デューク・アドリブ帖

超絶変態ジャズマニア『デューク・M』の独断と偏見と毒舌のアドリブ帖です。縦横無尽、天衣無縫、支離滅裂な展開です。

エリック・アレキサンダーはダルビッシュの豪球を打てるか

2011-04-10 08:28:38 | Weblog
 先月20日に行われた日本ハム対阪神のオープン戦で、阪神の新井選手がバッターボックスに立ったとき、札幌ドームを埋め尽くす日本ハムファンから大きな拍手が沸いた。早々に延期を決めたパ・リーグに対し、早期開催にこだわるセ・リーグとの調整にあたったプロ野球選手会長の労をねぎらう歓声だったのだろう。同時開催を訴えた選手会の大きな声が球団オーナーやファンに届き、今週12日に公式戦が始まる。

 ここ札幌ドームの開幕は、エースのダルビッシュがマウンドに上がるが、その150キロを超えるストレートを弾き返す勢いでボックスに立ったのは、エリック・アレキサンダーだ。91年のセロニアス・モンク・コンペティションで2位の座を獲得して以来、精力的な活動で日本のファンも多いテナー奏者で、繊細なバラードから豪快なブロウまでを吹きこなす。この年のコンペの優勝はジョシュア・レッドマンだったことから何かと比べられるが、ジョシュアはピッチャーの全配球を読み、狙い球を絞る頭脳バッターなら、エリックは初球からでも甘いコースを見逃さずに打ってくる野生バッターとでもいえばいいだろうか。

 「ヘビー・ヒッターズ」は、リズム陣にハロルド・メイバーン、ピーター・ワシントン、ジョー・ファンズワースを配したワンホーンのアルバムで、この時点のエリックの魅力を余すことなくとらえている。敢えてこの時点と言うのは、98年に録音されたこの作品以降、作品数があまりにも多いからだ。作品数が多いことを批判するわけではないが、スパンに余裕がないと二番煎じに陥りやすい。このアルバムの「スロー・ボート・トゥ・チャイナ」は、急速調の展開でロリンズに迫る勢いがあり素晴らしい内容だが、アルバム作りまで急ぐことはない。じっくり練り上げることで斬新なアイデアを出せるだろうし、タイトルの如くスローな作品作りがジャズシーンに新風を吹き込む。

 開催時期を巡っては独断専行する某球団の会長がテレビカメラに向かって、とても良識人とは思えない発言を繰り返していた。文学者ジェラルド・アーリーは、「アメリカには美しくデザインされたものが三つある。合衆国憲法、ジャズミュージック、そして野球だ」と語っている。美しくデザインするためには選手の好プレーは勿論だが、ファンのマナー、そして球団を運営する首脳陣の巨大地震への配慮や節電の意識も不可欠だ。
コメント (12)
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