

深緑の季節、野生化大型ニジマス爆釣
○無制限なニジマス放流はやめよう
指定外来魚A2ニジマス放流禁止、野生化ニジマス駆除。 その四。
従って、放流したニジマスが上流域のオショロコマ生息域に侵入する可能性がある場合、そこにニジマスを放すのは禁忌です。
例えば貴重な生態系を完全破壊、ひいては消滅させる恐れのある例として原始河川渚滑川にニジマスのキャッチアンドリリース区間を設定し滝上町で町をあげてのニジマス放流をしているのは以前からとても気になっています。
きっと心ある人たちもいるはずですが、声をあげる状況ではないのかも知れません。
また特異な外観の渚滑川水系のオショロコマに対して多少の配慮はしているのかどうかは是非知りたいところです。
北海道の釣り(2014年1月発行)付録渓流徹底ガイド渚滑川 p34 に興味深い一文があり引用しておきます。以下原文のまま。
「渚滑川を30年ぶりに取材して何とオショロコマが釣れないことかと、愕然としたことも事実です。ニジマスは当時も魚影が濃かった川ではありますが、昔と比べると、現在のほうが何十倍も濃いような気がします。これは放流とC&Rエリアの設定の賜と言えるのでしょう。反面在来種のオショロコマの魚影が激減してしまったのは残念としか言いようがありません。」
渚滑川水系のオショロコマはパーマークに特徴があり、虎虎(トラトラ)オショロコマと呼ばれる興味深い個体群であったのにまことに残念です。虎虎オショロコマに興味がある方は ( 虎虎オショロコマ、 渚滑川、 オショロコマの森ブログ5 )で検索していただければ沢山でてきます。
渚滑川支流のひとつオシラネップ川上流では豊産していたヤマベは激減、オショロコマは見られず、かわりに人ずれした老熟ニジマスが多数みられました。
滝上町は、目先の経済的利益等のために次世代にとってもかけがえのない宝物を失おうとしています。というより、そんなことは当初から考えてもいなかった極楽とんぼ状態であったのでしょうか。
置戸町は、在来の生態系に及ぼす影響に気づいて長年続けてきたニジマス放流を止めました。
富良野町も同様にやめたと聞きます。
道北の名流幌内川は巨大ニジマス釣りで有名でしたが雄武町では近年神門の滝祭りのニジマス放流をやめています。幌内川水系の上流のほんの狭い水域には極めて貴重な北限のオショロコマがピンポイントで棲息しています。
何万年にもわたって精緻な生態系を維持してきた美しいオショロコマ個体群(生態系)が釣り人のはかない欲望のために、この世から消えてしまうのは私たちの子孫にとって大きな損失と考えます。
そんな小魚( 雑魚と言う人もいる )、ニジマス釣りの快感や目の前の経済利益の前には消えてしまっても仕方がないと考える人もいるかもしれません。
また、オショロコマが減る理由はニジマス放流以外にも多々あると鼻の穴をふくらませる人もいるかも知れませんが、それは極めて幼稚な論点のすりかえです。ドナルドソンはオショロコマにとって巨大で勝ち目のない恐るべき侵略者で、その生態系に大きな影響を与えていることは明白です。逆に鼻の穴をふくらませる方々がもしいるとすれば、ニジマス放流が未来永劫、生態系になんら影響を与えないことを証明する義務があります。(当然それは不可能ですが)。
米国の状況では各水域に特有のカットスロートという美しい小型のトラウトの保護が、日本における在来イワナやオショロコマの例にあてはまると思います。
現在では、淡水系の在来生態系保護の先駆国アメリカでは、カットスロート棲息水系下流にニジマスを放流するなどは言語道断の所業とされます。
過去に放流された外来魚がカットスロートの棲息水域に侵入するのを防ぐため、巨額の予算で外来魚侵入防止ダムさえ建設されると聞いたことがあります。
純系の在来種を保全したい( 貴重な遺伝子資源保全という側面もある)という意気込みは、でっかい魚をひたすら釣りたいばっかりにニジマス放流を野放図・無制限に続けている脳天気な北海道とは比較の仕様もありません。
こういった分野での精神的成熟度は、先進国と比べると、北海道は、さしずめ幼稚園クラスの段階なのかもしれません。
外来魚侵入防止ダムは北海道でも支笏湖や屈斜路湖、その他の流入河川群の生態系保全に応用できるかも知れません。
この項 続く。
深緑の季節、野生化大型ニジマス爆釣

北見市近郊のX川にて。ここでは、この時期限定で良型美麗野生化ニジマスがよく釣れるポイントがある。ニジマスはよく食べて栄養満点。ファイトも最高。 全てていねいにリリース。

北見市近郊のY川にて。深緑の渓流で良型ニジマスが次々と釣れた。これは最も巨大であった個体。この日釣れた野生化ニジマスはすべてリリースしました。
Oshorokomanomori blog5 Salvelinus malma in Nature in Hokkaido, Japan

