Walkin' そして、Workin'、Steamin'、Relaxin'、Cookin' 聞いても発音しても語感がいい。もしマイルスがプレスティッジにもう1枚録音したなら Talkin' だろうか、とジャケットを漠然と眺めて思うことがある。そういえば似たようなタイトルのアルバムがケニー・ドリューにあった。その名も「Talkin' & Walkin'」、こちらの響きもよく、二分割されたピンクと何かを語ろうとしているドリューの口元と髭がシンプルなデザインながら印象に残る。
ドリューがロサンゼルス在住時に録音されたもので、ウォーキング・ベースは名人芸とまで言われたルロイ・ビネガーと、パーカーのバックでバップ・ドラムを叩いたローレンス・マラブル、そしてクリフォード・ブラウンの「ベスト・コースト・ジャズ」に参加していたアルトとテナーサックスを器用に吹くジョー・マイニのワンホーンだ。このメンバーでウエスト・コースト・ジャズ専門レーベル「ジャズ・ウエスト」の発売となるとウエストのクールなサウンドを想像するが、意外なことにホットなハードバップである。ハードバップというとニューヨークを中心に語られるが、ウエストでもその息吹があり、ジャズ地図に東西の色分けは不要なことといえるだろう。
バップ時代の黒人ジャズピアニストはほとんどそうであったように、ドリューもパウエルの流れを汲むスタイルだ。このアルバムを録音した翌56年にはドリューの最高傑作であり、ピアノトリオ屈指の名盤でもあるリバーサイド盤を残しているが、高い精神性と知的な構築美はパウエルに通じるものがある。ブルーノート盤「アンダーカレント」のハードな面、ヌード・ジャケットばかりが話題になるジャドソン・レーベルのソフトなタッチ、スティープルチェイスの一連のアルバムで聴ける耽美性、どの作品にも一貫したバップの精神が脈打ち、妥協しない高い音楽性を誇るのは見事なものだ。
タイトル曲「Talkin'-Walkin'」はドリューのオリジナル・ブルースで、シンプルなテーマからビネガー、マラブルと歩調を合わせたアドリブに入り、途中、ホレス・シルヴァーが「Walkin'」で弾いたブルース・フレーズを引用する。語感のいいタイトルを見返して思わず顔がほころぶ。
ドリューがロサンゼルス在住時に録音されたもので、ウォーキング・ベースは名人芸とまで言われたルロイ・ビネガーと、パーカーのバックでバップ・ドラムを叩いたローレンス・マラブル、そしてクリフォード・ブラウンの「ベスト・コースト・ジャズ」に参加していたアルトとテナーサックスを器用に吹くジョー・マイニのワンホーンだ。このメンバーでウエスト・コースト・ジャズ専門レーベル「ジャズ・ウエスト」の発売となるとウエストのクールなサウンドを想像するが、意外なことにホットなハードバップである。ハードバップというとニューヨークを中心に語られるが、ウエストでもその息吹があり、ジャズ地図に東西の色分けは不要なことといえるだろう。
バップ時代の黒人ジャズピアニストはほとんどそうであったように、ドリューもパウエルの流れを汲むスタイルだ。このアルバムを録音した翌56年にはドリューの最高傑作であり、ピアノトリオ屈指の名盤でもあるリバーサイド盤を残しているが、高い精神性と知的な構築美はパウエルに通じるものがある。ブルーノート盤「アンダーカレント」のハードな面、ヌード・ジャケットばかりが話題になるジャドソン・レーベルのソフトなタッチ、スティープルチェイスの一連のアルバムで聴ける耽美性、どの作品にも一貫したバップの精神が脈打ち、妥協しない高い音楽性を誇るのは見事なものだ。
タイトル曲「Talkin'-Walkin'」はドリューのオリジナル・ブルースで、シンプルなテーマからビネガー、マラブルと歩調を合わせたアドリブに入り、途中、ホレス・シルヴァーが「Walkin'」で弾いたブルース・フレーズを引用する。語感のいいタイトルを見返して思わず顔がほころぶ。