冒険に出るのだけれども、実をいえば大人たちはちゃんとわかってて、少年がどのような冒険をするのかを見守っている。この映画もそれと似たようなもので、ただ、見守るのはその時点では死んじゃってる父親トム・ハンクスだったり、少年の目からすればまるで子供に興味がなく自分もまた父親ほどには求めていない母親サンドラ・ブロックだったり、もしかしたらおじいちゃんかもしれないんだけど過去のトラウマによっていっさい言葉をしゃべれなくなってるマックス・フォン・シドーだったり、おばあちゃんのゾーイ・コールドウェルだったりする。その中でもスウェーデンの笠智衆マックス・フォン・シドーの演技と存在感はすばらしい。

 ただまあ、花瓶の中に入っていた鍵をめぐって、それが父親の遺したメッセージかもしれないと祖父とともに駆け回る少年とそれを陰から支えている母親という話はたしかに美しいんだけど、なにもかも美しく作られ過ぎてて、ニューヨークの人々はこんなに理解があって慈悲深いんだろうかって、ちょっとばかり首をひねりたくなったりする。

 あ、そうそう、セントラル・パークのトンネルだけど、いろんな映画で使われてるような気がするのは錯覚なんだろうか。たとえば、おんなじような年頃の少年をあつかったニコール・キッドマンの『記憶の棘』とかもそうじゃなかったっけ?

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パーフェクト・センス

2015年10月21日 00時20分26秒 | 洋画2011年

 ◇パーフェクト・センス(2011年 イギリス 92分)

 原題 Perfect Sense

 監督 デヴィッド・マッケンジー

 

 ◇ただ無くなっていくのみ

 たとえようもない悲しみに襲われてそこから解放されると同時に嗅覚が失われ、どうしようもない食欲が込み上げてそこから解放されると同時に味覚が失われ、こらえきれない怒りが暴発してそこから解放されると同時に聴覚が失われ、なにものにも代えがたい幸福感に包まれるのと同時に視覚が失われる。ただ、それだけの映画だ。

 もちろん、あらがう。あらがおうとするのは医者であるエヴァ・グリーンで、謎の感染症を受け入れながら懸命に対処していこうとするのは料理長のユアン・マクレガーだ。ふたりの置かれている設定はちょうどいいところなんだけど、結局のところ、なんにもできずにいるんだよね。

 こういうパニック物っていうのはどこかに希望の灯がないとただ追い込まれていくだけになっちゃう。やがて暗闇が訪れたときは幸せかもしれないけど、そこから解放されたときに、もはや逃げきれない悲しみと食欲と怒りがいっぺんにやってくるのはもはや自明のことで、映画の佳境でグリーンは「マンモスは徐々に滅亡したのではなくて一挙に氷河期が来たために滅亡したのだ」と独白する。胃袋に未消化の草があったことからそれは想像できるというのだけれども、人類もまた同じなのだという暗喩であるのはここに書くまでもない。

 でもな~どうにも未消化な物語なんだよな~。

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