「星空を眺めていると、それがいかにも小さく感じられる。それは私が大きくなりつつあるか、でなければ宇宙が収縮しているのだ。さもなければその両者が同時に起こっているのだ」と。生の本質や人間実存の究極を追求し続けたドイツの詩人リルケの言葉である。幸運の星の下に生まれるとか、愛するあのひとは星になったとか、星が生や死に喩えられるのは、手が届きそうで届かない星の神秘と重ねるからだろうか。
「Stairway To The Stars」は、ポール・ホワイトマン楽団のアレンジャー、マット・マルネックが作曲した「パーク・アベニュー・ファンタジー」に、「スターダスト」に詞を付けた星が好きなミッチェル・パリッシュが詞を付け改題したものだ。二人で星への階段を作り、天国を目指して一緒に登って行こう、という典型的な歌詞のラブソングだが、階段とは人生を表し、階段の最上段である星は天国、即ち死をさす。無数に広がる星空を眺め、星の輝きを人生に重ねるとき、過去の忘れえぬ愛惜や未来への夢を限りなく広げるロマンチックなメロディは、生と死の階(きざはし)を一段一段登る力強ささえ感じる。
ウディ・ハーマン楽団のフォー・ブラザーズで一翼を担ったサージ・チャロフが、「ブルー・サージ」でこの曲を取り上げており、バリトン・サックスで流麗に吹く。ソニー・クラーク、ルロイ・ヴィネガー、フィリー・ジョー・ジョーンズをバックにしたワン・ホーンは、録音数が少ないチャロフだけに貴重であり、最後のレコーディングにあたる。ダウンビート誌でバリトン・サックス部門のトップ・プレイヤーとして数年間輝いただけあり、楽器の重さを感じさせない躍動的なフレーズと、中高音を強く吹いたときに出る楽器特有の乾いた音色が魅力だ。そして、ビブラートが効いた余韻はジャケットの女性のようにうっとりさせるだろう。
若死にする多くのジャズマンは、音楽性を高めるため麻薬やアルコールに手を染め命を縮めたが、チャロフは脊椎ガンという不可抗力とも言うべき病気だった。チャロフは一音一音重みのある音を、階段を一段一段登るように刻み、その34年間を駆け足で星まで登ったのであろう。夜空に青く光る星があれば、きっとそれはサージ・チャロフのブルー・スターなのかもしれない。
「Stairway To The Stars」は、ポール・ホワイトマン楽団のアレンジャー、マット・マルネックが作曲した「パーク・アベニュー・ファンタジー」に、「スターダスト」に詞を付けた星が好きなミッチェル・パリッシュが詞を付け改題したものだ。二人で星への階段を作り、天国を目指して一緒に登って行こう、という典型的な歌詞のラブソングだが、階段とは人生を表し、階段の最上段である星は天国、即ち死をさす。無数に広がる星空を眺め、星の輝きを人生に重ねるとき、過去の忘れえぬ愛惜や未来への夢を限りなく広げるロマンチックなメロディは、生と死の階(きざはし)を一段一段登る力強ささえ感じる。
ウディ・ハーマン楽団のフォー・ブラザーズで一翼を担ったサージ・チャロフが、「ブルー・サージ」でこの曲を取り上げており、バリトン・サックスで流麗に吹く。ソニー・クラーク、ルロイ・ヴィネガー、フィリー・ジョー・ジョーンズをバックにしたワン・ホーンは、録音数が少ないチャロフだけに貴重であり、最後のレコーディングにあたる。ダウンビート誌でバリトン・サックス部門のトップ・プレイヤーとして数年間輝いただけあり、楽器の重さを感じさせない躍動的なフレーズと、中高音を強く吹いたときに出る楽器特有の乾いた音色が魅力だ。そして、ビブラートが効いた余韻はジャケットの女性のようにうっとりさせるだろう。
若死にする多くのジャズマンは、音楽性を高めるため麻薬やアルコールに手を染め命を縮めたが、チャロフは脊椎ガンという不可抗力とも言うべき病気だった。チャロフは一音一音重みのある音を、階段を一段一段登るように刻み、その34年間を駆け足で星まで登ったのであろう。夜空に青く光る星があれば、きっとそれはサージ・チャロフのブルー・スターなのかもしれない。