映画会社のレコード部門として発足したレーベル、UA(ユナイテッド・アーティスツ)は、サウンド・トラックがメインだが、数こそ少ないもののジャズも粒よりの作品が揃っている。それは優秀なプロデューサーに負うところが大きく、トランジション・レーベルを興したトム・ウイルソンや、サックスマン・ラベルで知られるアラン・ダグラス、そしてジャック・ルイス、この3人が手がけたアルバムはジャズ史を今なお彩っている。
コルトレーンとセシル・テイラーが共演した「ステレオ・ドライブ」をプロデュースしたルイスは異色な作品が多く、「アイボリー・ハンターズ」もその1枚だ。59年当時、クラブでセッションを繰り返していたビル・エヴァンスとボブ・ブルックマイヤーを聴いたルイスは、二人のレコーディング計画を立てた。並みのプロデューサーならクラブの演奏をスタジオに移すだけなのだが、アイデアマンのルイスは、ビルとボブとボクで何か面白いことをやろうと案を練る。バルブ・トロンボーンとピアノトリオは有り触れている、そうだ、ボブはクロード・ソーンヒル楽団ではピアノを弾いていたではないか。早速スタジオには2台のピアノが並んだ。
レコーディング当日、楽器ケースを開けようとするボブにルイスは、「ピアノを弾いてみないか」「ビルがボントロ吹くのかい?」とボブが笑いながら返す。「それは無理だろうね。ピアノ2台の競演ってのはどう」「ビルよりオレのほうが上手いぜ」と満更でもないボブは、ソーンヒル楽団で演奏したアイ・ガット・リズムを弾きだす。チューニングを終えたパーシー・ヒースとコニー・ケイがすぐさま追いかける。そこに現れたエヴァンスは音合わせとしていると思いタバコに火をつけると、「準備は出来てるから早く吸えよ、いや座れよ」とルイスが声をかける。ようやくもう1台ピアノがあることに気付いたエヴァンスは楽しそうにボブのピアノに音を重ねた。
エヴァンスにとって3作目のリーダーアルバムであるこの作品のあと、エヴァンスはリリカルな独自のピアニズムを形成し、ブルックマイヤーもまたバルブ・トロンボーン奏者として一時代を築いている。両者にとって代表作ではないが、象牙の白鍵が貼られた2台のピアノが織り成すリズムはピアノ・ジャズの面白さを伝えるものだ。異色作はときに代表作以上に価値があるが、意表を衝くレコーディングを提案したジャック・ルイスは超一流のハンターといえよう。
コルトレーンとセシル・テイラーが共演した「ステレオ・ドライブ」をプロデュースしたルイスは異色な作品が多く、「アイボリー・ハンターズ」もその1枚だ。59年当時、クラブでセッションを繰り返していたビル・エヴァンスとボブ・ブルックマイヤーを聴いたルイスは、二人のレコーディング計画を立てた。並みのプロデューサーならクラブの演奏をスタジオに移すだけなのだが、アイデアマンのルイスは、ビルとボブとボクで何か面白いことをやろうと案を練る。バルブ・トロンボーンとピアノトリオは有り触れている、そうだ、ボブはクロード・ソーンヒル楽団ではピアノを弾いていたではないか。早速スタジオには2台のピアノが並んだ。
レコーディング当日、楽器ケースを開けようとするボブにルイスは、「ピアノを弾いてみないか」「ビルがボントロ吹くのかい?」とボブが笑いながら返す。「それは無理だろうね。ピアノ2台の競演ってのはどう」「ビルよりオレのほうが上手いぜ」と満更でもないボブは、ソーンヒル楽団で演奏したアイ・ガット・リズムを弾きだす。チューニングを終えたパーシー・ヒースとコニー・ケイがすぐさま追いかける。そこに現れたエヴァンスは音合わせとしていると思いタバコに火をつけると、「準備は出来てるから早く吸えよ、いや座れよ」とルイスが声をかける。ようやくもう1台ピアノがあることに気付いたエヴァンスは楽しそうにボブのピアノに音を重ねた。
エヴァンスにとって3作目のリーダーアルバムであるこの作品のあと、エヴァンスはリリカルな独自のピアニズムを形成し、ブルックマイヤーもまたバルブ・トロンボーン奏者として一時代を築いている。両者にとって代表作ではないが、象牙の白鍵が貼られた2台のピアノが織り成すリズムはピアノ・ジャズの面白さを伝えるものだ。異色作はときに代表作以上に価値があるが、意表を衝くレコーディングを提案したジャック・ルイスは超一流のハンターといえよう。