◇IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。
前編の抒情感は断片的に残ってはいるものの、恐怖から逃げるために記憶の底に封じ込めて忘れ去ってしまっているものを、ひとりひとりがひとつずつおもいだしてゆこうとするのと同時進行でピエロことペニーワイズの復讐が始まり、あらたな恐怖に引きずり込まれてゆくわけだけど、ただこれがちょっと長すぎる。
問題はとりとめのない恐怖が連続することで、だんだん馴れてきてつまんなくなってくる。前編のようなまとまりがないというのか、27年ごとにデリーを包み込んでくる恐怖はいったいどこにいってしまったのが、あらたな恐怖はなく、徹頭徹尾、負け犬倶楽部に復讐を挑むピエロとの戦いだけで、だれる。
少年たちが単なるおっさんになってしまっただけで、なんだかね。ジェシカ・チャスティンとジェイムズ・マカヴォイのおかげでなんとかもってるけど、そもそもかれらが帰郷するのは27年後にペニーワイズが復活して町がふたたび恐怖に包まれる、つまり、子供たちが行方不明になってつぎつぎに殺されはじめていると想像されたときのはずで、そうした謎解きや使命感みたいなものがいっさいなく、単におぞましい幻に悲鳴をあげつづけるのを観るのは辛すぎるな。
ちなみに、ラスト、少年たちの姿で再起してゆくかれらのイメージショットの左側に映画館があるんだが、そこで上映されてるのは『エルム街の悪夢5』なんだよね~。