今日は、翆が準夜勤だから夕方から不在だ。ならば花園のうみのやへ夕飯を食べにゆうこう。
さて夕飯を食べても口寂しい。そうだカピタンで一寸カクテルでも・・・。
カピタンも、こんな時代だから、戦時下のホテルのように空いている。
以前ベーヤンが紹介してくれた、さくらさんがバーテンダーでカウンターにいた。
「ならば最初は、ジントニック!」
昨日美希姉ちゃんがいってた台詞を思い出していた。『女は恋愛なんて興味ないのよ。性欲があるから、恋愛を装ってセックスするの。性欲解消よ』
そんな話を、さくらさんにしてみた。
さくら「おっ、いきなり核心!。でもそうよね!!。田舎じゃ、そんな言葉がないもん。だって愛だの恋だのってモテない文学者が考え出した言葉じゃない。そういう言葉をつくれば小説が売れるからね」
「じゃ、性欲の処理なんだ」
さくら「もちろん、そうよ。女って灰になるまで女だという言葉があるでしょう。女って子供をつくるという本能があるからかなぁー。性欲は死ぬまでつきまとうから、一定のスパンで抜かないとねぇー、あら!、私のスパンなんか教えないよー」
(笑)
「2杯目はサイドカーにしようか。じゃ、恋愛も興味ないよねぇー」
さくら「男とセックスはしたいと思うことはあるけど、恋したい!?、なんか違うな。セックスすれば恋なんかなくてもいいんじゃない。あっ!、こんな事いっちゃうと恋愛小説が売れなくなっちゃうか・・・」
「その一言でズドンと小説家は消えちゃうかな。昔・・・、明治時代に与謝野晶子という、愛!だの恋!!だのと短歌で叫んでいた作家がいたけど、例えば・・・
『人の子の 恋を求むる唇に 毒ある蜜をわれぬらむ願い』
甘さだけを欲しがって恋する者には、毒の蜜をぬっちゃおうかしら、そんな歌がスマホにあった」
さくら「それって、性欲がものすごく強いオンナの人なのよ。それを伏せて読み替えたんじゃない!!。毒ある蜜ってセックスだよね。恋なんて余計なことをいってる者に、セックスをしたいと願う欲望が沸き立っている、そんな感じかな」
(笑々)
さくら「愛だの恋だのって、小説の世界の話でしょう。現実には、単にセックスしたいぐらいだと思うな」
「現代でも、恋愛小説はたくさんあるよ」
さくら「今でも、儲かるからでしょうね。都会の人は格好付けてるから、そんなのが好きなんだよ。だって私の田舎なんか、若い男の人が物欲しそうな顔をしていれば、『あんた筆おろしでもしてゆかない』って後家さんに誘われて初体験を済ますよね。それで気に入れば後家さんを嫁にするし、気に入らなければ、去ってゆくかな。あのねぇ、それで5人も生んだ後家さんもいたよ。赤ちゃんは、みんな里親に出してしまったけど。だから田舎の人ってみんなどっかで血がつながってんだろうね」
「血が濃いコミュニティだなぁー」
さくら「そうよ、男と女ってセックスしてから仲良くなれるのよ。だって相性っていうものがあるのよ。それはセックスをしないとわかんないんじゃないかしら。アチキは翆さんがいるからなぁー・・・」
「あっ、知ってたか、3杯目はソルクバーノ!・・・」
さくら「ベーヤンが、アイツはいい女がいるんだって、うらやましがってたよぉー」
キックの強いカクテルを飲んだから・・・
「ほなら、翆のもとへ帰りますか・・・」
・・・
小樽の雪はまだ融けない、寒さが続く・・・。