先週NHKBSで、スーザン・ヘイワード主演の、冤罪と死刑制度の矛盾を扱った社会派映画「私は死にたくない」が放映されていた。58年の作品で実話に基づいている。日本の冤罪事件の一つ「狭山事件」を、鎌田慧さんの著作で読んだことがあるが、アメリカも日本も冤罪の構図が同じなのに戦慄した。そこにあるのは差別と偏見だった。モノクロームの画面と、鎌田さんの著書に収められている白黒の写真から無実が故の“I Want To Live”という悲痛の叫びが聞こえてくる。
以前、この映画は何度か観たことがあるが、冒頭のジャズクラブのシーンは見逃せない。バリトン・サックスを軽々と吹くジェリー・マリガンのソロが圧巻。少し気取ったアート・ファーマーに、フランク・ロソリーノ、ピート・ジョリー、レッド・ミッチェル、優等生の印象が強いシェリー・マンはタバコを銜えながらのラフな演奏なのだが、やはりドラミングは正確だ。それにバド・シャンクの姿も見える貴重なもので、映画のワンシーンとは、どうにも勿体ない。
同名のサウンド・トラック盤もあるが、写真はマリガンが、映画出演時のメンバーで録音したもので意外に知られていない傑作。映画でも音楽を担当しているジョニー・マンデルの作編曲で構成されており、マンデルの垢抜けた曲作りには驚かされる。そういえばマンデルはアカデミー受賞曲「いそしぎ」を作った人だった。当時のウエスト・コーストの洗練されたジャズを聴ける一枚で、CD化が待たれる。
短いジャズクラブのシーンで、マリガンの横でテクニカルなトロンボーンを吹くフランク・ロソリーノは、ビールを飲みながら、指を鳴らし楽しそうだ。この陽気なロソリーノからは、後にピストル自殺を図る事など考えられない。“I Want To Live”と、ロソリーノは思わなかったのだろうか。
以前、この映画は何度か観たことがあるが、冒頭のジャズクラブのシーンは見逃せない。バリトン・サックスを軽々と吹くジェリー・マリガンのソロが圧巻。少し気取ったアート・ファーマーに、フランク・ロソリーノ、ピート・ジョリー、レッド・ミッチェル、優等生の印象が強いシェリー・マンはタバコを銜えながらのラフな演奏なのだが、やはりドラミングは正確だ。それにバド・シャンクの姿も見える貴重なもので、映画のワンシーンとは、どうにも勿体ない。
同名のサウンド・トラック盤もあるが、写真はマリガンが、映画出演時のメンバーで録音したもので意外に知られていない傑作。映画でも音楽を担当しているジョニー・マンデルの作編曲で構成されており、マンデルの垢抜けた曲作りには驚かされる。そういえばマンデルはアカデミー受賞曲「いそしぎ」を作った人だった。当時のウエスト・コーストの洗練されたジャズを聴ける一枚で、CD化が待たれる。
短いジャズクラブのシーンで、マリガンの横でテクニカルなトロンボーンを吹くフランク・ロソリーノは、ビールを飲みながら、指を鳴らし楽しそうだ。この陽気なロソリーノからは、後にピストル自殺を図る事など考えられない。“I Want To Live”と、ロソリーノは思わなかったのだろうか。