さてコロナ禍で自粛していた飲食街も全国に先駆けて営業を始めた。そこで翆と房チャンの店で久しぶりのディナーだ。
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房チャン「美都さんと欽一さんというサラリーマンの東京のワーキングカップルの話ね」
「ほう、そんな話はキャリアならではだなぁー」
房チャン「どっちも仕事があるから忙しいんだけど、時間ができれば、彼氏の部屋でセックスよね。それがもう何年も続いていたんだって。さっさと一緒になればいいのにさ、忙しさにかまけて結婚してなかったんだって」
翆「なんか好きなのに一緒に暮らさないなんてもったいないよね」
房ちゃん「ある時、欽一さんに転勤命令が出されて北海道へくることになったわけ。そうなると彼女とは別れ別れだよね。でも、最初は週に一度は札幌に彼女氏が来てデートしていたんだって」
「おっ、よくある話!」
翆「よくあったら、男と女の不幸だよーーん」
房チャン「そのうち疎遠になって、彼女はこなくなったの。まだLCCもなかったから、お金がかかるんだって。それで寂しい欽一さんが、カピタンで飲んでいたら、食事をしていたOLの彼女、美都さんというのね。一寸気があったの。美都さんも男と別れたばかりだったから。でっ、さびしい欽一さんは美都さんを誘ってセックスだよね」
「寂しい者同士がパクッとくっついいた・・・」
房チャン「結局欽チャンは美都さんと一緒に暮らしはじめて・・・、それで籍もいれちゃって、今は夫婦だよ」
翆「でっ、欽チャンの元彼女は?」
房チャン「欽チャンが結婚したよ!、って伝えたら、そう!、といって諦めたんだって。多分遠距離恋愛に疲れていたんだよ」
「男と女ってくっつくのも簡単だけど、別れるのも簡単なんだなぁー」
房ちゃん「そうなのよ、拘らなきゃ出会いと別れは簡単なのね。セックスすれば好きになるってのが自然な生き物でしょう。大切なのはその間よ」
男と女の仲は、距離の二乗に反比例するというわけだ。
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小樽は雪、でも前ほどの吹雪ではない。