中甸郊外に桃源郷と呼ばれている高原がある。実際、松賛林寺の拝観券には、”Shangri-La”と印されていた。これまで私達が歩いてきた中国の濃厚な風土に比べれば、この高原一帯には、息を抜くような開放感を感じた。かってこの土地を訪れた者は、そんな開放感を桃源郷と表現したのだろう。
桃源郷には、いくつかの民居が点在し、日本の散居村を思い出す。民居様式は、土壁・木造との混構造とみられ、二階建てが多い。中国民居で二階建てというのは、比較的歴史の新しい民居にはみられるが、古い民居ではあまり見かけない。上図は古い民居に類するが、壁の隙間から、一階に薪がストックされているのが見える。冬を過ごすための燃料や食料の備蓄など、収蔵庫として使われていることが伺える。従って 主たる生活の場が二階であると考えられる。さらに軒の出が大きいことは、この地域の気候への対応だろう。こうした民居は、 チベット自治区固有の様式とみられ、中国の代表的な三合院や四合院の民居様式とは異なっている。 そういえば、この民居周囲に樹林が皆無であり、真冬この高原を抜ける風は、まともに民居に吹き付けるのではないだろうか。そのために建物の外周は、 土壁や板壁で囲われており堅固そうだ。それは厳しい冬を過ごすための暮らし方、あるいは生き抜くための知恵といってよく、民居様式に反映された結果であることが伺える。
私達が訪れたのは9月初旬だが、標高2,300m の高原地帯に既に夏の気配はなく、紅葉の時期を迎えていた。やがて厳しい冬が足早にやってくることが伺える。日本だと北アルプス直下の涸沢あたりと同じ標高だが、こちらの冬季は閉山され雪の下に埋もれる。
そうした点で、ここは冬は寒冷地なのだが、実はこの集落におよそ似つかわしくない風景があった。民居の屋根に、大きなパラボラのアンテナが建てられていたことだ。あまりの唐突さに、我を忘れて写真を撮ることを忘れた。今でもあれは幻の風景だったのではと思うぐらいに、唐突な風景だった。そういえば、このあたりの民居には、アンテナが必ずある。それがテレビなのかインターネットなのか、あるいはそれら以外の用途なのかはわからない。
寒冷地でも中央政府の情報がわかる。場合によってはインータネット位可能なのかもしれないと想像していた。中国は国土が広いから、いちいち架線などを引いていられない。無線LANだったら面白いなと思った。そうであれば、当時の我が国の情報環境よりは、進んでいることになる。
Canon EOS3.F3.5-5.6/EF28-135mm.コダクロームⅡ.
CanoScan9950F
桃源郷には、いくつかの民居が点在し、日本の散居村を思い出す。民居様式は、土壁・木造との混構造とみられ、二階建てが多い。中国民居で二階建てというのは、比較的歴史の新しい民居にはみられるが、古い民居ではあまり見かけない。上図は古い民居に類するが、壁の隙間から、一階に薪がストックされているのが見える。冬を過ごすための燃料や食料の備蓄など、収蔵庫として使われていることが伺える。従って 主たる生活の場が二階であると考えられる。さらに軒の出が大きいことは、この地域の気候への対応だろう。こうした民居は、 チベット自治区固有の様式とみられ、中国の代表的な三合院や四合院の民居様式とは異なっている。 そういえば、この民居周囲に樹林が皆無であり、真冬この高原を抜ける風は、まともに民居に吹き付けるのではないだろうか。そのために建物の外周は、 土壁や板壁で囲われており堅固そうだ。それは厳しい冬を過ごすための暮らし方、あるいは生き抜くための知恵といってよく、民居様式に反映された結果であることが伺える。
私達が訪れたのは9月初旬だが、標高2,300m の高原地帯に既に夏の気配はなく、紅葉の時期を迎えていた。やがて厳しい冬が足早にやってくることが伺える。日本だと北アルプス直下の涸沢あたりと同じ標高だが、こちらの冬季は閉山され雪の下に埋もれる。
そうした点で、ここは冬は寒冷地なのだが、実はこの集落におよそ似つかわしくない風景があった。民居の屋根に、大きなパラボラのアンテナが建てられていたことだ。あまりの唐突さに、我を忘れて写真を撮ることを忘れた。今でもあれは幻の風景だったのではと思うぐらいに、唐突な風景だった。そういえば、このあたりの民居には、アンテナが必ずある。それがテレビなのかインターネットなのか、あるいはそれら以外の用途なのかはわからない。
寒冷地でも中央政府の情報がわかる。場合によってはインータネット位可能なのかもしれないと想像していた。中国は国土が広いから、いちいち架線などを引いていられない。無線LANだったら面白いなと思った。そうであれば、当時の我が国の情報環境よりは、進んでいることになる。
Canon EOS3.F3.5-5.6/EF28-135mm.コダクロームⅡ.
CanoScan9950F