デューク・アドリブ帖

超絶変態ジャズマニア『デューク・M』の独断と偏見と毒舌のアドリブ帖です。縦横無尽、天衣無縫、支離滅裂な展開です。

スターダスト

2006-03-19 08:42:13 | Weblog
 昨年録っておいたビデオを観ていたら富士通のCMで、「スターダスト」が流れてきた。あまり熱心にテレビを観ないので、最近でも放映されているのかは知らないが、耳に馴染んだメロディーは心地よい。女性コーラスのようで、ボスウェル、アンドリュース、マクガイアの三大シスターズなのか、五大に拡大してキング、クラークなのだろうか・・・コーラスに疎いので分からないが、アレンジは新しい感じだったので最近のグループなのかもしれない。

 最もアメリカ人が好むポピューラー・ソングといわれる「スターダスト」だけに、録音数は枚挙に遑がない。唄物が殆どで、ナット・キング・コール、エラ・フィッツジェラルド、日本では美空ひばりさんの名唱も残されている。インスト物では「ウイズ・ストリングス」でクリフォード・ブラウンが美しく歌い上げている。最近、CMで見かけるウイントン・マルサリスも吹き込んでいるが、どうやらテクニックだけではブラウン以上の名演は残せそうもない。

 ジャズ・ヴァージョンのベストは47年のジャスト・ジャズ・コンサートを収めたライオネル・ハンプトン・セッションで、ソロリレーの手本といえる素晴らしいものだ。ウィリー・スミスのイントネーションをきかせたアルトに始まり、チャーリー・シェイヴァースの低濁音を使ったトランペット、コーキー・コーコランの思い入れたっぷりのテナー。どのソロも栗羊羹に蜂蜜をかけたような甘さで、この曲をバックに女性を口説くと経験上10人に1人は落ちることになっている。(かなり確率悪い)続くスラム・スチュワートは弓弾きとハミングで観客を沸かし、御大ハンプトンはうなり声をあげながらの熱演で、半世紀以上経っても色褪せることがない。

 小生を含めた団塊前後の世代が一番耳にしている「スターダスト」は、恐らくザ・ピーナッツだろう。当時の日曜を象徴するバラエティー番組「シャボン玉ホリデー」のラストで、後半のサビ♪Beside a garden wall からの唄いだしはいつも新鮮だった。五歩一勇さんの著書「シャボン玉ホリデイー スターダストを、もう一度」によると、来日中の作曲者ホーギー・カーマイケルが特別出演したそうだ。テレビが茶の間の王様の昭和36年の一シーンだった。
コメント (9)
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