デューク・アドリブ帖

超絶変態ジャズマニア『デューク・M』の独断と偏見と毒舌のアドリブ帖です。縦横無尽、天衣無縫、支離滅裂な展開です。

We'll Be Together Again をイタリアンで

2013-02-03 07:59:31 | Weblog
 馴染みの中古レコード店を覘いてみると、「ヨーロッパ・ジャズCD大量入荷」の貼り紙があった。店主によるとコレクターが事情により手放したという。あまりヨーロッパ物に熱心ではないが、掘り出しものがあるかもしれないと思い棚を探る。エサ箱に陳列されたレコードだとジャケットを見ながらチェックできるが、CDは棚に並んでいるのでジャケットの背文字しか見えない。1枚ずつ取り出して確認もできるが、時間がかかるので背を追ってみる。

 アメリカのミュージシャンだと背文字だけで判断が付くが、ヨーロッパとなると不勉強なこともあり名前すら読めない。その中で目に付いたのは、「we'll be together again」のタイトルで、作者のフランキー・レインが歌ってヒットしたあの曲である。リーダーは?その名前に記憶もなければ、これが何と発音するのかさえ解らない。発売元はドイツの「yvp music」なので、ドイツ人かと思うとこれがイタリア人でややこしい。「Giuseppe Bassi」というベーシストで、調べてみると「ジュセッペ・バッシ」と発音するようだ。このアルバムが録音された2000年時で29歳だが、イタリアとニューヨークを行き来し、ルー・タバキンとも演奏しているという。

 微かに聞き覚えがあるピアノのダド・モローニをはじめオール・イタリア勢で、タイトル曲の他にはガーシュウィンの「Love Walked In」やビリーの名唱で知られる「Good Morning Heartache」といったスタンダードにオリジナル曲が数曲、そしてニーノ・ロータの「ゴッドファーザー愛のテーマ」も収録されており、いかにもイタリアらしい。テナーとトランペットをフロントに据えた典型的なモダン・コンボの編成で、演奏内容もストレートだ。ヨーロッパ・ジャズというとフリージャズに結び付くが、この時代にあってもアメリカ的なジャズを目指しているのは頼もしいし、ヨーロッパに於いてもこれが基本なのだろう。

 イタリアといえば第2次世界大戦後、ドイツ人が三国同盟の日本人に、「今度、戦争するときはイタリア抜きでやろうな」と言った有名な話がある。「together again」とばかりに「今度」の戦争は困るが、同盟国の意見には耳を貸さず自分の考えを通すイタリア人を皮肉ったものだ。個人主義の国民性とはいえ、このアルバムを聴く限りことジャズに関しては見事なコンビネーションをみせる。

コメント (16)
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