デューク・アドリブ帖

超絶変態ジャズマニア『デューク・M』の独断と偏見と毒舌のアドリブ帖です。縦横無尽、天衣無縫、支離滅裂な展開です。

バッグを持ったコルトレーンはどこに向かうのか

2018-02-04 09:52:39 | Weblog
 「The Night We Called It A Day」を聴く較べるため、「Bags & Trane」を取り出した。久しく聴いていない。このトラックだけ聴こうと思ったものの、つい習慣でレコードの頭に針をおろす。まず、アルバムタイトルになっているミルト・ジャクソン作のブルースだ。コルトレーンの一見ぶっきら棒に聴こえる短いフレーズの間に入るヴァイブの響きが幻想的で、テーマからしてコントラストが鮮明だ。

 続いて「I love you」という意味の「Three Little Words」。バート・カルマーとハリー・ルビーという作者コンビの伝記映画のタイトルにもなっている曲だ。ジャクソンとコルトレーン、どちらの選曲なのかは分からないが、レスター・ヤングやスタン・ゲッツ、ソニー・ロリンズとテナー奏者に人気がある。ハンク・ジョーンズの弾むイントロからジャクソンが軽快にテーマを奏で、そこにコルトレーンが被さり、膨らみのあるフレーズで一気に畳みかける。それに刺激を受けたのかジャクソンのソロが激しくなる。後半、コニー・ケイを交えたソロ交換で熱量は上がるばかりだが、何事もなかったかのようにジャクソンがテーマを静かに叩く。

 コルトレーンのアトランティック移籍第一弾は、同レーベルの大物ジャクソンと組ませることでコルトレーンを売り出す作戦だ。ジャクソンはMJO時代にマイルスをはじめレイ・チャールズ、ボビー・ジャスパー、フランク・ウェス、コールマン・ホーキンス、ウェス・モンゴメリー、オスカー・ピーターソン等、個性の強いプレイヤーと共演している。企画ものとはいえ、そのどれもが平均点を超えるのはジャクソンの柔軟な音楽性にあるのだろう。共演したプレイヤーもその大きさに圧倒されながらもいつもと違うものを表現している。意外な組み合わせこそスリリングで面白い。

 ホームをミルト、バッグを持ったコルトレーンが列車に乗り込んだ。さて、行く先は?1959年に録音されたこのレコードが輸入されてジャズ喫茶でかかりだした頃に流行った駄洒落とか。学生の時、新宿の「きーよ」や「汀」、有楽町の「ママ」、上野「イトウ」に通ったという大先輩にお聞きした。インパルスの「A Love Supreme」はおろか「My Favorite Things」も録音されていない時代にリアルタイムで聴いた人はどんな答えを出したのだろう。
コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする