デューク・アドリブ帖

超絶変態ジャズマニア『デューク・M』の独断と偏見と毒舌のアドリブ帖です。縦横無尽、天衣無縫、支離滅裂な展開です。

ボヘミア・アフター・ダーク

2006-04-09 09:13:57 | Weblog
 7日に椎名豊さんのソロ・ライブがありリハーサルを覘いた。「ボヘミア・アフター・ダーク」を弾いていて、「タイミングよく来ましたね」と、ピアノから手を放した椎名さんと再会の握手を交わした。この曲は小生がいつもリクエストするものだから、椎名さんはこの曲が小生のテーマ曲だと思っているようだ。

 オスカー・ペティフォードがジャズ・クラブ「カフェ・ボヘミア」に捧げた「ボヘミア・アフター・ダーク」は、同じくジャズ・クラブに捧げたジョージ・シアリングの「ララバイ・オブ・バードランド」と並び数々の名演が残されている。キャノンボール・アダレイをフィーチャーしたケニー・クラーク盤がよく知られているが、白人バップピアニスト、ジョージ・ウォーリントンの55年録音の「アット・ザ・ボヘミア」にも収録されていて、先ごろ亡くなったジャッキー・マクリーンの若かりし頃の溌剌としたプレイも聴ける。

 このアルバムは71年に国内盤が発売されるまで、プログレッシブというマイナー・レーベルの希少性と、演奏内容の水準の高さから幻の名盤として高値を呼んでいた。漂白されたパウエルの感もあるウォーリントンなのだが、マクリーン、ドナルド・バード、ポール・チェンバース、アート・テイラーといった若手の黒人ハード・バッパーを抜擢した慧眼には脱帽するし、このセッションでは常に引き立て役に廻っているのも好感が持てる。写真はオリジナル・ジャケットとデザインは同じだが色が違う別テーク集で、オリジナルと比べても何の遜色もない熱いステージを聴ける。

 先日の椎名さんの前半のスタートは「ザ・マン・アイ・ラブ」、後半は「アイ・ヒア・ア・ラプソディ」というメロディアスな選曲だった。緩慢になりやすいソロ・ピアノなのだが、減張と緊張感があり素晴らしい内容だった。アルコールとジャズが心地よく回ったアフター・ダークを過ごした。
コメント (4)
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