Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

セカンドライフ sonicmart制作記12.

2007年09月05日 | Design&3DCG
 この制作記は、見ている視点によって、環境を構成する要素=舞台俳優の役割である主役と脇役が、随時入れ替わってゆく多様性ある風景の様相を、マナティー・リゾートの場合で述べている。そうした各要素のなかで、建築が主役を果たす風景が大変多いことは論をまたない。実際に主役のポストを建築に与えているシムは大変多い。 しかし何時も建築だけが風景の主役に座り続けるようでは、単調な風景となってしまうことも事実である。風景によっては建築を主役の座から追い出す必要がある。
 シム制作の建築デザインで重要なことは、建築自体のデザインに加え、建築と、建築以外の要素との関係性を、構築してゆくことである。つまり建築と建築以外の要素とが、相互にひきたったり、緊張感があったり、或いは物語性や意味性を感じさせてくれる風景をつくることである。それはあたかも日本庭園をつくるかのように、と言えるだろう。
 上図の風景は、マナティー・リゾートのなかでは、珍しくスタティックな風景としている。リゾートにあって、常にプレジャーな風景だけでは単調であり、多様で変化がある風景の形成が大切である。ここで私達がとった手法は至って簡単であり、日本の借景庭園の構成手法そのものである。先ず手前の近景に高木を配置し、中景には白い建築の外壁を塀と見立て、遠景に山を配置して借景としている。近景、中景、遠景というパースペティブに連続してゆく風景のなかに、高木、山といった非幾何形態と、中景の幾何学形態とを組み合わせている。
 セカンドライフ(SL)のソフトは、アバター側で視認距離を任意に設定できる。視認距離を最大値255m(シムの1辺の長さに相当する)とすれば、で全ての風景をクリヤーな見え方に設定できるし、また視認距離を低減すれば遠景が霞んだような見え方にもできる。シムを訪れるアバターの設定次第で風景の見え方やシムの印象は、多少異なるのかもしれない。こうしたソフト機能を活用し、限られたシムのなかに、多彩な風景をはめこむという制作は、どこか箱庭を造る時のような感覚が思いだされ、そこにオブジェクト制作の難しさと面白さがあるのだろう。
 ファーストライフにおいて建築的白壁には、それ自体で美しさがある。このことは、倉敷の民家やエーゲ海の集落を思い起こせば容易に解ることだろう。しかし日本社会の現実は、このような白い壁があると、たちどころに落書きをされたり、飾り立てられたりといった具合に、邪悪なノイズが入れられる。そうしないと落ち着かないというのは、東南アジア人的気質なのだろう。
 SLは、仮想3DCG環境だから、多分落書も2D表現ではなく、3DCGの立体落書きを、されるのだろうなと、こちらも覚悟はしているが。ところで・・・立体落書き!!・・・それは、ファーストライフでは、あまり実際にみたことがない。唯一私が思い出すのは、あのバルセロナにあるダリ美術館の外壁アートのような案配だろうか?。もしそんな事態が起きれば、仮想3DCG環境特有の現象として、私は興味深く、それを観察しているであろう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする