先週28日、終電も近くなった薄野で信号待ちをしていると、フルムーンらしきカップルの男性が空を見上げて「大きな月だぁ!」と感嘆の声を上げた。つられて見てみると雲の合間に浮かぶ月は確かにでかい。そういえば日曜日朝のラジオ番組で月の曲の特集をしていたのを思い出した。今日はスーパームーンだ。連れの女性はと言うと空をチラッと見ただけで信号が変わるのを待っている。「青だよ!」と言うなり先に歩き出した。ロマンを忘れないのは男の特権か。
件のラジオ番組は地元の松永俊之氏がパーソナリティーを務める「MY LIFE MY MUSIC」で、懐かしいスタンダード・ナンバーで構成されている。季節に合わせた特集を組んでいるので、今週は月というわけだ。神秘的な月を見ると誰でもが詩人になるらしく、紹介された曲はどれも美しい。1944年に発表された「Moonlight in Vermont」は作曲も作詞も無名の二人だが、45年にビリー・バターフィールドのオーケストラをバックにマーガレット・ホワイティングが歌ったレコードがヒットしている。ビリーの甘いトランペットと可憐でストレートに歌うマーガレットの程よいブレンドは心地良い。
この曲は変則的な6小節構成で、それが面白いとみえて多くのインストのカバーがあるが、なかでも名演の呼び声が高いのはジョニー・スミスだ。写真のルースト盤「Johnny Smith Quintet Featuring Stan Getz」は、1953年の録音も収録した12吋だが、10吋盤は52年のダウンビート誌のレコード・オブ・ザ・イヤーに輝いたほどの名盤である。澄み切った絃の音色を邪魔しない程度にテナーをかぶせるスタン・ゲッツが歌っているし、後半に入るエディ・サフランスキーのベースソロも見逃せない。ベンチャーズで大ヒットした「ウォーク・ドント・ラン」の作曲者としてつとに有名なスミスだが、ギタリストとしても超一流である。
ネオンに目を奪われて月に気付きもしないが、自然の明るさはとてつもなく目映い。先のフルムーン・カップルも若いころは「Moonlight Serenade」で踊り、気分は「Fly Me to the Moon」だったろう。亭主おかまいなしに先を急ぐ妻、溜息を付きながらその後ろを付いていく夫。どなたが詠んだのか知らぬが思わず御同輩とうなずいた川柳がある。「フルムーン うっかり妻を 毒と書き」
件のラジオ番組は地元の松永俊之氏がパーソナリティーを務める「MY LIFE MY MUSIC」で、懐かしいスタンダード・ナンバーで構成されている。季節に合わせた特集を組んでいるので、今週は月というわけだ。神秘的な月を見ると誰でもが詩人になるらしく、紹介された曲はどれも美しい。1944年に発表された「Moonlight in Vermont」は作曲も作詞も無名の二人だが、45年にビリー・バターフィールドのオーケストラをバックにマーガレット・ホワイティングが歌ったレコードがヒットしている。ビリーの甘いトランペットと可憐でストレートに歌うマーガレットの程よいブレンドは心地良い。
この曲は変則的な6小節構成で、それが面白いとみえて多くのインストのカバーがあるが、なかでも名演の呼び声が高いのはジョニー・スミスだ。写真のルースト盤「Johnny Smith Quintet Featuring Stan Getz」は、1953年の録音も収録した12吋だが、10吋盤は52年のダウンビート誌のレコード・オブ・ザ・イヤーに輝いたほどの名盤である。澄み切った絃の音色を邪魔しない程度にテナーをかぶせるスタン・ゲッツが歌っているし、後半に入るエディ・サフランスキーのベースソロも見逃せない。ベンチャーズで大ヒットした「ウォーク・ドント・ラン」の作曲者としてつとに有名なスミスだが、ギタリストとしても超一流である。
ネオンに目を奪われて月に気付きもしないが、自然の明るさはとてつもなく目映い。先のフルムーン・カップルも若いころは「Moonlight Serenade」で踊り、気分は「Fly Me to the Moon」だったろう。亭主おかまいなしに先を急ぐ妻、溜息を付きながらその後ろを付いていく夫。どなたが詠んだのか知らぬが思わず御同輩とうなずいた川柳がある。「フルムーン うっかり妻を 毒と書き」