デューク・アドリブ帖

超絶変態ジャズマニア『デューク・M』の独断と偏見と毒舌のアドリブ帖です。縦横無尽、天衣無縫、支離滅裂な展開です。

ジャズを聴いて半世紀、ビリー・プールに出会った

2018-02-18 09:20:10 | Weblog
 根城にしている「DAY BY DAY」ではステージの合い間にレコードをかけるのだが、リクエストがない限りタイトルを見ないでランダムに選ぶ。宝箱を開けるワクワク感があり、何年も聴いていないアルバムや久しぶりに見るジャケットが出てくると思わずオッ!の声も上がる。聴き手のこちらはレコードを聴く愉しみにすぎないが、ミュージシャンにとっては曲選びの参考やテクニックの勉強になる。

 半世紀もジャズに浸っていると聴いたことがなくてもジャズ誌やエサ箱で一度はジャケットを見ているのだが、先日初めて見るレコードが出てきた。ジャズを聴きだした50年前でもジャズレコードは10万種とも20万種ともいわれていたので、知らないレコードがあるのは当然だが、これはリバーサイド盤だ。同レーベルのヴォーカルといえばまずアビー・リンカーン、そしてべヴ・ケリーにテリー・ソーントン。コールマン・ホーキンスをバックにしたアイダ・コックスもある。男性陣ではマーク・マーフィーにチェット・ベイカーと組んだジョニー・ペイスと記憶を辿れるのだが・・・

 ビリー・プールは知らなかった。ジャズ人名辞典にも載っていなければ、ジャズ批評誌の女性シンガー大百科で担当者は「実をいうとビリー・プールの名前は、この原稿を書く前日まで知らなかった」というほど知名度は低い。ネットの情報もごく僅かである。デビュー作ながらクラーク・テリーにジュニア・マンス、ケニー・バレルとバックメンバーが凄い。更にタイトルはアダレイ兄弟のヒット曲だ。キープニュースの力の入れようがわかる。ブルース、ゴスペル系のシンガーだが、クールな声と洗練されたフレーズはブルース独特の灰汁の強さがない。それが長所であると同時に短所ともいえる。

 これを機にリバーサイドのカタログをチェックした。聴いたことがあっても内容を忘れているもの、タイトルは覚えているもののジャケットに結びつかないもの、あるわあるわ。ついでにプレスティッジのリストも広げるとタイトルどころかミュージシャンさえ知らないものが沢山あった。ジャズの魅力を知ったときは三大レーベルは全部集めようと思ったものだが、一生かけても聴けそうにない。
コメント (9)
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