先日、8年ぶりの新譜「Walkin' in the Clouds」の発売を記念した椎名豊さんのライブを聴いた。満を持して自身で立ち上げたレーベルからのアルバムは、その充実した演奏活動8年間に培ったパワーの集大成ともいえる作品で、そのパワーはトリオ一丸となったライブに反映され、一段とピアノの鳴りもいい。ライブではアンコールが楽しみのひとつで、この日はジョン・ルイス作の「アフタヌーン・イン・パリ」で熱いステージを終了した。
普段、知ったかぶりをしてジャズのあれこれ書いている身から出た錆で、ときに難しいことを訊かれる。ライブ終了後にジャズ仲間から、「アフタヌーン・イン・パリ」は、MJQのどのアルバムに入っているのかと。ロリンズ、スティット、ケニー・ドリュー、そしてミルト・ジャクソンとルイスは直ぐに浮かんだものの、MJQとなると聴いた覚えがないし、さりとて「ない」とも断言できない。こよなくパリを愛したルイスは、「ヴァンドーム」、「コンコルド」、「ヴェルサイユ」等、パリにちなんだロマンティックな曲を書いているが、この曲も美しいメロディを持ち、世界遺産に登録されているセーヌ河岸の佇まいをみるようだ。
ルイスの作品にパリで録音されたものがあり、フランス・ジャズ界を代表するギタリスト、サッシャ・ディステルと、当時弱冠19才のバルネ・ウィランが共演している。ジミー・レイニーに師事したディステルが聴きもので、ルイスの物静かなピアノに呼応するかのように端正で美しいメロディを紡ぎ、そのギターの音色はジャケットのバックにそびえ立つエッフェル塔の天辺にまで響き渡るように澄んでいた。作曲家としても才があり、トニー・ベネットが大ヒットさせた「グッド・ライフ」」や、ソフトコア・ポルノ映画として騒がれた「エマニエル夫人」の主題歌を書き、ギターも端正なら顔立ちも端正で、恋多き女優ブリジット・バルドーと浮名を流したほどである。
さて、件のMJQだが一度もMJQ名義でこの曲を録音していない。おそらくルイスは、パリでのディステルや、ウィラン、ベーシストのピエーロ・ミシュロとの午後の邂逅が生んだ「アフタヌーン・イン・パリ」を、他の誰とも演奏したくないほど大切にし、また、パリの地でなければ演奏できない曲だったのだろう。MJQという「公」よりもジョン・ルイスという「私」がパリにあったのかもしれない。
普段、知ったかぶりをしてジャズのあれこれ書いている身から出た錆で、ときに難しいことを訊かれる。ライブ終了後にジャズ仲間から、「アフタヌーン・イン・パリ」は、MJQのどのアルバムに入っているのかと。ロリンズ、スティット、ケニー・ドリュー、そしてミルト・ジャクソンとルイスは直ぐに浮かんだものの、MJQとなると聴いた覚えがないし、さりとて「ない」とも断言できない。こよなくパリを愛したルイスは、「ヴァンドーム」、「コンコルド」、「ヴェルサイユ」等、パリにちなんだロマンティックな曲を書いているが、この曲も美しいメロディを持ち、世界遺産に登録されているセーヌ河岸の佇まいをみるようだ。
ルイスの作品にパリで録音されたものがあり、フランス・ジャズ界を代表するギタリスト、サッシャ・ディステルと、当時弱冠19才のバルネ・ウィランが共演している。ジミー・レイニーに師事したディステルが聴きもので、ルイスの物静かなピアノに呼応するかのように端正で美しいメロディを紡ぎ、そのギターの音色はジャケットのバックにそびえ立つエッフェル塔の天辺にまで響き渡るように澄んでいた。作曲家としても才があり、トニー・ベネットが大ヒットさせた「グッド・ライフ」」や、ソフトコア・ポルノ映画として騒がれた「エマニエル夫人」の主題歌を書き、ギターも端正なら顔立ちも端正で、恋多き女優ブリジット・バルドーと浮名を流したほどである。
さて、件のMJQだが一度もMJQ名義でこの曲を録音していない。おそらくルイスは、パリでのディステルや、ウィラン、ベーシストのピエーロ・ミシュロとの午後の邂逅が生んだ「アフタヌーン・イン・パリ」を、他の誰とも演奏したくないほど大切にし、また、パリの地でなければ演奏できない曲だったのだろう。MJQという「公」よりもジョン・ルイスという「私」がパリにあったのかもしれない。