デューク・アドリブ帖

超絶変態ジャズマニア『デューク・M』の独断と偏見と毒舌のアドリブ帖です。縦横無尽、天衣無縫、支離滅裂な展開です。

キャロル・カーに乗って

2012-02-19 08:37:10 | Weblog
 日産エスフローや、ホンダEV-STERの国内自動車メーカーの最新モデルをはじめ、ジャガーXJ、ポルシェ911カレラSの外車、ハーレーダビッドソンやMVアグスタのオートバイが眩い輝きを放って並んでいる。昨日、北海道で初となる「札幌モーターショー」を見てきた。北海道が自動車生産の拠点として成長していることをアピールするのが狙いで、賑わいをみるとその狙い通りだったのだろう。

 イベントに欠かせないのが華やかなコンパニオンで、各社のイメージモデルを鑑賞するのもまた楽しみのひとつである。さすがにジャケット写真のようにボンネットに腰かけているモデルはいなかったが、キャロル・カーのように可愛らしい女性が各ブースで微笑んでいた。名前の「Carr」からジャケットに車、そしてイギリス出身のシンガーなので車種は英国からの「Imported Car」であるトライアンフを用意するという、このストレートでイージーな発想は、毎週短絡なこじつけをするどこかのブログに似ていて大変好感が持てる。(笑)キャロルはバーニー・ケッセルをバックに歌ったドロシー・ケアレスの妹になるが、さて軽自動車の乗り心地は、いや歌声はどうだろう。

 アルバムトップは「They Can't Take That Away From Me」で、ガーシュイン兄弟がアービング・バーリンに敬意を評した曲である。艶と張りがある声はバディ・コレットも参加しているビッグバンドに自然と馴染み、バックと絶妙に呼応する歌唱はスケールの大きさを感じさせる。ジャケットからはハリウッドに進出したイギリスのシンガーのお披露目的要素が強いが、内容は競争の激しいアメリカで活躍できる実力をみせた形だ。この曲の名唱として知られるアニタ・オデイと聴き比べるとまるで違う歌詞にさえ聴こえるクイーンズ・イングリッシュの発音が美しく、歌詞の意味合いを学ぶなら最適のアルバムといえる。

 モーターショーに展示された車は電気自動車が多かった。いずれ枯渇する石油資源を見据えての開発だろうが、ガソリン車独特のエキゾーストノートが聞かれないのは寂しい。あの美しい音はレコードのノイズに似ている。そしてガソリンが焼ける排気の匂いは輸入盤のシュリンクを外したときに香るビニールのようだ。ガソリンを満タンにした輸入車で地平線まで延びる道路を走るのは夢なのかもしれない。
コメント (25)
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