

2014、渚滑川支流サクルー川源流域、絶滅危惧種オショロコマ受難
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2014-6-20 (金) 曇り~雨~曇り 寒い、
オンコ橋で川を上がって、さらにサクルー川上流へ向かった。
以前、私が大好きであったZM橋の下の立派なたまりをさぐった。
ここで大量のオショロコマをさばいたあとがあり浅瀬の川底には、おびただしい数のオショロコマの内臓が沈んでいた。

未熟な♀の卵巣も多数見られた。

このたまりは、従来かなりのオショロコマが群泳する素晴らしいポイントであるが、入念にことごとくが釣られたようで小型オショロコマが数匹残っていたに過ぎなかった。
本物の自然が残り少なくなり、生態系に対する考えや価値観が、昔とは根本的に大きく変わりつつある現在においては、どうみても目にあまる蛮行、大虐殺にしか見えない。
しかし、私がその現場に居合わせたとして、その釣り人に煙たがられるような苦言を上手に伝えられる自信や度胸はあるだろうか。
相手によるところが大きいだろうが、気弱な私には勝ち目の無い激しい口ゲンカになるか、相手が凶暴なら殴られるのが関の山とおもう。
絶滅危惧種 ( 環境省レッドリスト絶滅危惧2類 )に指定されたとはいうものの法的規制など何もない無主物オショロコマを目一杯殺し、持ち帰ったところで、法律的には何の問題も無い。
当然、この釣り人には心に恥じるところなど何もないだろう。
口論きわめて不慣れな私は、このブログで長年続けてきたように、北海道のオショロコマの悲惨な現状や、渓流魚のなかでは一番まずい魚であることをぼそぼそとつぶやくくらいしかできないだろう。
誤解をまねきやすいこととして、オショロコマは、とりわけ群泳して存在する傾向が強いため、一箇所そのようなところを発見した初心者が、なんだ、オショロコマはいくらでもいるじゃあないかと勘違いすることだ。
ビク一杯釣って意気揚々と引き上げオショロコマなんてなんぼでもいるぞと吹聴する可能性すらあることが怖いところだ。実はその渓流のオショロコマの9割がそれでいなくなってしまったことに気づくことすらないだろう。
下流域を含めたサクルー川全域に多数のオショロコマが棲息していた時代には多少の乱獲があっても、それを上回る自然再生産力があった。
しかし長年におよぶ絶え間ないニジマス放流で最源流域にまで追いつめられたオショロコマ(これをニジマスとの棲み分けなどとおめでたい勘違いをする人もいるらしい)個体群には乱獲を上回る自然再生産力はもはや無い。
このままでは将来的な絶滅が秒読み段階で待っている。
さらにニジマスとオショロコマの混生水域にはニジマス狙いの釣り人が特に多く入るようになるため、オショロコマが混獲され、個体数減少に拍車をかける。釣り人の波状攻撃が続いた結果、最終的にオショロコマもニジマスもいない渓流となることもある。
このパターンは今回調査した、矢口川、原子川、南十五号川ではっきり体感されたし、のちに述べるエダマサクルー川、飯田川も同様と思われた。
今回、オショロコマ群泳を期待していたポイントのオショロコマは、たまたま乱獲者により壊滅状態であった。
しかたなく、ぴーぴー呼び子を吹き鳴らし、限りないヒグマの恐怖と戦いながら川を釣り下った。
幸い、下るにつれてオショロコマの棲息密度はやや高くなり、今日は、ちょっとした岩陰や瀬の小よどみからもオショロコマが飛び出してきた。
しかし7年前と較べると個体数は驚くほど激減していた。
ここまで上流にくると 虎虎オショロコマというよりは普通のタイプのオショロコマも多くなる。
さらに昔と比べると良型個体が少なく、一般的な釣りの対象にはならないほどの、とても小型ないし幼魚が多いのも大きな変化と思われた。将来的に絶滅の可能性の高いオショロコマ個体群である。この際、少しでも画像を残しておこうとせっせと水中での撮影を続けた。


















渚滑川水系を代表するオショロコマ斑紋パターン、いわゆる 虎虎オショロコマ。




ヒグマが怖いので最終的に30匹ほど釣って撮影し終了とした。
撮影させていただいたオショロコマたちは全て丁寧にもとの場所にリリースした。
この水域ではニジマスはみかけなかった。
この項、続く。

