1950年代にアメリカでは多くのマイナー・レーベルが誕生した。メジャーでは出ないような個性的なものが多く、今となってはプレス枚数の少ないオリジナル盤は勿論貴重だが、音楽的にも目を瞠るものがある。そのひとつにレーベル名が示すように西海岸で誕生したジャズ・ウエストがあり、カタログ数は僅か10枚だが、マイナーでは考えられないヴォーカル盤が2枚含まれているのは珍しい。
ジェーン・フィールディングで、写真はデビュー盤になるが、半年後にもう1枚「Embers Glow」という作品も残している。同じシンガーが2枚を占めているのでかなり期待をかけていたのが窺えるが、このアルバムは何とルー・レヴィーのピアノと、レッド・ミッチェルのベースだけがバックだ。場数を踏んだベテランならいざ知らず、最初の録音となると余程歌唱力に自他共に認める自信があるか、さもなくばオーケストラを雇う予算がないかのどちらかだ。さて、どちらだろう?どちらも当てはまる。マイナー・レーベルなので予算はないが、このバックで歌いきるだけの歌唱力がある。それもこのとき21歳というから驚きだ。
トップは、お馴染みガーシュウイン兄弟の「How Long Has This Been Going On?」で、オードリー・ヘプバーンが映画「パリの恋人」で歌ったことから注目された曲である。若い頃のアニタ・オデイを思わせるハスキーな声で、柔らかい色気もほんのりと漂う。初アルバムとは思えないほど落ち着いていて、レヴィーとミッチェルと同じくらい経験があるのではなかろうかと錯覚するほどだ。ジャケットの写真からはとても21歳には見えないほど大人びていているが、裏ジャケットに載ったマイクに向かうスナップを見ると、あどけなさが残る可愛らしい歳相応の表情をしている。歌の完成度と成熟度からみるとこの写真が相応しい。
ジャズ・ウエストといえばアートペッパーのリターンが有名だが、他にもジャック・シェルドンやケニー・ドリュー、ポール・チェンバース、そして超高値のローレンス・マラブルといった佳作が並ぶ。どのアルバムも手作り感が強いジャケットと、プレイヤーの意のままの演奏内容で、メジャーには真似ができない味わいがある。ジャズに魅せられた人はいつの時代になってもはかなく消えたレーベルのレコードを探すことだろう。
ジェーン・フィールディングで、写真はデビュー盤になるが、半年後にもう1枚「Embers Glow」という作品も残している。同じシンガーが2枚を占めているのでかなり期待をかけていたのが窺えるが、このアルバムは何とルー・レヴィーのピアノと、レッド・ミッチェルのベースだけがバックだ。場数を踏んだベテランならいざ知らず、最初の録音となると余程歌唱力に自他共に認める自信があるか、さもなくばオーケストラを雇う予算がないかのどちらかだ。さて、どちらだろう?どちらも当てはまる。マイナー・レーベルなので予算はないが、このバックで歌いきるだけの歌唱力がある。それもこのとき21歳というから驚きだ。
トップは、お馴染みガーシュウイン兄弟の「How Long Has This Been Going On?」で、オードリー・ヘプバーンが映画「パリの恋人」で歌ったことから注目された曲である。若い頃のアニタ・オデイを思わせるハスキーな声で、柔らかい色気もほんのりと漂う。初アルバムとは思えないほど落ち着いていて、レヴィーとミッチェルと同じくらい経験があるのではなかろうかと錯覚するほどだ。ジャケットの写真からはとても21歳には見えないほど大人びていているが、裏ジャケットに載ったマイクに向かうスナップを見ると、あどけなさが残る可愛らしい歳相応の表情をしている。歌の完成度と成熟度からみるとこの写真が相応しい。
ジャズ・ウエストといえばアートペッパーのリターンが有名だが、他にもジャック・シェルドンやケニー・ドリュー、ポール・チェンバース、そして超高値のローレンス・マラブルといった佳作が並ぶ。どのアルバムも手作り感が強いジャケットと、プレイヤーの意のままの演奏内容で、メジャーには真似ができない味わいがある。ジャズに魅せられた人はいつの時代になってもはかなく消えたレーベルのレコードを探すことだろう。